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【ワーママの保険選び・後編】生命保険は掛け捨て型?貯蓄型?そもそも本当に必要か、を考える

2017年06月01日(木) 16時02分配信

公的年金や生命保険。お金のこと、理解している?

「高齢出産ワーママは、どうやって保険を選んだらいいの?」

40代半ばで6歳3歳二児の母。これまでお金のことをほとんど考えてこなかった編集Tが、行政書士・FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士として、東京都町田市で活躍されている、つるま行政書士事務所の馬場敦さんに取材。高齢出産ママの保険選び、後編となる今回のテーマは“生命保険”。

配偶者が亡くなった場合 遺族には年金が支払われる

T「前回、民間の医療保険は不要ということでしたが、生命保険はどうしたらいいんでしょう?」

B「こちらも、公的なサポートがあるんです。Tさんご夫婦は、公的な年金を払っていますよね?」

T「はい。給与から毎月天引きされています。仕組みなどは、よくわかっていませんが……」

B「まず、公的な年金には3種類あります。国民年金、厚生年金、共済年金です。国民年金は、20歳以上60歳未満の全ての人が入る義務があります。それに加え、会社員の場合は厚生年金を、公務員や教員の場合は共済年金を払っています」

T「私は会社員なので、国民年金と、厚生年金を払っているということですね」

B「そうです。そしてここからがポイントですが、もし年金を払っている方が死亡した場合、残された家族は遺族年金を受け取ることができるんです。遺族年金は①遺族基礎年金と②遺族厚生年金の2つあります。まず、①遺族基礎年金。こちらは国民年金から支払われるもの。死亡した者によって生計を維持されていた子のある配偶者や、子が受け取ることができます」

T「いくらもらえるのですか」

B「78万100円+子の加算。子供が2人までは、1人につき22万4500円プラス。3人め以降は、1人につき7万4800円プラスされます。つまり、子供が1人なら100万4600円、2人なら122万9100円、3人なら130万3900円、1年間に支払われるんです。保険納付期間や、子供は18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していないことなどの細かい条件はありますが、おおよそこの金額になります」

T「なるほど~。ちょっと安心しました」

B「会社員の場合は厚生年金も払っているので、残された配偶者や子は、②遺族厚生年金も受け取ることができます」

T「さきほどの、遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金も、ということですか?」

B「はい。遺族厚生年金はちょっと計算が難しいのですが、毎月40万円くらいの収入があるサラリーマンが死亡した場合なら、1年間で50万程度受け取ることができます」

T「会社員ってあれこれ天引きされて損……という気もしていましたが、年金に関してこの違いは大きいですね」

B「しかも法改正により、遺族年金は、妻が死亡した場合の父子家庭でももらえることになりました。ただ一点だけ注意しなければならないのは、残された配偶者の年収が850万円以上あると、遺族基礎年金、遺族厚生年金ともに支給されない、ということ。5年以内に850万未満になると予想されると支給されることもありますが、年収の高い方は心に留めておいてください」
保険は極力シンプルに。掛け捨て型がオススメ

営業トークに惑わされないで冷静な保険選びを!

保険は極力シンプルに。掛け捨て型がオススメ

T「遺族基礎年金。さらに会社員の場合は、遺族厚生年金もプラスされる。ありがたい制度ですが、子供の学費などを考えると、それだけでは全然足りないですよね」

B「そうですね。なので、お子さんがいる場合、生命保険は入っておいたほうが安心だと思います」

T「どうやって選べばいいんでしょう? それに掛け捨てとか、貯蓄型とか、配当金が出るタイプとか、特約とか……。調べれば調べるほど混乱して、いつも思考停止に陥ります……」

B「そういう方、多いです(笑)。私の持論は、“保険はシンプルに”そして、“保険でしかできないことを、保険でする”、この2つです」

T「シンプルは嬉しいです!具体的には?」

B「まず、掛け捨て型か、貯蓄型か、でしたら迷わず掛け捨て型をおすすめします」

T「掛け捨てって、お金が戻ってきませんよね……。だったら少しでもお金が戻ってくる貯蓄型のほうが良さそうな気が」

B「そのぶん貯蓄型は、毎月支払う保険料が高くなりますよ。多く支払うのだから、いくらかは戻ってきて当たり前。いざというときの安心を買うのが保険であり、機能としてはそれで充分。その分のお金を自分で貯蓄したり、運用するほうが、よっぽど有意義だと思います。“保険でしかできないことを、保険でする”というのはまさにそういう意味」

T「では、保障の金額はいくらにしたらいいんでしょう?」

B「生命保険はライフステージによって変わってきます。基本的には、葬儀費用、そして残された家族の当面の生活費があれば大丈夫。独身の場合は不要か葬儀代程度。結婚していても、子供がいないなら1000万円あればいいと思います」

T「子供がいる場合は?」

B「遺族年金制度もありますし、子供ひとりにつき3000万円、多くても5000万円で充分です。そして子供が自立したあとは、また1000万円に戻せばいいと思います」
思い悩むより、お金のことを相談できる相手を見つけよう!

相談相手が見つかれば、お金の悩みはすっきり解消

思い悩むより、お金のことを相談できる相手を見つけよう!

T「なんだかすっきりして、視界がクリアになってきた気がします」

B「“相談”をする意味は、まさにそこなんです。“我が家の場合”を一回きちんと整理して、こうしよう!と決めてしまう。そうすれば、その後お金のことであれこれ思い悩むことがなくなりますよ」

T「相談相手はどうやって見つけたらいいんですか?」

B「保険の場合、おおまかに言って3つ。①保険会社 ②総合保険代理店、つまり街角やショッピングセンターなどにある保険相談の窓口ですね。そしてどこにも属していない③独立系のファイナンシャルプランナー(FP)です。③は相談が無料の場合と、有料の場合があります。無料のFPは、どこかの保険会社などと提携している場合が多いです。有料の場合は1時間いくらのタイムチャージになりますが、完全にニュートラルな状態で総合的な相談にのってくれます」

T「無料は嬉しいですよね」

B「相談してみる、という意味では、無料もいいでしょう。おそらくどこでも、ライフプランなど作成してくれると思います。ただ、無料相談の場合、結局は保険を売った手数料で収入を得ていますので、そのあたりはぜひ慎重に(笑)。“この保険は、そもそも必要なのか?”をじっくり検討していただきたいです」

T「毎月の保険額はわずかでも、払い続けるとトータルでは結構な金額になりますしね!」

B「その通り。実際に保険金を受け取るまでには、いろんな制約があります。そもそも多くの人は60歳になるまでほとんど入院しないし、亡くなる方はごくわずか。70代、80代になると健康上の不安は高まりますが、その頃には子供も手を離れているでしょう。確率論で言うなら、子育て中に亡くなる可能性は限りなくゼロに近いんです」

T「独立系のFPを探したい場合はどうしたらいいんですか?」

B「お知り合いの紹介が安心かと思いますが、難しい場合は、ネットでしょうかね……。その場合、気軽に相談しやすいように、できるだけ近所の方。さらに、行政書士の資格も持っているなど、士業兼業のFPはより深い知識を持っているのでいいと思います」

T「ネットで探すのは、ちょっと怖い気もします……」

B「それは、我々側としても同じなんです。どんな人が来るか全くわかりませんから。実際に会って、話してみたときのフィーリングはとても重要。威圧的じゃないか、上から目線ではないかなど。できれば何人かに会ってみて、フィーリング的にいちばん良かった人を選ぶといいのでは。とにかく気軽に会いに行ってみる、くらいのつもりで、我々をうまく使ってほしいですね」

T「ちなみに馬場さんの場合、相談料はおいくらくらいですか?」

B「私の場合、1時間5000円です。総合的にお話をすると1時間で終わることはほとんどなく、平均4時間~6時間くらいでしょうか。まずは保険のこと、とテーマを絞ってから相談をし、だんだんと家のこと、家計全般のこと、家族の未来のことなど、総合的に話が膨らんでいくことが多いです。FPに相談をされる際は、ぜひ時間にゆとりを持って訪問されることをオススメします。」

馬場敦さん

お話をうかがった方

馬場敦さん

つるま行政書士事務所(https://baba-tsuruma.jimdo.com/)代表。地元密着型の行政書士、FP技能士として、保険、住宅に関する相談はもちろん、遺産相続、お墓の改葬まで幅広い相談に載っている。自分史活用アドバイザーとしても活躍中。「自分の歴史を記すことで、生き方を振り返り、今後どう生きたいかが見えてくる。お金に関する相談のベースにもなりうる“自分史”。一度書いてみることをオススメします」

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