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バンドボーカル&俳優で活躍中、「渡辺大知」のルーツを探る [FRaU]

2017年12月30日(土) 20時00分配信

話題の人のルーツを探る連載、第6回のゲストは渡辺大知さん。高校時代に結成したバンド「黒猫チェルシー」のボーカルとして活動するかたわら、俳優としても活躍。その原点について、ゆっくりと思慮深く話してくれた。

渡辺大知さんのCHRONOLOGY

1990年
東京都生まれ、その後兵庫県神戸市で育つ

1994年
絵本作家・田島征三と出会い、心の師匠に

2000年
「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」に入会

2001年
SMAPのファンクラブに入会

2002年
演劇部に入部。脚本を書き、役者もこなす

2005年
ギターをはじめ、初めての作詞作曲

2007年
高校の同級生らとバンド「黒猫チェルシー」結成

2008年
日本テレビの音楽番組『音燃え!』に出演

2009年
1stミニアルバム『黒猫チェルシー』リリース
映画『色即ぜねれいしょん』主演

2010年
日本アカデミー賞新人俳優賞受賞
黒猫チェルシーがメジャーデビュー

2011年
『カーネーション』(NHK総合)出演

2012年
三井住友VISAカードのCMに出演

2013年
『僕が父親になるまで』(NHK札幌)主演

2014年
黒猫チェルシー初のベスト盤リリース

2015年
『まれ』(NHK総合)出演
初映画監督作品『モーターズ』公開

2016年
『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS)出演

2017年
映画『勝手にふるえてろ』12/23全国公開
やれるなら何でもいい。答えはそこにあるはず。

Photo:Seiji Ishigaki 

やれるなら何でもいい。答えはそこにあるはず。

六甲山のふもと、自宅から20分も歩けば滝があるという山奥で育った。

「外で虫をとるか、家で本を読むか、そんな小学生でした。絵本作家とか、とにかくお話を作る人になりたくて、小さい頃から物語を書いていました」

家には父親が集めていたカセットテープや、たくさんの楽器があった。

「どれもたいして弾けないのに、なぜか集めてましたね。ギター、バイオリン、アコーディオン、ピアノ、フルート、ハーモニカとか」

初めて自分のお金で買ったCDは、国民的アイドルグループのアルバム。

「SMAPが大好きで、ファンクラブにも入ってました。僕が好きになったときにはもう森くんはいなくて。でも中古屋さんで、6人組だった頃のアルバムを見つけたんです。僕が知っていたのは『ダイナマイト』や『青いイナズマ』といった官能的な曲だったのに、初めて買ったそのCDの曲は、少年っぽくてキラキラしていました」

少年アイドルたちのまぶしさに惹かれた理由を、自身はこう振り返る。

「小さい頃からずっと、不況だ、暗い世の中だと言われているなかで育ったんです。そこに違和感がありました。テレビやまわりの大人たちはしょっちゅう『昔はよかった』とか言っていて。でも僕はこの時代に生きている。なんなんだよ、そんなこと言うなよ、って」

中学2年生のとき、音楽の授業でギターを習ったことをきっかけに、父親のギターを弾くようになる。

「それまで自分が書いていたお話をメロディに乗せられたらいいなぁと。そこから一人で作詞作曲みたいなことをはじめました」

その1年後、テレビから流れてきたバンドの映像に大きな影響を受ける。

「憂歌団というブルースバンドのライブ映像でした。それまでは好きな先輩のこととか、ラブソングばっかり作っていたんですけど、憂歌団のライブを見て『僕もこういうのがやりたい!』って。そのことを近所の散髪屋のおっちゃんに話したら、店の奥から大量のブルースのCDを出してきてくれて。エルモア・ジェイムス、B.B.キング、ビッグ・ジョー・ターナーとか。でも、そういう音楽を聴いている友達は学校にはいなかったので、しばらくは一人で聴いてましたね」

高校の入学式の日、その後の人生を変える運命的な出会いを果たす。

「入学式のあと、一人で楽器屋に行ったんですよ。そうしたら次の日『昨日楽器屋で見たで』と話しかけられて。それが今やっているバンド『黒猫チェルシー』のメンバーです。それで話を聞いたら、中学生のころからバンドをやっていて、もうライブハウスにも出ていると。まさかこんな近いところにそんなやつがいるのか、っていうのはものすごい衝撃でした」

そんな出会いから結成された「黒猫チェルシー」は、高校生のバンドを紹介する深夜の音楽番組 『音燃え!』に出演。大きな話題となる。

「でも実際、僕が住んでいる地域では放送されていなかったのもあって、生活が一変するとかはなかったです」

そして、その音楽番組で披露されたバンドの演奏を見てスカウトしてきたのが、現在「黒猫チェルシー」として所属する事務所だった。

「番組に出てすぐ、役者として映画のオーディションを受けてほしいと。その時点で主役とは聞いていたんですけど、共演者や映画の公開規模とかはわかっていなくて。合格したって聞いてから初めて知りました」

その作品が、俳優デビュー作で主演を務めた『色即ぜねれいしょん』である。みうらじゅんの小説を原作に、監督は田口トモロヲ、共演は峯田和伸、岸田繁、臼田あさ美という青春映画。

「役者をやらないかって言われたときから、今でも同じ気持ちですが、やるのは何でもいいって思っているんです。自分でこうじゃなきゃいけないとか、勝手に決めないほうがいいって。やれば何でも楽しいし、得るものもあるし、経験にもなる。ただ、役者の仕事が増えてくるにつれて、一時期はバンドだけにしぼったほうがいいのかなって、悩んだこともありました。でも、わざわざ目の前にある可能性をナシにする必要はないんじゃないかなって。だって最初から『何だっていい』と思ってはじめたわけですから」

俳優としてNHKの連続テレビ小説『まれ』などの話題作に出演しながら、バンドで全国のライブハウスをまわっている。

「僕にとってバンドは家みたいなものなので、バンドをやめるっていうのはまったく考えたことないですね」

©2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会 

映画『勝手にふるえてろ』全国ロードショー
原作:綿矢りさ 監督:大九明子 出演:松岡茉優、渡辺大知、石橋杏奈、北村匠海ほか
恋愛経験のない主人公のOL「ヨシカ」(松岡茉優)は、会社の同期である「ニ」(渡辺大知)から突然の告白をされる。しかしヨシカには、中学時代から10年以上も脳内妄想を繰り広げる同級生「イチ」(北村匠海)の存在が。

「最初に原作を読んだときは、松岡茉優さんが演じる主人公のほうに感情移入していました。でも出演が決まって読み返してみたら、僕が演じる『ニ』のほうも、実は同じようなことで悩んでいるのかなって。どんな人にも良い面もあれば意地悪な面もある。そういう人間の奥深さを描いた作品です」
●情報は、FRaU2018年1月号発売時点のものです。

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