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【人気作家・辻村深月】が時を忘れて一気読みした3冊とは…… [VOCE]

2017年10月15日(日) 21時00分配信

人気作家が一気読みするほど魅力的な本とは!

今をときめく旬の人の、お気に入り本をご紹介! 新刊が著者最高傑作!と話題沸騰中の 作家、辻村深月さんの愛読書とは……。

“同時代にいられることが嬉しくなる作家さんたちです”

一度ハマったら抜け出せないという辻村ワールド。今回の主人公は、級友たちからのある行為がきっかけで、学校へ行けなくなってしまった中学生のこころ。……だが、アラサーVOCE読者にも大いに関係があるのだ! 「子どもの話だと思って読み始めても、最後は、“自分の話だった”と思ってもらえるはず。そして、子どもたちには、“実は大人って子どもだったんだ”と感じてもらえたらうれしいです」と語る辻村さん。「デビューしたのが23歳のときなので、当時は、今回と同じ10代を描いていても圧倒的に気持ちは子ども側にありました。大人を仮想敵のように思ったり、自分のことを感情が摩耗した大人と一緒にしないでよと思ったり。でも、今の自分は中学生と対峙するとき、“大人がごめんね”って感じるスタンスに近づいている(笑)」


10代の頃の気持ちを摩耗させず(ここがまず奇跡的!)、大人の目線を手に入れた辻村さんは、圧倒的に両者にフェア。というか、「自分がこの年齢になってわかりましたが、大人という存在はいないです」。

“あの頃”と地続きの自分を再確認&愛おしみたくなる

家にこもったこころは、突然光り始めた鏡に潜り込み城の中へ――。そこで似た境遇の少年少女たちに出会い、ある課題を与えられ、少しずつ関係性を育んでいく。「今回はいつも以上に熱量のある感想をいただいたり、教師をしている友人から“読んでもらいたかった子の顔が浮かんだ”と言ってもらえたりして嬉しかったですね」


少しずつお互いに支え、支えられる関係を築く過程は、大人も“自分ごと”として切なく胸がしめつけられる。と同時に、ミステリーとしても読み出したら止まらない構成! そんな辻村さんが、最近一気読みを止められなかった3冊は……。「同時代に作家でいられることが嬉しくて励みになるような存在でもあります。『十二人の死にたい子どもたち』では状況は全く違うけれど、死にたいという気持ちを持った子たちが廃病院に集まる話。ラストが気になって止められないですよ。


また、“もし自分だったらどうするか!?”という自問が止まらないのは、『Aではない君と』。少年犯罪を描き続けてきた著者の筆力が圧巻。『あとは野となれ大和撫子』は、国家が抱える深刻な問題をエンタメとして見せていく手腕が素晴らしく、日本のサブカルやネット独特のノリなど、リアリティも巧み」

“時を忘れて一気読みした3冊”

『十二人の死にたい子どもたち』 冲方 丁/文藝春秋

“時を忘れて一気読みした3冊”

自分も死の議論に参加しているような濃密な臨場感
「廃病院に集まった12人の子どもたちは、死にたい理由をそれぞれに抱えていて。全員の意見が一致したら死が決行される。互いに番号で呼び合っていて、最初は読者に顔が見えなかった子どもたちの事情や気持ちが、明らかになっていく過程がとても面白いです」

『Aではない君と』 薬丸 岳/講談社

少年Aの家族だったらあなたはどうする?
「自分の息子が殺人犯になってしまったら――。どうするだろう? と思わずにはいられない。現実でも正解のない重いテーマに対し、たどりついたラストシーンがすごい。読んでいて苦しくなる程なのに、展開が知りたくて止まらなくなるんです」

『あとは野となれ大和撫子』 宮内悠介/KADOKAWA

仕方ない、私たちで「国家」やってみる?
「“仕方ない、~”の帯文面も素晴らしく。架空国を舞台に、主人公は空爆孤児になった日本人の女の子。引き取られたハレム(後宮)が女子たちの高等教育機関で、国の未来を背負うことに。彼女たちの口調やノリは私たちと変わらないし、独特のリアリティがすごい」
辻村深月
1980年、山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業。2011年「ツナグ」で吉川英治文学新人賞受賞。2012年「鍵のない夢を見る」で直木賞受賞。近著に『朝が来る』『きのうの影踏み』『東京會舘とわたし』『クローバーナイト』等。

 
撮影/角戸菜摘(静物)

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