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“働き方の祭典”主催者が考える、日本の幸せな働き方とは? [mi-mollet]

2018年03月17日(土) 11時00分配信

男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年のこと。日本中がバブル景気に浮かれ、バブルが崩壊したと思ったら就職超氷河期に突入。総合職はおろか正社員として働くこともままならず、「女性が活躍する社会」というキャッチフレーズだけが先行し、仕事も子育ても両立して、かつ女性らしさを忘れないことこそ美徳と言われ……。「一体、どうすればいいの!?」と怒りをぶちまけたくもなります。そんな中、改めて女性の働き方について考えてみませんか?
横石 崇

撮影/横山翔平(t.cube)

横石 崇

「& Co. Ltd」代表取締役/TOKYO WORK DESIGN WEEKオーガナイザー 1978年大阪府生まれ、多摩美術大学卒。広告代理店や人材紹介会社の役員を経て、2016年に&Co.Ltdを設立。ブランド開発や事業コンサルティング、クリエイティブプロデュースをはじめ、人材教育ワークショップやイベントなどのプロジェクトを手掛ける。『WIRED』日本版 公認コントリビューター。近著に『これからの僕らの働き方』(早川書房)がある。

東日本大震災を機に考えた、 会社や働き方のあり方

今、仕事をしている人もそうでない人も、多かれ少なかれ「働く」ことについて考えたり、悩んだりしていませんか? 特に女性の場合、既婚か未婚か、子どもがいるかいないか、という立場によって働き方や仕事内容も千差万別です。身近にロールモデルも見つけにくく、「本当にこれでいいの?」と自問自答している人も多いのではないでしょうか? かといって、友達と改めて「働くとは何か?」と議論する機会もなく……。

そんな中、2013年からスタートした国内最大の“働き方の祭典”と称される「TOKYO WORK DESIGN WEEK(以下TWDW)」が注目を集めています。毎年11月に東京・渋谷で7日間に渡って開催され、のべ1万人が参加する一大イベント。渋谷ヒカリエをメイン会場に、さまざまな場所でこれからの新しい働き方や、ビジネスの未来といった多彩なテーマを掲げたトークやワークショップ、エキシビジョンが繰り広げられます。このイベントを率いているのが、「&Co. Ltd(アンドコー)」代表取締役の横石崇さんです。

「働き方の“フジロックフェスティバル”みたいなのをやってみようと思ったんです。音楽を例に取ると、自分の好きな音楽ばかり聴いていて、新しい曲との出合いが少ないことってありますよね。働き方も同じで、自分が所属している組織や業界の働き方についてはある程度わかっていても、他の人がどう働いているのかはほとんどわからないものです。だから、音楽フェスみたいにいろんなステージがあって、あちこち回っているうちに『この曲とアーティストは好みかも』というのに似た感覚のきっかけが作れたらいいなと」

しかし、実はこれは“表向きな理由”と笑う横石さん。多摩美術大学卒業後、広告代理店で働いていた時のこと。東日本大震災を契機に、会社や仕事のあり方や、家やモノを所有することに疑問を抱くようになったと振り返ります。

「会社を辞めた後、陸前高田に炊き出しのボランティアに行ったら、現地の人はみんなすごく元気! ある夜、滞在していた村の村長さんに、『ボランティアはうれしいけど俺たちは元気だし、君みたいな若者がこんなところに来なくても東北を支援する方法はいっぱいあると思うんだよね』と言われて、ドキッとしたんです」

直接的な関与が全てではなく、遠く離れていても、人や社会に対してできることはあるはず。震災ボランティアに限った話ではなく、働き方そのものに関わることと感じた横石さんは、住んでいた賃貸物件も解約し、100日間の世界放浪の旅に出ることを決意しました。

「100日って決めたのは、それ以上長くなるとたぶん社会復帰できなくなると思ったから(笑)」
遠く離れた南米で気づいた、 日本人の仕事ぶりの魅力

撮影/横山翔平(t.cube)

遠く離れた南米で気づいた、 日本人の仕事ぶりの魅力

スターアライアンスの世界一周航空券を手に、なじみのある英語圏ではなく、新しい出会いを求めて、スペイン語圏の南米などを中心に約30都市を巡った横石さん。旅先でさまざまな出会いがありました。そこで印象的だったのは、自分にスキルがあるとどこでもやっていけるということと、日本人の仕事ぶりの丁寧さ。
「海外で放浪していると、美容師さん、マッサージ師さん、看護師さんによく出会いました。手に職があるから、どこにいても仕事ができてお金を稼げる。南米に住んで、髪を切ったり、マッサージしたりして生活してる日本人もいるんです。しかも、仕事ぶりが丁寧! サービスを機械的に提供するんじゃなくて、相手の話を聞いて、その人に似合う髪型を提案したり、どうやって体をほぐせばその人が楽になるかを考えたりする。日本では当たり前のことだけど、そういう機微って日本人の良さだなと感じました」

帰国後、刺身が恋しくなって訪れた店でも大きな発見に遭遇します。それは、醤油が入った小皿が2つ出された時のこと。

「違う醤油が入っているのかな? と思ってお店の人に聞いてみると、醤油自体は同じで、脂の多い魚とそうでない魚用だと言うんです。そんな心遣いって改めて考えるとすごくないですか? 海外を拠点に働くことも選択肢にあったのですが、こんなホスピタリティの国は他にないし、結局のところ東京をベースにしようって気持ちが固まりました」

旅行に行く前に家を解約していたため、駒沢公園のベンチで寝たり、知人の家を泊まり歩いたりしながらフラフラしていた横石さんでしたが、友人と新たに会社を立ち上げることになりました。とはいえ、軌道に乗るまでは意外と時間的な余裕がありました。

「本などを読んで勉強するのもいいんですけど、人と話した方がいろんな気づきを得られると思ったので、何人かで集まって気になる人を呼び、勉強会を開いていました。そしたらそれがすごく面白かったのと、日本の働き方ってこれから大きく変わるんじゃないかという予感もあって、みんながポジティブに働き方について雑談できる場所を作ってみたいと思うようになったんです」

独立直後に暇な時間に恵まれ、横石さんが「自分が興味のある人に会いたい」という気持ちが原動力となり、TWDWへと繋がっていったのが“本当の理由”だったのです。ただ、横石さんは一過性の思いつきではなく、どうせやるなら細々とでも10年は続けたいと考えています。

「働き方って誰もが悩み、考えるテーマ。それに、働き方が変わるには時間もかかると思うんです」

こうして始まったTWDWを通して、横石さん自身も、女性の働き方や未来の働き方について、いろいろな発見をすることになりました。

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