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『裸足の季節』にみる封建的な思想下の驚愕の結婚事情! [with]

2016年06月14日(火) 17時30分配信

『裸足の季節』 (c)2015 CG CINEMA-VISTAMAR Filmproduktion-UHLANDFILM-Bam Film- KINOLOGY

トルコに生まれフランスで映画を学んだ女性監督デニズ・ガルゼ・エルギュヴェンによる大評判の映画『裸足の季節』は、トルコの田舎町に住む美しい5人姉妹を描いた、第一印象は「トルコ版『ヴァージン・スーサイズ』」といった趣の作品。

『裸足の季節』 (c)2015 CG CINEMA-VISTAMAR Filmproduktion-UHLANDFILM-Bam Film- KINOLOGY

冒頭、学校帰りの彼女たちが制服のまま海に飛び込んでゆく場面なんて、「トルコの女の子ってなんて美しいのかしら」と思うようなワイルドさとセクシーさに満ちていて、映画の原題「マスタング(野生馬)」という言葉もピッタリ。そこに男の子たちが何人か加わって騎馬戦なんかしちゃって、もう、青春って!とうっとり見てしまう――のですが、これが大騒動の発端になります。
彼女たちを待っていたのは祖母からの折檻、病院での「処女検査」(!)、そして育ての親である叔父の「家から一歩も出さない」という恐るべき決定だったのです(携帯電話や派手なアクセサリーなど“不埒なもの”はすべて没収)。彼女たちを見ていた近所の年配女性が、「男の首で淫らなことをしている(←騎馬戦の肩車のこと)」と告げ口したんですね。

6月11日(土)より、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー! (c)2015 CG CINEMA-VISTAMAR Filmproduktion-UHLANDFILM-Bam Film- KINOLOGY

ここから古い慣習に支配された地域の知られざる結婚事情が明らかになってゆきます。叔父と祖母は彼女たちにおそろいのドドメ色の服を着せてレストランに連れてゆき、あえてそこらを歩かせます。これ、お見合い相手の両親に見せてるんですね。ほどなく男側の両親が家に尋ねて来て「本人同士の初対面」となるわけですが、これお見合いじゃなくこの場で求婚です。それも本人たちは一言も発さぬまま、男の父親が「若いものはお互いに気に入ったようですので、私から求婚します」、すると娘の父親が「お受けします」と答え、オッサン同士のプロポーズ終了。ひやああああああああ!なんでなんでなんで!と私だったら大暴れするところですが、ここで大暴れしてたらその先で絶対に死にたくなるに違いありません。結婚する女子は処女でないと許されず、なんと夫の両親が初夜のシーツをチェックするのです。血痕がなければ、またしても「処女検査」のために医者に直行……。

トルコは世俗的イスラムの国(政治と宗教が分離している)ですから、都会ではもっと別の形もあるだろうし、封建的思想が強い地域や田舎ではもっともっと厳しいのかもしれない。国や地域によってばらつきがあるのだとは思いますが、それでも同じ女子として、なんだか気の毒に思えてなりません。
こうした風習を持つ社会に「間違ってる!」と自由主義的価値観を押し付けるのが正しいとは思わないけれど、問題はこれを嫌だと思っている人に他の選択肢が与えられないこと。世界中で侵害されている「女子の選択の自由」、どうにかならないのかなあ。 (文:渥美 志保)

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