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女優・小林聡美さんインタビュー「日々、心がけていること」 [おとなスタイル]

2016年05月22日(日) 09時00分配信

静かな時間を持ち、大工仕事に精を出す

女優・小林聡美さんが、 日々、心がけていることとは?

静かな時間を持ち、大工仕事に精を出す

新しいことに楽しみながら次々と挑戦する小林さんの姿は、WOWOWで放送されたドラマW「山のトムさん」で演じる主人公、ハナともよく似ている。 ハナは東京から田舎に移り、友人とその娘、中学を卒業したばかりの甥アキラとともに暮らし始める。少しずつ畑仕事にも慣れてきたある日、ネズミを退治するため、ネコのトムが家族に加わることに。ヤギやニワトリも飼い始め、てんやわんやのうちにも穏やかな日々が過ぎていく。忙しい年の瀬にほっと一息つける、温かな物語だ。
「撮影はひと月、八ヶ岳に滞在して行いました。風で木が揺れる音やカエルが夕方ゲコゲコと鳴く声、鳥のさえずりなどしか聞こえなくて、本当に静かな環境でしたね」
ここ数年プライベートでも、とりわけ静かな時間が好きになった。
どうしても見たい映画や番組があるとき以外はテレビをつけず、音楽も聴かない、無音の日々。「世の中の流行やひどいニュースに触れすぎないせいか、気持ちがすごく落ち着くし、頭もクリアになるんです。時間の密度が濃いなあ、という感じがします」
畑仕事に精を出すハナと同様、自分で壁紙を貼ったり、扉の取っ手を替えたり、家具の色を塗ったりと、手を動かすことも得意だ。
「10代で一人暮らしを始めたとき、まず揃えたのが、ドライバーやトンカチといった大工道具だったんです。ものを作ったり直したりするのは、昔から好きですね。時間があれば、編み物とかもやりたいんです。毛糸だけは買ったんですけど、まだ袋に入ったまま。うちのネコの腹巻きでも作ろうかな、なんて思っていて(笑)」
撮影を通じ、田舎暮らしに改めて憧れを持ったという小林さん。
「気の合う友だちと、こんなふうに暮らすという方法もあるんだなと思うと、老後の計画の一つとしてアリかもしれない。畑仕事ができるくらい元気なうちに実現できるかどうかは、わかりませんけれどね」

“手間”を楽しむ。そんな時間を大切にしていきたいです

心地よく気のいい撮影現場では、微笑ましい“奇跡”も起こった。
「アキラ役の伊東清矢くんは野菜が一切食べられなくて、好物は流行りのハイパーな栄養ドリンクだって言うんです。だから食卓を囲むシーンの撮影では、私と市川(実日子)さんが『ほら、野菜、おいしいよ』と、お節介に取り分けてあげていて。すると、最初は仕事だから無理して食べていたんですが、撮影が終わる頃には本当に野菜嫌いを克服していて。『アキラのお肌がツルッツルになっていく!』って、みんなビックリしていましたね」
この作品のなかで描かれる日常は、便利さやインスタントな娯楽とは無縁だ。だが、畑仕事や日々の料理、動物たちの世話など、それぞれが生活のなかにある豊かさを十分に味わっている。「手間をかけることを楽しいと思えれば、それは面倒ではないんですね。たとえばお礼もメールで済ませるのではなく、あえて手書きの手紙を送ってみる。たとえ字が下手でも、相手に対する思いや大事なことが少しは伝わるかもしれない。そうした“手間”に気持ちを向けることって、無駄ではないなと思うようになりました」
仕事の傍ら、小林さんは4年制大学に社会人入学して、20歳以上離れた同級生と仲良くキャンパスライフを楽しみ、今春、無事卒業。さらに大学院に進学し、「近世の風俗や落語の歴史的展開を研究したい」と少し照れ臭そうに話す。新しい扉を開けることを恐れず、軽やかに飛び込んでいく姿は、見ていて羨ましくなるほど清々しい。
「積み重ねた経験や年齢によって自信を持つことも大切ではあるけれど、私は何をするにも『できる』と最初から思わず、『自分はそんなに大した人間じゃない』と考える節があって。そう考えながら、その都度、できる限りのことをやっていれば、たとえ失敗したとしても『今の私はこのくらいなんだな』と謙虚に受け止められる。でもそれを“逃げ”にしないで、日々暮らしていきたいと思っています」
今の人生に欠かせないものたち

珈琲の芽と、オリーブの実

今の人生に欠かせないものたち

珈琲の芽と、オリーブの実
近所の珈琲豆屋さんからいただいた2粒の珈琲の実を植えたら、何と芽が出て成長中。いつか花が咲くのを見たい。オリーブも台風でなぎ倒され、鉢が派手に割れたにもかかわらず、立派に結実!

落語にまつわる本たち
聴く落語とは別に、落語についての本を読むのも面白い。仕事が忙しく、大学院の授業に今はあまり出席できていないのですが、落語を聴いたり本を読んだりするほうはしっかり続けています。

毎月作っている句会の会報
「日欧ウィローズ句会」は毎月会報も作ります。現在の同人は8人。フィンランド在住の友人もSkypeで参加します。毎回無記名で投句し、順位を決定。全員の俳句と成績が会報に記載されます。

<小林聡美さん プロフィール>
1965年、東京都生まれ。映画、テレビ出演のほか、エッセイの著作も多数。

おとなスタイルVol.2 2015冬号より

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