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エッセイスト・森下典子さん猫との暮らしから教えてもらったこと [おとなスタイル]

2016年05月14日(土) 09時00分配信

猫との暮らしが、毎日の喜びを何倍にも増やしてくれる

自分はずっといわゆる犬派だと思っていたの。でも、今はもう、うちの2匹にメロメロ」
エッセイスト・森下典子さんの暮らしは、自宅の敷地内で生まれた小さな命によって激変した。50歳を過ぎて、初めて猫、しかも2匹との暮らしがはじまったのだ。
「それまでは母と二人暮らしで、ちょっとしたことでケンカをすることもありました。でも、猫と暮らすようになってから、彼らが媒体になってくれてどんなに助かっていることか!」
猫たちもわきまえたもので、敷地内で仔猫を産んだ母猫のミミちゃんは典子さん、生まれた太郎ちゃんはお母様、とそれぞれに甘える相手を分けているという。
「もちろん、どっちもかわいいの。でも私は一応ミミちゃんに先に挨拶したり、気を遣っていますよ。『太郎ちゃん、かわいいね~』なんてやっているところをミミちゃんに見られたら、一日そっけなくされちゃいますからね(笑)」
飼いはじめた当時は、家の中に母猫ミミちゃんと5匹の仔猫がやってきたというから、仔猫たちの飼い主を探すので精一杯。覚悟も熟慮もしている暇はなかった。
「でも太郎ちゃんがもう8歳、ミミちゃんはそれより1~2歳上でしょう。いなくなっちゃったらどうなるんだろう、という恐怖はあります。でもね、だったら一緒に暮らしはじめなければよかった、という考えにはなりません。それって、『どんな恋にも終わりがあるから恋はしない』って言っているようなものですよね」
森下家にやってきた猫たちは「生きる」そして「老いる」ということを私たちにしっかりと見せてくれている、と森下さん。
「若いころなら『かわいい、かわいい』だけだったかもしれない。でも今だからこそ猫からのメッセージをより多く受け止められている気がしますね」
猫との生活で、森下さんに“新たに生まれたこと”

猫で家庭の空気がガラリと変わり、会話がやわらかく

猫との生活で、森下さんに“新たに生まれたこと”

母親との二人暮らしで猫がクッションに。直接言いにくいことも猫を通して「お母さん、ああしてくれたらいいのにね~」と語りかけることでやわらかく伝えることができるようになった。

なにも言わなくてもすべてわかってくれる存在

「猫の毛に触れているだけで、ストレスがスーッと抜けていくような気がする」というほど“猫派”に転じた森下さん。言葉を理解し、ときに癒やし、励ましてくれる猫の存在に感謝。

命の誕生から、おそらく死。猫が教えてくれる人生の縮図

猫たちを失うのはとても怖い。でも、ともに歳を重ねることで、これからの自分を見せてくれる。小さな命が「生」を見せてくれることで、自分や親の「老い」が怖くなくなったという。

<森下典子さん プロフィール>
エッセイスト。1956年生まれ。『猫といっしょにいるだけで』(新潮文庫)では、母親との二人暮らしのなかで突如はじまった猫との暮らしを愛情深く、深い洞察力で描いている。現在は母猫ミミちゃん、その息子太郎ちゃんと、のんびり4人暮らし。

おとなスタイルVol.2 2015冬号より

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