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【人生Q&A】独身、無職の兄。将来は自分が面倒を見るべき? [mi-mollet]

2018年01月12日(金) 14時00分配信

はっとりくんさんからの質問

Q.父の死後、兄との関係にイライラしています。でも兄は独身、無職なので将来は私が面倒を見るのか……と悩ましいです。



43歳、子供二人の主婦です。昨年父が亡くなったのですが、兄は自分の人生がうまくいかなかったことを父のせいにしていて、「死んでせいせいした」などと悪く言うので腹が立って仕方がありません。父は最後、軽い認知症を患っていたのですが、介護は母任せで、「何度も同じこと言ってんじゃねーよ」と罵倒するなど、弱い人に偉そうにするだけでした。父は豪快な人で、相性が合わないところもあったのでしょうが、借金したり浮気をしたわけでもなく、私たちを大学にも行かせてくれ、何が不満なのか分かりません。むしろ自分の努力不足を父のせいにしている感じ。父が亡くなったときも、電話でいきなり「今、死亡が確認されたから」とだけ告げてきて、あまりの急な出来事に私が「何でそんなことに!」と言ったら「知らねーよ!」と怒鳴られ、今もそのときのことが蘇って苦しくなります。「父にもっと会いに行けば」と後悔しましたが、それも実家に行ったら兄がいるので面倒になり、足が遠のいていたこともあるので、余計いら立ちを覚えます。とはいえ兄は45歳独身、実家暮らしで、定職にもつかずバイトを転々としている状態。老後は私が面倒見るのかなと思うと、嫌で嫌で仕方ありません。母は、私に迷惑がかからないよう兄にはお金を残すと言っていますが、それもどうなのって感じです。

特別ゲスト 金子稚子さんの回答

A.“言い訳がきかない人生”を与えるのがきょうだいの役目でもあると思うのです。



昨年、『きょうだいリスク』という本が発売され注目を集めましたが、はっとりくんさんのお悩みは、まさにこれに当たるのかな、と思いました。昨今は未婚率が男性約3割、女性約2割、さらに非正規雇用が約4割という時代です。独身で収入もほとんどない、というようなきょうだいがいたとき、親が亡くなった後、その面倒をきょうだいが見ざるを得ない……という問題が浮き上がってきているのです。かく言う私も、夫と死に別れており子供もいませんから、きょうだいにとっては私自身がリスクであるのですが……。

だからこそ、はっとりくんさんは今のうちから優先順位をしっかりつけておかれることが必要だと思いますよ。はっとりくんさんにははっとりくんさんの家庭があり、子供さんも2人いらっしゃるとのことですから。ただはっとりくんさんの場合、どう優先順位をつけるべきかは明確なのかな、という気はいたします。つまり、今後お兄様とは距離を置く、ということ。だってお兄様は、お父様が亡くなっても何ら変わっていませんし、この先も変わっていく可能性が低い。万が一変わっていけるとしても時間がかかりそうですから。

気になるのは、お兄様と距離を取ると決められた場合のお母様との付き合い方だと思います。お母様はお兄様と同居されていますから、どうしても足が遠のいてしまうかもしれませんが、死から振り返ってみれば、親と子に限らず人間関係とは、1対1のものです。後悔したくないなら、お兄様を無視してでも会いに行ったほうが良いと思います。そうして「兄を甘やかしすぎなんじゃないの」などと、不満は不満として伝えられたほうが、はっとりくんさんの精神衛生上も良いと思いますよ。

さて、そのうえで当初の問題に戻りますね。「お兄さんの面倒を見たくない」というお悩みに関してです。独身で定職にもついていないとのことですから、たしかにお母様がいなくなった後は、放っておけば孤独死するかもしれません。でも、お兄様が自分でそういう人生を選んだのですから、はっとりくんさんが親の代わりをする必要はまったくないと思いますよ! たとえばゴッホと弟のテオのように、自分が「兄を支えたい」と思って、親に成り代わって世話をするのならもちろんかまいません。でもはっとりくんさんは、むしろ「嫌でたまらない」とまで思っているのですから、切る勇気も必要です。でないとお兄様自身、一生自分の人生に向き合えないことになってしまいます。

きょうだいリスクが起こる根底には、もちろんニートの高齢化もありますが、同時に、親自身がいつか自分が死ぬことを認識できていないこともあるように思うのです。自分亡き後の子供の将来を考えず、いくつになっても世話をし続け、自立できない人間のままでいさせてしまう……。ですからはっとりくんさんがお兄様に、“言い訳ができない人生”を用意してあげてはいかがでしょう? お兄様をきちんと突き放し、「自分の人生を自分で生きる」という当たり前のことを、お兄様ができるようにしてあげるのです。親ができなかったことをする。むしろそれが、血を分けたきょうだいに託されたことなのかもしれません。

いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)『死後のプロデュース』(PHP新書)『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。

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