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【人生Q&A】子供のころから反りが合わない老母。世話をしないといけないの? [mi-mollet]

2018年01月05日(金) 11時00分配信

えりんぎさんからの質問

Q.子供の頃から反りが合わなかった母。老後の世話をどうすればいいか悩みます。

私は独りっ子で、未婚のまま母が祖母と同居して育ててくれました。昔から母とは反りが合わず、就職後は家を出ました。今は結婚して家庭を持ち、優しい夫や義理の父母に可愛がってもらえ幸せです。そう思えるのも生い立ちからの苦労のおかげだと思えるのですが、歳をとった母へもっと親孝行しなければと思いながらも、貯金もせず遊び歩く姿を見ると、何だか関わりたくなくなります。葬式代もないと以前告白されました。今は元気ですが、もう77歳。何かあれは我が家の家計にも影響します。終活の話をやんわりしても感情的になられて終わり。私はもっと母と向き合わなくてはならないのでしょうか。(42歳)

特別ゲスト 金子稚子さんの回答

A.「親孝行しなければ」という考えを持つ必要はまったくないと思いますよ。

日本人は「親孝行をしなければいけない」と刷り込まれていますから、このような呪縛がある子供さんは多くいらっしゃいます。でも何だか関わりたくない……、それでいいと思いますよ。「葬式代もない」と告白された……、ならば葬式も挙げなくていいと思いますよ。具体的なことだけお伝えしますと、直葬といって火葬のみをおこなう安価な方法もありますし、もしお母様に借金があっても相続放棄すれば、それを背負うこともありません。本当に関わりたくないなら、いくらでも方法はありますから。


人は、生きてきたように死んでいくもの。お母様は、娘にそういった感情を抱かせるような生き方をした。それだけのことだと思うのですよ。
唯一の問題は、お母様が認知症を患われたときですね。徘徊などがあり目は離せないのだけれど体は元気なためあまり充実した介護保険サービスは受けられない、というときは、特に家族の負担は増えがちです。ただお母様は生活保護を受けるほどお金がないわけではないようですから、介護に関しては、お母様ご自身のお金でできる範囲のことをなさればいいと思います。「親孝行しなければ」と、えりんぎさんが無理をする必要はありません。介護は「いくらかかるか」ではなく、「いくらかけるか」という発想も必要です。

ですから事務的なことは心配なさらず、えりんぎさんのお気持ちのみで、お母様とどう向き合いたいか考えられたらいいと思いますよ。

一方で、私にはお母様は、実は娘の介護など当てにはしていなくて、自由に生きていたい、という人のようにも感じました。終活ジャーナリストとして活動していますと、様々な親子関係を目の当たりにするものです。その中には、「これが親孝行」と信じてやったことが不幸な結果になる、というケースも少なくないのです。たとえば息子が優しさから母親のオムツを変えてあげることも、母親によっては、本当は恥ずかしく思っている人もいます。今は、結婚すれば親と子が一緒に暮らさない場合がほとんどです。すると親たちは皆、自分のペースというものができていて、それなりに快適に暮らしていたりします。そこに入ってこられると、ペースを乱されるもの。でも子は優しさからやってくれているのが分かるから、我慢をしているのです。そんな我慢をさせたいですか? ということも、私は問いたいと思っているのです。

えりんぎさんのお母様も大人ですから、ご自身の生き方があるはずです。その生き方を尊重し、「最期までやりたいようにやればいいんじゃない?私も自分の生きたいように生きる」と言うのも一つの親孝行だと思いますよ。えりんぎさんはえりんぎさん。お母様はお母様。その母娘関係だって、他人からとやかく言われる必要はないはずです。ですから、えりんぎさんも「親孝行」の呪縛を解いて、ご自身の幸せを求めていただけたらと思います。

いかがですか?
金子稚子さんの回答、ぜひご参考になさってください。

PROFILE

金子稚子(かねこわかこ)1967年生まれ。終活ジャーナリスト。終活ナビゲーター。一般社団法人日本医療コーディネーター協会顧問。雑誌、書籍の編集者、広告制作ディレクターの経験を生かし、死の前後に関わるあらゆる情報提供やサポートをおこなう「ライフ・ターミナル・ネットワーク」という活動を創設、代表を務めている。また、医療関係や宗教関係、葬儀関係、生命保険などの各種団体・企業や一般向けにも研修や講演活動もおこなっている。2012年に他界した流通ジャーナリストの金子哲雄氏の妻であり、著書に『金子哲雄の妻の生き方~夫を看取った500日』(小学館文庫)『死後のプロデュース』(PHP新書)『アクティブ・エンディング 大人の「終活」新作法』(河出書房新社)など。編集・執筆協力に『大人のおしゃれ手帖特別編集 親の看取り』(宝島社)がある。

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