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認知症を予防する“元気脳”のつくりかた [おとなスタイル]

2017年03月06日(月) 09時00分配信

いつまでも元気な脳を作る3つの柱

「もの忘れ」から「認知症」へ進行させない!

いつまでも元気な脳を作る3つの柱

もの忘れを認知症に移行させないためには、「頭の使い方」「運動」「食生活」が重要です。実証データのある具体的な実践法を須貝佑一さんに伺いました。

頭をよく使って「知能の蓄え」を増やせば元気な脳が保てる!

認知症を防ぐ重要なカギが“頭の使い方”です。若い頃から知的活動を活発にしていると、活発に動く神経細胞の数が増えます。すると「知能の蓄え」ができ、これが多い人ほど認知症の症状が出にくいとされています。今からでも「知能の蓄え」は増やせるので、以下でご紹介するような方法で、頭をよく使う習慣をつけましょう。脳を老けさせない運動や食生活も実践すれば、いつまでも元気で若々しい脳をキープできます!
【1】頭の使い方で予防

身だしなみを気にしなくなったら要注意。

【1】頭の使い方で予防

●季節の便り、日記、投稿など文章を書く

若い頃から文章をよく書き、文章能力が高い人は、高齢になっても認知症になりにくいというデータがあります。文章を書くことは非常にクリエイティブな作業で「知能の蓄え」も増えます。季節の便りなどの手紙を書くと、文面を練ったりして頭をよく働かせるので脳の神経細胞も活性化。日記を書いたり、新聞などに投稿するのもおすすめです。

 

●テレビを見て、活字を読んで、ニュースをチェック

テレビを見たり、新聞や雑誌などの活字を読むことは、社会情勢を知りながら脳を働かせるよい機会。アメリカの調査ではテレビをよく見ている人は、ほとんど見てない人より認知症になりにくいというデータも。テレビを見るときは事前に番組表を調べて、見たい番組に下線を引いたりと自分から情報を求めて見るようにすると、さらに脳が活性化する可能性も!

 

●楽器、バンド活動、カラオケなど還暦からの手習い

脳の活性化にいいのが新しい習い事や活動を始めること。特に認知症予防効果が高いのが楽器や歌などの音楽活動。手や指を動かしたり、息を大きく吸ったり吐いたりするので運動と同じ効果もあり、何度も練習するので脳に新たな神経回路が構築されます。楽器を習ったり、バンド活動、カラオケなど、好みのものに挑戦を。

 

●囲碁、将棋、トランプ……etc.の対戦型ゲームをする

脳の神経細胞を最も働かせる行動を調査したところ、1位になったのが囲碁や将棋などの対戦型ゲーム。勝敗を競うので集中しやすく、競技上の駆け引きなどは高度な知的活動を伴ううえ、対戦相手が必要なので社会的な交流も生まれます。トランプやボードゲームなど何でもいいので周りの人を誘って積極的に行ってみましょう。

 

●朝晩2回は、鏡を見ておしゃれと身だしなみ

認知症の初期の人は身だしなみに気を配らなくなる傾向があります。これは自分の状態を洞察する知的能力が弱まるから。おしゃれをしたり、身だしなみを整えることは、鏡で自分の状態を観察し、どんな格好だと好印象か想像してコーディネートを考える高度な知的活動。朝晩2回は鏡を見て、身だしなみを整えましょう。
【2】運動で予防

無理をしないことが長続きのコツです。

【2】運動で予防

●週3回、30分以上の有酸素運動で脳の血流アップ

運動の中でも特に認知症予防効果が高いのが有酸素運動。有酸素運動は脳の血流をよくし、神経細胞を刺激して、脳の中で記憶などを担う“海馬”で新しい神経細胞を生み出すのを助けるといわれています。週3回以上、1日30分以上行うのが理想的。最も手軽にできるのがウォーキングで、普段より歩幅を大きめに歩くだけでOKですから習慣に。

 

●ラジオ体操や踏み台昇降なら家の中でもすぐできる

近年、人気が再燃しているラジオ体操は、全身の筋肉を刺激するバランスが取れた運動で、脳の血流アップにも効果的。また、もうひとつ手軽にできる有酸素運動が踏み台昇降。踏み台を用意して上り下りするだけで、脳の血流がよくなり、下半身や体幹の筋肉も鍛えられます。すき間時間などに取り入れてみて。

 

●家事は極力、自分で行って体を動かす

子ども世代と同居すると、年齢を重ねるごとに自分で家事をしなくて済む状況が増えます。でも家事は体と脳を動かすよい機会。自分でしなくなると体や脳の老化が進みます。特に料理は、献立を考え、食材を調達して調理し、美しく盛り付けるという複雑な知的作業。家事はなるべく自分でする努力を。
【3】食生活で予防

DHAなどが豊富な青魚を意識して食べるようにしましょう。

【3】食生活で予防

●カロリー過多はNG!ゆっくりかんで腹7分目に

食べ過ぎは禁物。生活習慣病を誘発し、脳血管障害性認知症を招く要因になるからです。加齢とともに消費エネルギーは減るので、満腹感を感じるほど食べるとすぐカロリー過多に。よくかんで食べるようにすると、自然と食べ過ぎが抑えられます。1口30回を目標に咀嚼して、腹7分目を心がけましょう。

●脳に効くのは、積極的な魚料理の摂取

アメリカの調査で、週1回以上魚を食べる人は、全く食べない人よりアルツハイマー病にかかりやすくなるリスクが60%も減るというデータがあります。魚に含まれるDHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸が、脳細胞が正常に働くのを助けるためと考えられます。普段から、DHAやEPAが豊富な青魚をしっかりとりましょう。

●野菜の抗酸化成分がアルツハイマーを防ぐ

野菜に含まれるビタミンやポリフェノールなどの抗酸化物質は、アルツハイマー病の原因となるβたんぱくの脳への蓄積を防いでくれます。抗酸化物質には血液をサラサラにする作用もあるので脳血管性認知症の予防効果も。野菜の副菜を1品増やしたり、野菜ジュースを作って飲むなどして摂取量を増やして。

●和食と地中海料理がボケない2大料理

和食は青魚や野菜を、認知症予防に有効な栄養素の損失の少ない“生”で食べることが多く、脂質も少なめで脳の健康にいい料理。また地中海料理は、魚や野菜を多くとり、血中の悪玉コレステロールを減らして脳血管障害も防ぐオリーブオイルを多用します。どちらの料理も積極的にとるのがおすすめ。

 

■Profile
須貝佑一さん
浴風会病院精神科医師
認知症介護研究・研修東京センター運営委員

東京大学医学部保健学科卒業。国立精神・神経センター武蔵病院勤務などを経て現職に。浴風会病院精神科では「もの忘れ外来」を担当。著書は『死ぬまでボケない頭をつくる!』(すばる舎)など。

 

おとなスタイル(NHK団塊スタイル)より
(イラスト/itou・megumi)

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