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夏木マリが30代に伝えたいこと「考え込むより、動いてみる」 [FRaU]

2018年04月30日(月) 11時00分配信

Photo:HIRO KIMURA(W)

軽やかに、心のおもむくままに生きていくためにたいせつなことは……? そんな疑問をぶつけたいのは、美しい人生の先輩・夏木マリさん。彼女は、生きかたそのもので、私たち女性に多くのことを教えてくれる。
肩書はいらない。ひとりのPLAYERとして浮遊していたい

Photo:HIRO KIMURA(W)

肩書はいらない。ひとりのPLAYERとして浮遊していたい

さらりと自然体で、周囲にポジティブな影響を与えていく人である夏木マリさん。その手首には、「東北ライブハウス大作戦」と書かれたリストバンド。被災地支援活動のひとつだ。

今作の主題歌を提供しているバンド・BRAHMANも積極的な活動をしている。
「このリストバンドは初期のデザイン。宮古、大船渡、石巻にライブハウスを作って、そこを訪れることで、元気のやりとりをしているんです。彼らは初期の段階から熱心に活動しているので、この作品にもふさわしいと思ってお願いしました。震災後、最初はお金や食べ物を送るのが大事だったけれど、今、私たちの役割としては、映画やライブといった形で支援を続けていくのが大事なのかなと思って。あまり構えずに、向き合ったときに、私でやらせていただけることがあれば、動こうと思っています」

芸能活動と同じように、社会貢献も自然体で続けている。途上国支援のための『One of Loveプロジェクト』は、より自分発信の活動だ。

「これは使命感の塊のような気持ちで、一生やっていこうと思っています」と、さらりと言う。軽やかなフットワークには驚かされるばかりだ。考え込むよりも、とにかく動いてみる。それは、FRaUでの人生相談の連載でも繰り返し、読者に投げかけていたメッセージだ。

「FRaU世代の30代くらいの女性って、知恵もついてきて、いろいろ考えすぎちゃう。それぞれ人生にはデコボコもあるけど、人間だって動物なんだから、とりあえず動いてみることよね。人生の途中には、死にたくなるようなことがあるのも当然だけど、そのときに、“じゃ、どうしようか?” って考えられるかどうかってことですよね。そうすると、意外な発見があるから。

“ま、いっか” と、ひと呼吸おいて、食事に行ってみたり、会社を休んで旅に出てみたり、友だちとひと晩中飲んでみたり。今まで読んだことのない本を読むだけでもいいかもしれない。何か違うことをしてみたら、“なーんだ" って切り替えられるかもしれないじゃないですか。そんなちっちゃなことで変わるのよ、人間の心ってね。そのために、いつでも動ける体質になる訓練をしておくの。病気の時以外は外に出るってね。植木に水をやるだけだっていいんですよ。

行動すれば、気持ちも動く。で、“肥料でも買おう” と思い立って花屋に行ったら、そこで新しい人と出会う、とかね。意外にステキな展開になったりするじゃない」
’70年代に歌手としてデビューし、その後、舞台や映画など活動の幅を広げながら、時代の一線を駆け抜けてきた。その道のりの途中には、自身も何度かそんなふうに気持ちを切り替えることもあったに違いない。そして今、若き日に思い描いていた場所に立っている実感はあるのだろうか?

「世の中も変わってきたから……。ちょっとズレちゃったけれど、でもまぁまぁ、やりたいことはできているし、イメージ通りかもしれないですね、個人としては “こうしたい” っていうのが感覚的には実現しているかな。ザ・芸能界にどっぷりというのは嫌で、かと言ってカルチャーに浸るとマニアックになりすぎる。欲張りだから、その間でバランスを取りながら浮遊していたいと思っていて。ちょっぴりそういうふうになっていますかね」

心のおもむくままに。アーティストの矜持がにじむ。

「振り返ってみれば、それこそ演劇に熱狂していた30代もあって、劇団に誘われたけれど、入らなかったの。ひとつのチームに留まって、そこで泳ぐのは嫌。もっと冒険したい派ですね。インディペンデントでいることが好きなんです。大変ですけどね、不安定だし。お金に興味がある人は、私みたいな生き方は無理ね(笑)。もちろんお金もあったほうがいいんだけど、そういう考え方は、私とは違うと思っています」
自由を最優先する生き方は、今後も変わらない……?

「そうね、自由でいたほうが考えの幅が広いですよね。ひとつの色に染まるよりも、いい刺激をたくさん受けられるし。今も、いろいろ夢みていることがたくさんあって、実現に向けて動いているところ。大変だけど、ワクワクしています。何か成し遂げようとしたら、大変なのは当たり前よね。だから本気でやる。それしかないと思っています。

私、肩書があんまり好きじゃない。“夏木マリ” だけで通用すればハッピーなんだけど。世の中でやっていこうとしたら、いろいろ説明も求められるじゃない? だから、“プレイヤー” って言えればいいかしら。プレイ=遊ぶっていう言葉がすごく好き。
初めてのおもちゃを手にしたときの子どもみたいに、本気で遊ぶ。そんな気持ちが表現の基本だと思うから。本気で遊ぶためには、本気の努力もする。そうやって生きていけたら、こんなに幸せなことはないと思う。とにかく今は、一日が過ぎるのが早い! 元気なうちに、できることをやっとかないと、と思ってね」
やわらかな笑顔で、そう言い切る。夏木マリは、人生のクリエーターとして、これからも鮮やかな姿を見せ続けてくれるはずだ。

PROFILE

夏木マリ Mari Natsuki
東京都出身。1973年歌手デビュー。『印象派』、支援活動『One of Loveプロジェクト』、清水寺奉納パフォーマンス『PLAY×PRAY』などのクリエーションを手掛け、その活動はそれぞれ周年を迎える。
●情報は、FRaU2018年3月号発売時点のものです。

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