• > 小林聡美さんが語る“俳句の恵み”とは? [おとなスタイル]

小林聡美さんが語る“俳句の恵み”とは? [おとなスタイル]

2016年07月30日(土) 09時00分配信

小林聡美さん

「俳句を始めてから、これまで見過ごしていた“発見”があります」

微笑ましい情景が浮かびます。

暮らしに俳句があれば、“退屈なしの生憎なし”


宇多 小林さんのこちらの句も、あなたらしくてとてもいいわね。

小林 ありがとうございます。草餅を食べたい姉妹が、食べてもいいのかなと気にしながらおとなしくいい子にしている感じが可愛らしいな、と思って詠みました。

宇多 先ほどの句は要素がふたつですよね。草餅とその上句とは本来、何の関係もない情景です。そしてこちらは上から下まですっと通った、一本の句。二句そろって、ちょうどいいバランスですね。

小林 実は私、そういう理屈はわからずに、闇雲に感覚だけで作っているんです。

宇多 それは作っているうちにいずれ身につくものですよ。続けてくださっていると、こういう句ができるからうれしいわね。

小林 先生、本当に褒めるのがお上手です(笑)。

「80歳になった今でも、毎日、周りを見ているだけで大忙しですよ──宇多喜代子先生」

宇多 一人は寂しいと感じる方もいるけれど、“にぎやかな一人”というのもあるんですよ。俳句をしているといろんな景色が内に広がって、一人がいつもにぎやかなんです。その思いを詠みました。

小林 私も俳句を始めてから、今まで以上に草木をよく観察するようになりました。冬の季語に「枇杷(びわ)の花」というのがありますが、どんな花だろうと思い、近所の枇杷の木を見に行ったんです。すると小さな白い花がちょっと茶色くなり始めていて、その後に出現する実の気配がすでにあるんです。たくさんの発見がありますね。

宇多 私も歳を重ねるごとに、ますます“俳句の恵み”を感じていますよ。“退屈なしの生憎なし”なの。雨が降っても風邪を引いても、それを楽しめるんです。

小林 それは“にぎやかな一人”ですねえ。

宇多 まさにそう。だから80歳になった今でも、退屈どころか、周りのものを見ているだけで毎日が大忙しなんです(笑)。
<小林聡美さん プロフィール>
1965年、東京都生まれ。映画やドラマ、CMへの出演のほか、『散歩』(幻冬舎文庫)、『読まされ図書館』(宝島社)などエッセイの著作も多数。映画は4月公開『あやしい彼女』、5月公開『海よりもまだ深く』に出演。

<宇多喜代子先生 プロフィール>
俳人。現代俳句協会特別顧問を務める。著書は『名句十二か月(』角川選書)『、里山歳時記 田んぼのまわりで』(日本放送出版協会)など多数。作家の故・中上健次氏との親交でも知られる。農事や歳時記に造詣が深い。

おとなスタイルVol.3  2016 春号
(撮影/関めぐみ)

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