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「更年期治療とHRT」疑問を一挙解決! [おとなスタイル]

2017年05月12日(金) 09時00分配信

HRTの疑問を一挙解決Q&A

更年期症状の治療に選ばれるHRT(ホルモン補充療法)。
HRTとは不足した女性ホルモンを補う治療法。更年期の治療には漢方やサプリメントもありますが、女性ホルモンそのものを増やすのはHRTだけです。
更年期に起こる心身の不調は、卵巣からのホルモン分泌が急激に低下することが原因。ゆえに、もともとあった女性ホルモンを補うことで総合的によくなりやすいというメリットがあります。
さらにプラスアルファのメリットとして、将来の動脈硬化や骨粗鬆症、認知症などの病気を予防する効果も期待ができます。
しかし一般女性の間ではまだまだ普及率が上がらないHRT。今回は、始める時期や続ける期間、飲み方までHRTの疑問を解決していきましょう。

Q1.まだ月経があります。HRTを始める時期はいつがいいですか?

A.つらい症状を感じていたら閉経を待たずに婦人科へ。

月経がある人でも更年期障害の自覚症状があり、エストロゲン値が低い場合はHRTを受けられます。また、それほど数値が下がっていなくても、症状がつらいと感じる場合は使い始めてOK。閉経前の女性の場合は、エストロゲンのみの投与、または低用量ピルという選択肢もあります。閉経年齢やホルモン状態は個人差が大きいので、HRTを開始するのに適した時期は人によって違います。更年期の診療実績のある婦人科に相談してみましょう。

Q2.閉経後から、私は3年たってしまいました。始めるのは遅いですか?

A.始めるのは可能。動脈硬化がないかチェックは必要です。

一般的には、50代で閉経後、できるだけ早く始めたほうが安全性も効果も高いとされています。年齢を重ねて血管が硬くなってからでは、メリットが減少してしまうからです。また、60歳以上は慎重投与とされていますが、微量でも骨量維持には有効だし、膣の乾燥感や不快症状がある場合には局所作用の膣剤に切り替えるなど、薬剤や量を変えながら続けることはできます。健康状態にもよるので、経験豊富な医師に相談を。

Q3.HRTを始めたらやめられなくなりそうな気がします。

A.自分の意志でやめられます。長く続ける人がいるのも事実。

主治医と相談しながら、オーダーメイドのようにできるのがHRTのいいところ。一度やめて、また再開するのも、量を減らしたり、間隔をあけたりしながらやめていくのも自由で、やめたいときにやめられます。長期に続ける人も少なくありません。ヨーロッパでは骨粗鬆症の予防や快適な性生活のために一生続ける女性も多いのです。元気に仕事を続けたいという理由で、60~70代になっても続けている人もいます。

Q4.子宮筋腫があっても、できますか?

A.投与量を減らし、経過をみながら使う方法もあります。

子宮筋腫は禁忌とはされていません。ただ、子宮筋腫はエストロゲンの影響を受けやすい腫瘍であるため、HRTで腫瘍が大きくなるから投与できないと診断されることがあります。一方で、筋腫の大きさに注意をしながらHRTを量を減らして使い、漢方を併用する医師もいます。ほかにも、コレステロール値が高いことや高血圧などを気にする人がいますが、かえってHRTで低下することも。いずれにせよ、定期健診はきちんと受けておきましょう。

Q5.HRTは5年が目安と医師からいわれました。やめないとダメですか?

A.世界基準では違います。本来は医師と相談しながら決めます。

世界的な指針では「5年以内に」とはいっていません。国際閉経学会では、「HRTの投与期間に一律な制限を設けてはならない。個々の症例ごとに検討して決める」としています。急にやめると更年期障害がぶり返す人もいて、いつまで続けるかはその人の生き方・考え方次第です。長期継続する場合は、リスクを減らす投与法も選べます。今の主治医と話し合うことが難しいなら、更年期医療に理解のある他の医師に変えるのも手です。

Q6.ホルモン剤は乳がんのリスクが怖いと友達に聞きました。本当ですか?

A.正しい知識を手に入れて自分で評価・選択を。

エストロゲンと黄体ホルモンの併用投与では、5年未満なら乳がんのリスク増加はなし。5年以上の継続でリスクは微増しますが、死亡率には影響しないことがわかっています。更年期症状がつらいなら、とりあえず数ヵ月だけ試してみてもいいのでは。HRT継続中は婦人科がんや乳がんの検診などを忘れずに。病院に通うのでかえって体のチェックができて安心です。肝心なのは、医療情報を正しく理解し、自分が納得した上で行うこと。それがHRTです。

ホルモン補充療法が適さない人

● 重度の肝障害がある
● 乳がん治療中、または既往
● 子宮体がんの治療中
● ほかのがんの治療中
● 原因不明の不正性器出血があるとき
● 妊娠が疑われるとき
● 血栓症・塞栓症と診断、または治療中
● 心筋梗塞、動脈硬化症の既往
● 脳卒中の既往
※『ホルモン補充療法ガイドライン2012 年度版』より改変引用

HRTは保険診療で受けられます

●治療目的
更年期障害の治療または骨粗鬆症や萎縮性膣炎の治療

●プラスαのメリット
QOLの維持(健康増進)、骨粗鬆症、動脈硬化、糖尿病、認知症などの予防

●受けられる施設
婦人科のほか、更年期治療を取り扱う施設(内科、皮膚科、レディースクリニックなど)

●1ヵ月の治療費
診察代・検査代・薬代で2000円~5000円程度

●受診頻度
2週間~1ヵ月に1回程度

●継続期間
更年期の治療期間の目安は2~3年前後。ただし、自分の意志でいつでもやめ、いつでも始めることができる。薬のタイプや量も、医師と相談しながら、症状に合わせて減らしたり増やしたりできる。HRTをしていなくても毎年検診を。

※年齢や希望する治療によっては自費になることも。アンチエイジングを目的とする場合、更年期を過ぎた年齢では原則、健康保険は適用されない。
※浸潤性乳がんのリスクは、治療5年以内なら増加しない。
※心筋梗塞は、HRT開始年齢が60歳未満または閉経後10年以内ならリスクを増加させない。
■Profile
対馬ルリ子さん
女性ライフクリニック銀座 院長 産婦人科医師 医学博士
専門は周産期学、ウィメンズヘルス。診療のほか、女性の生涯にわたる健康のために全国の女性医師や医療従事者と連携し、情報提供や啓発活動を行う。

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