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【ゲスト/女優・小林聡美さん】俳句の雰囲気を左右する「てにをは」の使い方 [おとなスタイル]

2016年11月03日(木) 09時30分配信

洋服/スズキ タカユキ (スズキ タカユキ)

「大げさに考えず、四季や日本文化を楽しみながら俳句をずっと続けたいです」
おとなのふたり句会Start! 夏のお題「日傘」

昔見た白黒映画のワンシーンを連想して

おとなのふたり句会Start! 夏のお題「日傘」

小林 最近、日差しがどんどんまぶしくなってきましたね。今回は、そんな夏にぴったりの題、「日傘」を先生にいただきました。白日傘というと、凛とした、お洒落な夏の小道具というイメージがあります。今回は二句とも、昔見た白黒映画のワンシーンを思い出しながら詠みました。高峰秀子さんのような女優さんが、こんなシーンを演じていらっしゃったな、という映像が心に残っていて。
宇多 ええ、日傘と言えば、高峰さんですよね。よくわかるわ。俳句をしていると、言葉に出合うたびに、自分のなかにある映像がよみがえってきますよね。それがまた、楽しいんです。
小林 そういったきれいで、ちょっと艶っぽい女性が、田舎の畦道を急いで歩いているというシーン。誰かと約束をしているのか、バスや電車に遅れそうなのか。なぜ急いでいるんだろう、と思わせる感じを出せたらいいな、と。
宇多 とてもいいですね。夏の青空の下、足早にチャッチャカ、チャッチャカ歩いていく感じがよく出ていて。使い方の難しい、切れ字の「かな」も効いています。
小林 ああ、よかった!
宇多 切れ字とは、句読点のようなもの。感嘆を表す「かな」を使うことで、「日傘であるよ」と言い切る感じがよく出ていますね。

偶然にも小林さんと似た句に

宇多 偶然だけれど、これは小林さんの句に似ているんですよ。あなたは「畦道」ですが、私は「川沿い」で。日傘という言葉を聞いて、二人とも道を真っすぐに歩いていくイメージを持ったのね。
小林 そうなのですね。でも、「行く」という直接的な動詞を使ってしまう私とは違い、「真直(ますぐ)を」という言葉で「行く」ことを表していらっしゃる点がさすがです!ちなみに、動詞はあまり使わないほうがいいのでしょうか?
宇多 いいえ、2つ3つ重ならないほうがいいけれど、入ってももちろん大丈夫。あと俳句で大切なのは、「てにをは」の使い方です。「道を真直に」とするのか、「道の真直を」とするかで、また少し雰囲気が違ってきますね。

■Profile
宇多喜代子先生
うだきよこ
俳人。現代俳句協会特別顧問を務める。
著書は『名句十二か月』(角川選書)、『里山歳時記田んぼのまわりで』(日本放送出版協会)など多数。作家の故・中上健次氏との親交でも知られる。農事や歳時記に造詣が深い。

小林聡美さん
こばやしさとみ
1965年、東京都生まれ。
映画やドラマ、CMへの出演のほか、『散歩』(幻冬舎文庫)、『読まされ図書館』(宝島社)などエッセイの著作も多数。NHKEテレ「趣味どきっ!」(火曜担当)、公開中の映画『海よりもまだ深く』に出演。

 
『おとなスタイル』Vol.4 2016夏号より
(撮影/関めぐみ)

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