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デリケートゾーンの痒み、ニオイ、乾燥…その原因は? [おとなスタイル]

2017年02月10日(金) 09時00分配信

デリケートゾーンの乾燥、我慢していませんか?

ドライヴァジャイナ(膣乾燥)は、年齢を重ねた女性に起こりやすいトラブルの一つ。デリケートな部分だけに、相談しにくいという悩みも多いよう。どうしたら楽になるのか、婦人科医師の安江育代先生に聞きました。
デリケートゾーンで起きている“乾き”とは?

心当たりがある人は医師に相談がオススメ

デリケートゾーンで起きている“乾き”とは?

女性の体は、40代の半ば頃からエストロゲン欠乏の影響を受けるために、粘膜の乾燥・萎縮が起こります。それは膣粘膜でも起きていて、デリケートゾーンの不快症状となって現れます。

【乾燥】 カサついて弱くなる
閉経後は、膣の乾燥症状がより進行します。膣の粘膜が薄くなり、傷つきやすくなるために、出血したり、ひりひり痛む人も。

【膣炎】 おりものが増える、におう
膣内の自浄作用が低下し、細菌に感染しやすくなります。膣炎を起こすと、黄色いおりものが増えたり、かゆみやにおいが出ることも。

【性交痛】 分泌物が減少し濡れにくい
膣は乾燥し萎縮してくると狭くなります。性交時に痛みを感じたり、出血することも。潤滑ゼリーを使うことで和らぐこともあります。

【膀胱炎】 細菌に感染しやすくなる
胱の粘膜も萎縮します。尿道口から細菌が侵入しやすくなり、膀胱炎にもかかりやすくなります。

エストロゲンが減ってくると乾燥と萎縮が起こる

女性は更年期(閉経を挟んで前後10年間)ぐらいから、全身の乾燥症状に悩まされる人が増えていきます。乾燥は肌だけでなく、目、口、そして膣にも起こります。特にドライヴァジャイナ(膣乾燥)は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少が関係しています。

「エストロゲンには、皮膚(粘膜)のコラーゲンを保ち、保湿力を守る働きがあります。年齢とともに卵巣機能が低下し、その分泌が減ってくると、膣周辺の粘膜が乾燥し、萎縮してくるのです」

安江育代さんのクリニックにエストロゲンが減ってくると乾燥と萎縮が起こるも、ドライヴァジャイナに悩む患者さんが、かなり多く訪れるそう。

「主な訴えとしては、閉経後の外陰部のかゆみや痛み。性交痛は閉経前から感じている方が多いです。かゆくてかきこわしてしまう、痛くて自転車に乗れない、入浴時の石鹸がしみるという方も。膣や外陰部の粘膜が薄く、もろくなってくるので、ちょっとしたことで傷つきやすくなるんですね」

閉経後は、卵巣からのエストロゲン分泌がなくなり、膣内の自浄作用も低下。大腸菌などに感染して、膣炎を起こしやすくなります。

「膣炎になるとおりものが増える、おりものの色がおかしい、におうなどの症状が見られます。抗生物質などで細菌を殺す治療をして、いったん治まっても、感染に対して弱い状況は変わらないので何度も繰り返してしまいます」

こうした悩みを解消するには、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)を補う「ホルモン補充療法(HRT)」が有効。「HRTは、ほてりや発汗など、いわゆる更年期障害に対して有効で、早い人では2週間程度で効果が現れてきます。それに加え、皮膚(粘膜)、髪、骨の状態の改善も期待できます。ただ、あくまでも薬剤ですので、副作用に注意しながら服用してください。

更年期の症状は長引くことも。毎日の生活に支障が出るほどつらいなら、我慢することはありません。早めに婦人科に相談しましょう。性交痛には、潤滑ゼリーを用いるのも一つの方法です」

実録!私もドライヴァジャイナになりました

【Case1】 閉経5年後に膣トラブルおりものが増え、出血も
47歳で閉経したAさん。52歳頃からおりものが増え、出血もあったため婦人科へ。典型的な萎縮性膣炎と診断。膣からは大腸菌が検出され、細菌性膣炎を起こしていました。
抗生物質で治療をしましたが根本治療にはならず、以来、同じ症状を繰り返しています。

【Case2】 下着がすれるだけで痛いドライマウスも同時発症
Bさんは52歳で閉経。下着がすれるだけで膣周辺が痛い、口が乾くなどの症状が。医師にHRTを勧められていましたが、ホルモン剤に抵抗があり我慢していました。59歳でHRTを開始すると、口の乾燥や外陰部の痛みが消失し、のぼせや不眠などもかなり改善しました。

【Case3】 受診のきっかけはかゆみHRTで更年期症状も改善
膣の乾燥によるかゆみに悩まされていた55歳のCさん。かゆくて外陰部をかきこわしてしまい、ひどい湿疹ができてしまいました。医師の勧めでHRTを始めたところ、外陰部のかゆみも、更年期症状である発汗やほてりも改善。性行為もうまくいくようになりました。

※体験談は、実際の症例をもとに個人を特定できないように編集しています。

治療はホルモン補充療法(HRT)が効果的です

ホルモン補充療法(HRT)は、ドライヴァジャイナのほか、更年期のホットフラッシュ改善などにも効果の高い治療法。閉経後早期に開始することで、より安全に治療できます。飲み薬、貼り薬、塗り薬、膣に入れる座薬があり、更年期障害の緩和や萎縮性膣炎・性交痛の治療に対して、保険が適用されます。ただし、乳がんの治療中などでホルモン剤が使えない人もいます。

ドライヴァジャイナは婦人科で診てもらえます

膣の不快感やトラブルは、婦人科や女性外来で診てもらいましょう。ドライヴァジャイナが起きている人には、ホットフラッシュなど、ほかの更年期症状も見られることが多いので、更年期医療に詳しい医師に診てもらうことをお勧めします。

日本女性医学学会のHPで女性ヘルスケア専門医が検索できます。

 

■Profile
婦人科医師
安江育代さん
東京慈恵会医科大学卒業。医学博士。
’91年に安江レディースクリニック(東京都中央区日本橋)を開院。月経不順、月経痛、不妊症から更年期の健康管理まで、じっくりと相談に乗ってくれる医師。

 
(イラスト/itou・megumi)

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