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酒井順子「格好いい50代の条件」 [おとなスタイル]

2017年01月17日(火) 18時20分配信

格好良く見える女性になるには!?

著書に『ユーミンの罪』『オリーブの罠』『裏が、幸せ』『「来ちゃった」』『子の無い人生』など多数を持つ、エッセイスト酒井順子さんに、格好良く見える大人の女性、ダサく見える理由を教えていただきました。

齢五十にならんとする最近、開放感を覚えるように

「何を着ていいのかわからない」

という感覚を抱くようになってから、もう十年以上の時が経ったかと思います。
若い時のように、「流行もおさえておきたい」とか「華奢感を出したい」とか「異性ウケも良い方が」といった願望は、持っている。しかし自分の年齢は確実に増して身体も顔も変化し、「合う」服は昔とは違ってきた。そんな微妙なお年頃の女性に向けた服のブランドも、特に十年前はそう多くはなく、我々は服選びに彷徨することに……。

それは、我々世代だからこその悩みだったのかもしれません。かつて、既婚女性は安心して老けゆくことができる時代がありました。しかし今は、結婚や子どもや仕事に関係なく、女性はいつまでも若く、異性にアピールする存在でなくてはいけないらしい。かといって頑張りすぎると「痛い」と言われてしまうわけで、ますます困惑は深まるのです。

同世代の友人の中には、その手の困惑は全く感じずに、安心して老けていく人もいました。かつては可愛い服ばかり着ていたのに、いつの間にか服も髪ももっさりと。つまり、明らかに「おばさん」になっているのです。
しかしその手の人は、幸福そうでした。「自分は幸せである」という自信があるからこそ安心して老けていくことができる、というか。彼女は「デブだと思われたくない」「ダサいと思われたくない」「モテたい」といった煩悩からは、確実に解放されていたのです。
その手の煩悩をいつまでもひきずっていた私ですが、しかし齢五十にならんとする最近になって、少しずつ開放感を覚えるようになってきました。大人の女性を格好良く見せる基準は若い頃とは違っているということに、気づいたからなのでしょう。

素敵な大人の女性とはどのような人かと見てみると、それは「堂々としている人」でした。自分の物差しを持っていて、それが他人からどう見えようと、「私はこれでいいのだ」と思うことができる人。

若い頃ならば、自信無さげにおどおどしている姿も、「可愛い」とされたかもしれません。しかし「おどおどした中年」に可愛げは無く、どんなに高価で素敵な服を着ていたとしても、そのおどおど感がダサく見せてしまうのです。

■Profile

酒井順子
さかい じゅんこ
エッセイスト。1966年東京都生まれ。2004年『負け犬の遠吠え』で講談社エッセイ賞、婦人公論文芸賞を受賞。著書に『ユーミンの罪』『オリーブの罠』『裏が、幸せ』『「来ちゃった」』『子の無い人生』など多数。

『おとなスタイル』Vol.5 2016秋号より
(イラスト/松園量介)

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