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山口智子×水原希子「人生一回ではとても足りない」 [FRaU]

2017年10月17日(火) 20時00分配信

2016年10月号掲載のスペシャルインタビュー「山口智子×水原希子 異分子の美学」ラスト第4弾公開。
大事なのは、自分の心が動くことに、素直に真面目に従うこと。(山口)

Photo:Akinori Ito(aosora)

大事なのは、自分の心が動くことに、素直に真面目に従うこと。(山口)

-今年から、本格的にフラメンコも再開したそうですが、山口さんの頭の中には、常に極めたいターゲットが何かしらあるんですね?

山口:そうかもしれない。何かに急激にのめり込んで突き詰めると、次のターゲットにまた向かって行く。ここ数ヵ月は、15年も休んでいたフラメンコに没頭してます。毎日3〜4時間踊りまくっていましたが、今は週2回にとどめて、人間らしい暮らしのサイクルをキープしてます(笑)。

そう、私が希子さんを好きな理由のひとつは、“踊れる人間” だから! 生きる喜びを、身体で表すことができる人です。好きな音楽が流れたら、踊り出さずにいられない。それって、人間としてとても素敵な事だと思う。希子さんは、クラブでの夜遊びというより、踊ること自体を楽しんでるんだもんね?

希子:そうです(笑)! 何でわかるんですか? もしかして、収録現場で私、踊ってました? でもたしかに、山口さんも全ての感情を “身体で表現” してますよね。だから、嘘がない人だって思うのかな。

山口:人生の信念を言葉にする「座右の銘」ってあるじゃない? 自分だったら、何を書くだろうとずっと考えていて……。最近やっと答えが出た。それは、「好きな音楽が流れたら、踊り出せる人間でありたい」ということ。だれか的確な四文字熟語、ご存知だったら教えてください(笑)。美味しいものをいただいたら、「美味しい」と言葉にできる人間でありたいし、幸せだと感じたら、その喜びをちゃんと表して、大切な人たちと分かち合いたいと素直に思う。
希子:山口さんがプロデュースしている(音楽映像シリーズの)「LISTEN.」もそういうテーマですよね。

山口:自分たちの歌や踊りで、生きていく力を生み出せる人々を、心から尊敬している! だから、その素晴らしさを私自身学びたいし、百年後の未来に自慢したいという気持ちで、今世界で輝く素敵な音楽文化を、映像に収める仕事を6年続けています。様々な風土から生まれる歌や踊りは、豊かな個性に溢れて美しい。日本人も歌って踊れる民族として、自分たちの文化をもっと誇れるようになったら、言葉の壁を越えて世界ともっと繫がれると思う。

希子:いいなぁ。私も、いつか百年後に伝える何かを作りたい!

山口:希子さんは、いつか創造的な何かを成し遂げると思う! いつも嘘偽りない心で、生きる喜びを体現しているもの。

希子:まだまだです。私にはまだ “学び” が足りない。世の中に知らないことがいっぱいありすぎて。

山口:知らないことって、知れば知るほど増えてくる。人生一回ではとても足りない。5回くらい生まれ変わるつもりじゃないと(笑)。

希子:そうなんだ! 私も、ちょっと前までは、いろいろ詳しいつもりでいたんです。でも最近、「私は何も知らないんだ」って自信をなくしちゃったので、勉強しなきゃって思って……。

山口:「知る」って、「喜び」だよね。まだまだ知らない自分を猛反省しながら、学べば学ぶほど、世界に対する愛が深まっていく。

希子:無知である自分に打ちのめされながら、異分子である自分を、十分楽しめているかというと、まだそうでもない……。「あの子変わってるから」とか拒絶されたりすると、しゅんとしちゃう……。

山口:大丈夫。拒絶する人たちの心だって、いつかは変わるから。人の評価なんて、時とともにほんとうに移ろいやすいものだから。大事なのは、自分の心が動くことに、素直に真面目に従うこと。

希子:だから、正直な気持ちを貫き通すことが大事なんですよね。

Photo:Akinori Ito(aosora)

山口:実は私の人生、大嫌いだと思っていたものが、ふとしたきっかけで大好きになる、というくり返し(笑)。例えば、30代までは、美術工芸に全く興味がなくて、西洋絵画の「印象派」なんて言われても、派閥っぽくてうさん臭いなあと、ずっと敬遠してた。

ところがある日、美術番組のお仕事をいただいて……。一応、なぜ嫌いか確認してみようというノリで勉強してみたら、大逆転。画家たちが、懸命に自分の人生を模索して戦う姿が見えてきて、その真摯な心に大感動! やっぱり俳優という仕事に携わる身として、画家の作品だけでなく、人間としてどう生きたかに強烈に興味が湧く。

更に、西洋が憧れてくれた日本というものが見えてきて、40歳にして初めて、故郷日本のカッコいい文化を知ることが出来た。それから日本の職人さんの、ものづくりの世界に目覚めて……。それが今の自分の、映像作りの挑戦に繫がっている。

希子:山口さんも、変わったんですね。

山口:希子さんも、いたって真面目に、自分がどう成長して、世界平和の役に立てるか、いつも考えているでしょ?

希子:そうかな(照)。まだ自分のことでいっぱいいっぱいなところはありますけど、山口さんにそう言ってもらえると、迷わず、“LOVE&PEACE” を貫くぞ!って気持ちになれます。

山口:自分ならではの「色」は、世界を幸せに彩るためにあるのだから!

PROFILE

山口智子
1964年生まれ。’88年NHK朝の連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」のヒロイン役でデビュー。「ダブル・キッチン」(’93年)、「29歳のクリスマス」(’94年)、「王様のレストラン」(’95年)、「ロングバケーション」(’96年)など代表作多数。映像制作にも携わり、2010年以降、世界の音楽文化を収めた映像シリーズ「LISTEN.」(BS朝日)をプロデュース。

水原希子
1990年アメリカ生まれ。兵庫県育ち。2003年モデルデビュー。’07年7月よりViVi専属モデルに。’09年「ノルウェイの森」で女優デビュー。’13年には「八重の桜」で大河ドラマにも出演した。’15年公開の映画「進撃の巨人」前後編ではアクションにも挑戦。この年、ドラマ「心がポキッとね」で山口智子と運命の出会いが。大根仁監督の映画「奥田民生になりたいボーイとすべての男を狂わせるガール」(’17年公開)では “すべての男を狂わせる” 天海あかり役。’10年「KIKO」、’12年「水原希子×蜷川実花 girl」という2冊のフォトブックを刊行。
●情報は、FRaU 2016年10月号発売時点のものです。

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