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ドミニック・ローホー「快適バッグの中身とヒント」」 [おとなスタイル]

2017年10月31日(火) 10時00分配信

持っていて気分のいいバッグはどこか自分に似ている

ドミニック・ローホーさんの『マイバッグ 3つのバッグで軽く美しく生きる』にはこんなフレーズが書かれていた。
〈もし、そのバッグが自分自身に似ていると感じるのであれば、それこそが最もふさわしいバッグです〉

自分に似ているバッグ!?

「そう。持っていて心地よい、気分が良いと感じるバッグは、どこか自分に似ています。たとえば私は、フニャフニャというくらい柔らかい革のバッグが好き。硬いものは好きじゃない。自分自身の性格も体型も柔らかいタイプで、堅苦しいのは苦手です。それと、コンパクトだけれど、たくさん入るバッグが好き。私の暮らし方も同じです。ものを持たないミニマリストのコンパクトな生活ですが、だからこそ部屋は空間がたっぷりあって、アイデアが湧いたり、素敵なフレーズがたくさん浮かんだりする」

快適なバッグは中身も大事。どこまでも中身を軽く!

「バッグは自分の一部。自分のコンパクトな家みたいなもの。家が散らかっているならば、バッグの中も散らかっているはずです。
これもとても大事なこと。多くの女性はバッグの中にものを入れすぎています。それで『バッグが重くて嫌』と嘆いている。軽やかに生きるにはバッグの外側だけでなく、中身についても考えなければいけない」

バッグの中のものをすべて出し、必要かどうかをひとつずつ確認することをドミニックさんは勧める。
「家の中の整理整頓が難しくても、バッグという限られたスペースならば簡単です。バッグの中身を整えることは、手放すためのレッスンになります。財布や化粧ポーチは、その中身もチェックすることが大事なのです」
〈バッグを軽くするには、数百グラムもある財布をカットするのが、最も効果的な方法です〉
「長い大きな財布が本当に必要ですか? 私が愛用しているのは、お札を二つ折りにして入れる、シンプルなお財布です。柔らかい革で、小銭を入れるポケットもあって、重さは80グラムぐらい。中に入れているのは、クレジットカード1枚と保険証、身分証、そしてお金だけ。お店のスタンプカードのようなものは1枚もなし。なぜなら、お金をいくら使うとどのぐらい得するのか、計算してみたことがあるのです。それでスタンプカードでお財布をパンパンにして、バッグを重くしているのは馬鹿馬鹿しいと痛感しました」

小さき愛しきものたちをバッグに入れて

「使うわけではないですが、私は骨董市で昔の人が使っていた小さながま口を見つけると、つい、買ってしまいます。小銭が数枚入るぐらいの本当に小さなお財布を、昔の人は使っていたんです。昔の人はお金をすごく大事にしていた。一円ずつを大事にして、小さなお財布から出し入れしていた。そういう精神を忘れたくないのです」

財布に限らず、昔の日本人はコンパクトな道具を巧みに作って、生活の中で使っていた。「小さなもの、少ないもので豊かに生きる、理想的なスローライフを送っていました。そこに学ぶことは大きいです」とドミニックさんは言う。
「だから私のバッグの中身は、すべてコンパクト。口紅、鏡、柘植(つげ)の櫛、爪やすり、常備薬や耳せんまで入ったポーチは、手のひらの半分ぐらいの大きさです。暗証番号などの大事な情報は名刺サイズのアドレス帳に書き、大きなシステム手帳を持つのはやめました。万が一、財布をなくしたときのために、カードや身分証明書などの重要書類はUSBメモリーにコピーして持ち歩いています」
サングラス、ノート、エコバッグ、メジャーなど、ドミニックさんは自分に必要なものをすべて小さなサイズにして、小さなバッグに納め、軽やかに出かけていく。

「バッグは自分の小さな家。必要最小限の小さなものたちが入ったバッグがあれば、あとは屋根と布団とちゃぶ台で生活できる。お気に入りのバッグひとつさえあれば、たとえ天災にあって住処(すみか)を失っても、どこででも生きていけるのです。
だから、どんなバッグを持ち、その中にどんなものを入れておくかは、とても大事。バッグはあなたのアイデンティティなのです。大切に思ってください」

〈なぜなら、バッグという小宇宙で自分のシンプルな生き方を日々実践していくと、より思考がクリアになっていくのを実感できるでしょう。そこから心軽く生きる方法が日々自然と身につくのです〉
■Profile
ドミニック・ローホー
著述家。フランスに生まれ、ソルボンヌ大学で修士号を取得。イギリス、アメリカ、日本の大学で教鞭をとる。禅の修行などを通して日本の精神文化への理解を深め、シンプルな暮らしを提案。『シンプルに生きる』(講談社+α文庫)、『小さいものと豊かに暮らす』(メディアファクトリー)、『マイバッグ3つのバッグで軽く美しく生きる』(講談社)など。

 
『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
イラスト/かくたりかこ

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