• > オーサーコーチが語る、「羽生選手とフェルナンデス選手のこと」 [FRaU]

オーサーコーチが語る、「羽生選手とフェルナンデス選手のこと」 [FRaU]

2017年03月28日(火) 18時00分配信

羽生結弦という史上初の300点超えアスリートに加え、その後ハビエル・フェルナンデスもその道へ導いた、ブライアン・オーサーコーチの軌跡を振り返った著書が2月に発売されるや、フィギュアスケートファンの間で大きな話題となっている。今、新たに『FRaU』にだけ語ってくれた言葉とともに、羽生選手のオリンピック二連覇への予習をしておこう!
構成を手がけた「野口美惠」さんに 聞いたチーム・ブライアンの秘密!

羽生選手とフェルナンデス選手の姿をコーチの視点から綴った一冊。講談社刊

構成を手がけた「野口美惠」さんに 聞いたチーム・ブライアンの秘密!

チーム・ブライアンの勢いは増すばかり。世界各国の選手やコーチから「チーム・ブライアンに入りたい」と、依頼がひっきりなしにやってくる。オーサーは「これ以上、チームを大きくすることは出来ない」と、泣く泣く断る日々だ。

羽生とフェルナンデスが300点超えを果たした秘策は何か。そしてなぜトップの男子2人が同じチームメイトであり続けられるのか。世界中の選手もコーチも、もちろんファンも知りたいことだろう。その答えは、大きく分けて2つある。

1つは、オーサーの経営者的な能力といえる。04年から本格導入された新採点方式に対してオーサーはこう考えた。「新採点方式になって、不平を言うことは簡単ですが何も生み出しません。私は新採点に対してウェルカムでした。『よし、じゃあそのルールを勉強してやろうじゃないか』と」

オーサーは「今のフィギュアスケートが求めている理想像は何か」を徹底的に把握。技術面では、ジャンプの「本数」だけでなく「質」が重要だというカラクリを見抜き、質の高いジャンプを選手に身につけさせた。また演技面でも「これぞお手本」といえるプログラムを作り、ジャッジを「これなら芸術的で高得点を出せる」と納得させ、時代を先取りした。

もう1つの魅力は、オーサーの人間性だ。羽生とフェルナンデスの性格を見抜き、それぞれに合う指導を心がけている。「何でも自分で決めたほうがやる気を出す」タイプの羽生には「オーサーと方向性が違っても、失敗を恐れず、まずは待つ」という方針をとった。羽生は自分らしさを存分に生かすことで、能力を発揮している。

一方、甘えん坊タイプのフェルナンデスには、怒鳴って練習させたり、細かい練習メニューを決めたりする。ケンカする日もあるが、フェルナンデスは「ブライアンが練習することの意味を与えてくれて、人生が変わった」と言う。

冷静な戦略と、まるで子育てのような愛情溢れる指導。この2つのエネルギーが、チーム・ブライアンの原動力なのだ。
今回、『FRaU』はオーサーコーチに、もっと知りたい羽生選手のこと、そして平昌への思いを質問したところ、何と特別に回答を寄せてくれました! その一言一句をここに紹介。コーチにしか分からない、天才たちの素顔と平昌の勝算とは……!?
Q. 羽生選手に関して、過熱するメディアとファンをどう思っていますか? またそのことに対して、どのようなアドバイスをしていますか?

A. 今や、スポーツ競技の繁栄のためにファンの存在は欠かせないもの。ユヅは、ファンの人たちのことをすごく大切に思っているし、ファンの人たちのためにも、いつも良い滑りをしたいと思っている。もしかすると、たまにパフォーマンスや音楽のチョイスなどでファンのみんなを満足させられないことがあるかもしれないけれど、いつもみんなに喜んでもらえるよう僕らはベストを尽くしているんだ。それは決して簡単なことじゃないけど、ひたすらベストを尽くすだけさ。ファンの存在や応援、サポートは、本当に支えになっているよ。だからみんながフィギュアスケートに関心を持ってくれること、そして特にユヅとハビを応援してくれることには、心の底から感謝しているし、嬉しく思っているんだ。
Q. 羽生選手とフェルナンデス選手の二人のトップを抱える心境について、お聞きしたいと思います。いくらタイプが違う二人ゆえ仲が良いといっても、二人はライバル。チーム・クリケットにいるとき、ピリピリした空気に陥ることはないのでしょうか? 二人が良い関係でいられるよう普段気を配っていることを、具体的に教えてもらえたらと思います。

A. 二人とも、お互いの掲げるゴールや練習スタイルをすごく尊敬し合っている。だからリンク上に誰か他の人がいても、彼らもまた同じ重圧を感じているはずだという(暗黙の了解のような)ことを分かっていると思うよ。そして二人が言い合ったり、険悪な空気になったことは一度もない。むしろいつも、どちらかが大変な時にはどちらかが応援してあげているくらいさ。そんな中で僕の役割は、二人の間でのバランスを保ちながら、彼らがその時々に必要としていることを日々把握して提供することじゃないかな。ある日はハビにたくさん気を配る必要があるかもしれないし、ある日はユヅにたくさん気を配る必要があるかもしれない。僕らのチームにはトレーシー・ウィルソンもいて、彼女もいつも二人をサポートしてくれているよ。
Q. 既に3人の世界チャンピオンを育てられ、コーチとしての目標はすべて達成してしまったかのように見えます。今後の夢(たとえば教え子ですべての大会の表彰台を独占したいとか?)、そしてもっと大きな、人生として夢についても是非教えてください。

A. これまでも世界中の素晴らしい選手たちと一緒にやってこられて、自分は本当に幸せ者だと思っているよ。今も、(チームクリケットには)将来が楽しみなジュニア選手たちが何人もいるしね。そんな選手たちの夢を叶えることが僕の夢にもなっているし、その一心でベストを尽くしているよ。彼らの夢が叶う瞬間こそが、僕にとって何よりも嬉しい瞬間さ。加えて選手たちは僕のことを尊敬してくれているし、僕の判断にも信頼を寄せてくれている。だからこれ以上は望まないよ。コーチとして、新しく学ぶことが毎日あるんだ。それがなくなったと感じたときが、コーチではない次の何かへと移るときだと思っているよ。

 

※フラウ2017年4月号より一部抜粋

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