• > 薬草の効能が高いとされた端午の節句 [おとなスタイル]

薬草の効能が高いとされた端午の節句 [おとなスタイル]

2017年05月05日(金) 09時00分配信

端午の節句にまつわる歴史や慣習からわかる多様な日本文化

「行事にまつわる風習は時代や場所により、違う顔を見せます。こどもの日として知られる端午の節句も、万葉の時代は狩りをして薬草を摘む『薬狩(くすりがり)』を行う日でした。近代の日本が西欧の文化にインスパイアされていったように、当時の日本は大陸にある種の憧れを抱いていたので、古代中国の習俗と古来からある日本の風習が結びつき独自の文化が生まれました。強壮や更年期障害に効く鹿の幼角『鹿茸(ろくじよう)』をとったり、菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)などの薬草摘みをしたり……。仏教思想が広まるにつれて薬狩は形骸化し、そのなごりをあまり感じることはありませんが、鹿茸は現代も漢方や市販の滋養強壮剤に使用されています。蓬は今も人気のお灸の材料で、端午の頃の朝露のついた蓬でつくるもぐさのお灸は特によく効くと言われたことも。厳密にいえば昔は旧暦で、太陽暦では6月半ば頃になるわけですが、この時期のゲンノショウコなどは一年の中で最も効能が高くなることが研究でもわかっています。また時代を経るごとに消えていく風習も多い中で、長い年月をまたいできたのが菖蒲。そう思うと菖蒲湯に入る気持ちも変わってきそうです。」

北海道のべこ餅の作り方

「端午の節句の和菓子は柏餅が有名ですが、北海道のべこ餅などもあり、実は多彩。端午ひとつとっても掘り下げていくと見えるのは、多様な日本の文化のかたちです」
<広田千悦子さん プロフィール>
日本の文化・歳時記研究家、ことばと絵の作家。うつりゆく季節に寄り添い、五感を高めて生きるための素敵な暮らし方を提案。

 
おとなスタイルVol.3 2016春号より
(イラスト・文/広田千悦子)

【関連記事】

NEWS&TOPICS一覧に戻る

ミモレ
FRaU DWbDG
  • FRaU DWbDG
  • 成熟に向かう大人の女性へ
  • ワーママ
  • Aiプレミアムクラブ会員募集中!

このページのTOPへ戻る