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50代で実現させた雑貨店「きっかけと現実問題」 [おとなスタイル]

2017年10月10日(火) 10時00分配信

石黒美穂子さん

寿命100歳時代を迎えつつある今、50代はまだ人生の半分。
ストレスフルで忙しい日々の中で、折り返しから先の長い道のりを心身ともに健康で幸せに、過ごしていきたいと思ったら、いったいどんな風に生きればいい?
歳とともに失うものが増えていく中、ときめきや希望は持てるだろうか。――もし、少しでもそんな不安を感じたら、ぜひこの特集を読んでみてください。
歳を重ねるのは、実はとても豊かで幸せなこと。
ほんのちょっと視点を変えれば、年齢と経験は、確実に武器になる。「私」が主役になれるチャンスは、実は今、どんどん増えているのです。
50、60、70歳になっても何かを始める。
働く=我慢ではない、「楽しく働く」仕事に出会い、続ける。
~しなくちゃいけない、という束縛から解放される。
自分も気づかなかった才能を、掘り起こす……。
そんな、おとなならではの一歩進んだ 「自由」「楽しい」の見つけ方を、様々な立場の方を訪ね、考えてみました。
結論。そう、「人生で今が一番、幸せ!」と言える日は、まだまだこの先に待っているのです。

今回ご紹介するのは、おとなのための生活雑貨セレクトショップMIGO LABO(ミゴラボ)店主の石黒美穂子さんです。
作り手を応援し使い手に伝える。 そんな“思い”を発信したい

大久保ハウス木工舎の調理べラ。「鍋のふちの食材もすくえる、絶妙な角度。私も愛用中」

作り手を応援し使い手に伝える。 そんな“思い”を発信したい

「アキノヨーコさんのグラスは、吹きガラスの温かみと、形の安定感が魅力で、美味しくお酒が呑めるんです」
MIGO LABO(ミゴラボ)のオリジナルグラスを語る石黒美穂子さんの説得力に、思わず手が伸びてしまう。5坪程の店内には、石黒さんが使い手として惚れ込んだ衣食住の雑貨がていねいに選ばれ、おとなたちを魅了する。着実にファンを増やし続け、もうすぐ開店1年に。
店主の石黒さんの本職は雑誌などで活躍するカメラマンだ。近年は、生活道具好きという定評からか、ライフスタイル系の撮影依頼が多いという。
「仕事で出会った方の作品を使ったり、作品展で購入したり。使ってみれば、もののよさが実感できますよね。撮影だけじゃなく、伝えたい、と思ううちに、ブログでの発信や、様々な展示会の広報を担当するなど、カメラマン以外の活動も増えてきたんです」

石黒さんの発案で生まれたオリジナルかごバッグ。い草のかごに革の持ち手をつけた。

そんな中、4年ほど前から始めたのがFacebook(フェイスブック)。仕事回りや暮らし、そして生活道具のことを発信すると、たくさんの人から“いいね!”がもらえた。人と繋がることが大好きな石黒さんは、FB友達が1000人超になっていたからその手応えは大きい。
「そのうち、生活道具の投稿には、『どこで買えるんですか?』というメッセージがたくさん届くようになったんです。反響を感じながら、『ものと人の出会いの場を提供したい』という気持ちがふくらみました」

会社勤めをしていたご主人がフリーランスになったのをきっかけに、彼女の“好きを表現する場”を具体化しようと、夫婦で動き始めることになる。
50代の挑戦だから、力まずに試行錯誤しながらやればいい

FBの投稿に対する“いいね!”の数も大切なマーケティングに。

50代の挑戦だから、力まずに試行錯誤しながらやればいい

最初はネットショップからのスタートも考えたという。
「でも、セレクトした商品に手仕事のものが多かったので、リアルな場があった方がよいと考えるようになりました。それに、新たなチャレンジだからこそ、お客様の素直な反応が知りたい。そう思い、顔を合わせて会話できる実店舗から始めることにしました」
宣伝には、気軽に使えて、コストのかからないSNSを活用。
「まずは、趣味が合う人たちとのネットワークができつつあったFBで、お店のアカウントを作り宣伝。次は、写真主体で発信するInstagram(インスタグラム)。そして、今年に入り公式サイトを開設し、ネット通販も開始。便利なツールはとことん利用しました」

お店を運営する中で、独自の主力商品を確立し、きちんと売り上げを出すという、“好き”だけでは解決できない現実問題はどうしているのだろう。
「そこは主人の目が心強いんです。喧嘩になることもあるくらい、うちに合う商品かどうかを真剣に話します。俯瞰で見てくれる人は大切ですね」
運営に関わる事務的な仕事などは、ご主人が主導。さらに、「私が撮影で外出する日は主人がお店番も。撮影の仕事は好きだし、新しい出会いの場なので、お店と両立しています」。

MIGOLABOのラボは、ラボラトリーの意味。研究所や実験室のように、試していきながら進めたい、そんな思いを込めている。
「50代で実現したお店だからこそ、暮らしや想いに合わせながらスタイルを変えていければと。展示会、写真展、ごはん会なども開催して、コミュニティスペースとしての活用も始めています。SNSのように人と人が自由に繋がり広がる場にしてゆきたいですね」

好きを仕事にするための3箇条

【1】好きの理由を探せば、自分の武器が見つかる

【2】身近なSNSでマーケティング&発信

【3】“やりながら考えればいい”と柔軟に構える
■Profile
石黒美穂子さん
いしぐろみほこ/1964年生まれ。カメラマン。OLからスタジオアシスタントを経て渡英、帰国後フリーランスに。インテリアや料理からポートレイトまで、幅広く活躍。2016年7月に夫とともに雑貨店「MIGO LABO」をオープン。魚眼レンズでの自撮りスナップがライフワークで、その写真がFacebookで話題に。

MIGO LABO
おとなのための生活雑貨セレクトショップ。店名のMIGOは、世田谷区の三宿(MI)と目黒区五本木(GO)をつなぐ三宿通りにあることから。
住所/東京都目黒区五本木2-42-1

 
『おとなスタイル』Vol.8 2017夏号より
撮影/森本洋輔

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