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もう恐くない!「クレーム」をチャンスに変える心理学とは? [with]

2018年06月11日(月) 12時00分配信

写真:アフロ

アラサー行動心理士 長谷川ミナの『OLセラピー』です。

お仕事の悩みはどこに行っても誰にでもある、当たり前のこと。

『OLセラピー』で、よりよいOL生活を楽しむために、行動心理学に基づいて職場のお悩みを解決していきましょう。

さてさて、今回ご紹介するのは「お客さまからのクレーム対応」に関する相談です。

今回のお悩み

転職をして、現在メーカーに勤めております。
お客さまからのクレームの電話が多々あり、マニュアル通りに対応をしたところ、さらにお客さまを怒らせてしまうことがありました。
それからクレームの対応が恐くてまともに対応ができません……。
クレーム対応をするときのコツなどあれば教えてほしいです。
(28歳・メーカー事務・Tさん)

どんな職種でも、お客さまと接する以上、クレームはつきものですよね。

クレーム対応は時として責められたり、怒鳴られたりすることもあり、緊張感に襲われたり、精神的な負担も伴います。

しかし、対応を誤ってしまうと相手の怒りに拍車をかけてしまう結果になってしまいますので注意が必要です。
「厄介だな」「面倒だな」などとマイナスな感情で対応するのではなく、きちんと向き合うことが収束へのカギとなります。

では、クレーム対応に使える心理学的対処法を3つご紹介します。

・クレームに至る顧客の心理を理解しておこう

・まずは相手の話にきちんと耳を傾けよう

・クレームをチャンスと捉えよう

クレームに至る顧客の心理を理解しておこう

クレームとは、何らかのサービスや商品が相手の期待値に満たなかったり、反したりした時に発生するものです。「裏切られた!」「許せない!」などの気持ちから、クレームに至るケースが多いかと思います。

クレーマーと聞くと、すぐに“厄介者”と認識しがちですが、多くの人は損失対応を求める以上に、「好きな商品を楽しみにしていたのに、がっかりした」ことを訴えているケースがほとんどだったりします。

心理学的に、怒りの感情は「二次感情」と呼ばれ、そこに至る前には落胆・心配・悲しみなどの「一次感情」があると言われています。

まずはこの「一次感情」をTさんが理解して、寄り添う姿勢が大切となります。

マニュアルに徹して事務的にはなんの問題もなかったとしても、相手の気持ちに寄り添わない機械的な対応が、怒りを増幅させてしまう原因とも考えられます。

怒っていて恐い……と恐怖心で緊張感も高まるかもしれませんが、相手に寄り添いながら対応することができると、クレームは一気に収束に向かうケースが多いはずです。

まずは相手の話にきちんと耳を傾けよう

クレーム対応において一番重要なのが、一番はじめの対応と言えます。

最初の対応を誤ってしまうと、お客様からの信頼を損なうどころか、マイナス評価に至ってしまう可能性もあります。
当初怒っていなかった相手が突如として怒り始めることも。

心理カウンセラーがよくつかう手法として、「傾聴(けいちょう)」というテクニックがあります。
これは、相手に共感しながらしっかり話を聞くこと。それにより、相手は自分の気持ちを「理解してもらえた」と気持ちがすっきりし、冷静さを取り戻す効果があります。

そのため、まずは相手がどんなに怒っていても“何に対して怒っているのか”“何を求めているのか”を冷静に判断することに徹してみましょう。

この時、やみくもに謝り倒すだけの対応してしまうと、「全然気持ちをわかってくれない」と怒りを助長させてしまうこともありますし、悪質なクレーマーの場合は、クレームが加速して大きな問題に発展しかねません。

そのようにならないためにも、「傾聴」をするときは、以下のポイントをしっかり押さえておくと良いでしょう。

「傾聴」における2つのポイント

・共感の相槌を打つ

・否定的な言葉を使わない



・共感の相槌を打つ




お客さまからすると、自分の気持ちを察しようと歩み寄ってくれたかどうか最大の関心どころになります。
そのため、相手の感情にペースに合わせる「ペーシング」が重要となります。

例えば、商品が壊れていた場合、もしかしたら誰かへのプレゼントだったかもしれませんし、届くのをすごく楽しみにしてくれていたかもしれません。
サービス側として、ただ「この商品は修理代が掛かります」「新しいものを発送します」と、気持ちを察することなく業務だけに徹してしまうのは、お客さまに寄り添った回答とは言えません。

それよりも、「私共の商品をプレゼントに選んでくださりありがとうございます」「壊れていたことで期待を裏切ってしまい、私も心苦しいです」などと、お客さまの想いに寄り添った一言をお伝えするだけで「気持ちを分かってもらえた!」と受け止めてもらうことができ、怒りが収まる可能性が高くなります。

話を真剣に聞くことで、お客さまにも誠意が伝わりますし、感情の高ぶりを鎮める効果があるのです。

「早く終わらせたい」などと淡々に対応してしまうと、感情を出していないつもりでも、声のトーンや、口調に表れるもの。口先だけではなく、「本当に申し訳なかった」という気持ちを込めることが大切なのです。




・否定的な言葉を使わない




人は他人に否定や反論をされると不快になるものです。
ましてや不快な気持ちや怒りの気持ちを持っている相手であれば、さらに怒りをヒートアップさせてしまう原因となります。

否定的な言葉としてあげられるのは、「いや」「いえ」「でも」という拒絶的なワードです。
たとえ、相手に非があった場合でも、このような言葉は極力使わないようにしましょう。

こちらの言い分を提示する場合は、「おっしゃることは良くわかりますが」「確かにその通りでございますが」などのクッション言葉を使い、相手の気持ちを受け止めるセリフを使うことが重要です。

クレームをチャンスと捉えよう

顧客満足度を高めるためには、顧客の声に向き合うことが求められますが、その中でも特に重要なのが、“クレームを適切に処理すること”と言われています。

消費者苦情処理調査をしたアメリカのジョン・グッドマン氏によると、クレーム対応と再購入決定率には相関関係があることがわかっています。

商品に不満を持ったお客さまのうち、クレームを言わなかった場合の再購入率は9%に対して、クレームを言ったお客さまのうち、迅速な対応で満足に至った場合の再購入率は82%にもなったという結果が出ています。

これを「グッドマンの第一法則」と言いますが、お客さまの苦情にきちんと対応して満足した結果が得られた場合、そのお客様はリピーターになるということを示しています。

一見クレームというのは避けたい対応かもしれませんが、自社だけでは見つけられない製品やサービスの不具合について教えて頂ける貴重な状況だと捉えることができれば、クレームに対して前向きに取り組むことができるはずです。

Tさん自身のスキルアップにも繋がることでもありますので、是非前向きに取り組んでみてはいかがでしょう!

しかし、中には悪質なクレーマーもいます。恐怖心をうまく利用して、過剰要求を求めてくるお客さまには、できること、できないことを毅然と伝えることが大切です。

ということで、
今回の合言葉は「クレームはチャンスに変えよう!」です。

ではでは、皆さまのよき日々を願って……

PROFILE
著者:長谷川ミナ
アラサーの行動心理士。日課は瞑想すること。祖母譲りの強い直感で分かるオーラに加え、行動から見える他人の心理を読み取り、皆さまの日常の悩みやモヤモヤを紐解いていきます。

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