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暮らしの道具 松野屋店主の荒物が支える質実剛健な台所 [おとなスタイル]

2018年03月08日(木) 10時00分配信

撮影/雨宮秀也

数々の経験を経てたどりついた、生活術が生きているキッチンで、日常を心豊かに楽しむ方々のお宅を訪問。今回は、東京・谷中にある、「暮らしの道具 松野屋」店主の松野きぬ子さんのキッチンをご紹介します。居心地のよい場所にする工夫や使いやすくするための知恵、効率よく使うための収納法まで、じっくり見せていただきました。
毎日使ってこそ、道具も、日々も輝く

動線に沿って使いやすくものが配置された必要十分な台所。東日本大震災以降、キッチン家電を減らし、炊飯器も電気ポットも今はなし。

毎日使ってこそ、道具も、日々も輝く

松野きぬ子さん・61歳
暮らしの道具 「松野屋」店主
2人+1匹暮らし・一戸建て
カウンターキッチン・キッチン約16㎡
キッチンというより、台所。そう呼ぶのがふさわしい懐かしさをたたえた、松野きぬ子さんの居場所だ。東京・谷中で雑貨店を営み、伝統的な日本の生活道具の使いやすさを広めてきた伝道者らしく、使い込まれたざるやカゴ、鉄やアルミ製の台所製品など、“荒物”と呼ばれる伝統的な生活用品が随所に配置されている。
「一生ものではないけれど、丈夫で使いやすく、作っている人の気持ちが込められた日用品は、やっぱりいいものです」

京都で牛乳店と喫茶店を営む家に生まれ育った松野さんが、和の道具のよさを知ったのは、結婚がきっかけ。1945年に創業した松野屋に嫁ぎ、姑の道具使いと始末のよさに大きな影響を受けた。
「仕事をしながらいかに効率よく家事をするか。あるものをとことん使い切る姿勢など、いろんなことを教わりましたね」
毎日使って洗い、干し、また使う。飾りでなく、日々の暮らしに寄り添うもの。
道具は「広い意味で文化のひとつ」と松野さん。仕事をしながら育てた子どもたちは巣立ち、食生活もシンプルになったが、道具との絆の強さは変わらない。
「店に入れる品をサンプルとして使いますし、職業柄、ものはちっとも減りません(笑)。でも、やっぱり使ってみないと、夢はふくらみませんから」

撮影/雨宮秀也

表は温かな木の質感、裏はシステムキッチン
18年前のリフォームで「システムキッチンと民芸家具がマッチする」対面型キッチンが誕生。当初は白いクロス張りだったカウンター表が愛猫・熊五郎の爪研ぎで傷だらけになり、板を打ち付けてカバー。

撮影/雨宮秀也

コンロ横の棚には、ざるやおひつ、ブリキの保存箱など伝統道具がズラリ。うどんやそばだけでなく、パスタの湯切りもザルで。和の道具活用の秘訣は、この柔軟さ。

撮影/雨宮秀也

毎日手に取る道具はやっぱり吊り下げが便利。
「水もよく切れる。カビ対策にもなる。しまい込まないのが鉄則」と松野さん。

撮影/雨宮秀也

古手ぬぐいを芯にしてタオルを縫い合わせた手製の雑巾も、姑譲りの知恵。台拭きから床拭き、最後は三和土(たたき)の掃除まで。

撮影/雨宮秀也

台所隅にある猫トイレの砂を熊五郎が散らかしても、シュロの箒とブリキのちり取りでひと掃き。カゴの埃対策にはハタキを。

撮影/雨宮秀也

毎朝のコーヒーは夫の役割。独身の頃から愛用しているイギリス製のミルで豆を挽き、これまた60年ものの鉄瓶の湯で淹れる。
■Profile
松野きぬ子さん
まつのきぬこ
1956年生まれ。雑貨の卸と販売を手がけつつ、「松野屋」で道具展、雑巾作りや編み物などのワークショップを不定期で開催。幅広い世代から好評を博している。

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