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『雨の日は会えない、晴れの日は君を思う』妻が死んだのに泣けない男がしたことは? [with]

2017年03月09日(木) 18時00分配信

(c)Everett Collection/アフロ

結婚するその時には、誰にでも少なからず相手を思う気持ちがあるに違いない、あってほしいと思うのですが、結婚生活が長くなるにつれてそれがだんだんと当たり前になってゆくのは仕方のないことなのかなあと思います。俗に「空気みたいな存在」と言いますが、たまにはその「空気」を胸いっぱいに吸い込み、お互いが「こんなにいい空気があることは、ありがたいこと」と思える機会を意識的に持たないといけないのだわ――と思ったのは、映画『雨の日は会えない、晴れた日は君を思う』を見たからにほかなりません。

(c)Everett Collection/アフロ

映画の主人公は、突然の事故で妻を失った30代のデイヴィス。周囲がその死に涙する中、デイヴィスだけがその事態に無感覚で、自分がよくわからなくなってしまいます。そんな時、義父から言われた「物事を整理するには、一度すべて分解してみることだ」という言葉をきっかけに、デイヴィスは日常生活のすべてをぶっ壊し始めるのです。

(c)Everett Collection/アフロ

映画の見どころはこのディビヴィスの「破壊行為」です。冷蔵庫のような「モノ」の分解から始まり、通りすがりの解体作業現場で働き始め、夫婦で暮らした家を出て、会社に通わなくなり、それまで当たり前だった日常のサイクルそのものを破壊してゆきます。

すごく面白いのは、そうするうちに、日常の中で「単なる風景」として見過ごしていたものが実在感を増してゆくことです。日常が何よりも強いのは、あまりに何度も反復しているために、もはや考えたり感じたりせずにできるからなのですが、あまりにそれに慣れすぎてしまうと今度は考えたり感じたりすることを忘れてしまうもの。日常の中で妻を「感じる」ことを忘れていたデイヴィスは、日常を破壊することで妻を思い出してゆくのです。
この映画、「妻が死んだのに泣けない男」というモチーフも含めて、昨年の秋に公開された『永い言い訳』にもすごくよく似ているなーと思います。もちろん女子でもあり得る話ですが、何につけ仕事を言い訳にやりすごす男の人は、こういうところがあるのかもしれません。とはいえ、死んでから気づいても遅い!ので、女子たち、たまには思い出してもらうように仕向けねばなりませんね。

『雨の日は会えない、晴れの日は君を思う』絶賛公開中!

文/渥美志保

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