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岡田准一×栗城史多 スペシャル対談「山へ行こうよ!」 [FRaU]

2016年03月11日(金) 12時00分配信

実力派俳優と若き登山家、“山”が繋げた二人の縁

岡田准一×栗城史多 スペシャル対談「山へ行こうよ!」

実力派俳優と若き登山家、“山”が繋げた二人の縁

――顔を合わせるなり「お久しぶりです!!」ガッチリと握手を交わした岡田さんと栗城さん。
そして、ロケバスを降りて撮影場所に向かう間も、撮影中も……カメラマンが止めるのを躊躇してしまうほど、肩を並べて楽しげに言葉を交わし続けた二人。「何を話していたんですか?」と岡田さんにたずねると、返ってきたのは「最近はどこの山に登ったか、エヴェレストにはいつ挑戦するのか、一緒に雪山に登ろう……山の話ばかりですね(笑)」という言葉。
“実力派俳優”と“若き登山家”、異なるフィールドで活躍する二人が出会ったのは約8年前。岡田さんのラジオ番組にゲストとして栗城さんを招いたのが最初の出会いだったそう。

岡田 当時は今ほど山に登っていなくて。それだけに、山の魅力を聞きたくて栗城君に来ていただいたんですけど。まず、彼の口から飛び出したのが「僕、ドMなんです」っていう言葉で(笑)。

栗城 ははははは!! 確かに、言いましたね、そんなこと(笑)。

岡田 まあ、それくらい栗城君は過酷な山に登っているわけなんだけど。山の魅力や楽しみ方だったり、山に対する純粋な思いだったり……そこで栗城君から聞いた話が、僕の山への興味をさらに広げてくれたのは事実なんですよ。昔から山には興味があったし、周りにも山好きの男が何人かいて。「一緒に登ろう」という話はちょくちょく出ていたんです。でも、なかなか忙しくて行けなくて……そしたら、その間に仲間達がいい感じの山男に仕上がっていたという(笑)。そんな仲間と一緒に登るようになってからですね、本格的に山ハマるようになったのは。

「前人未到の領域に挑む栗城君は、やっぱり少しどこかおかしい」――岡田准一   

――富士山、西穂高、瑞牆山……様々な山を登ってきた岡田さんが出演しているのが映画『エヴェレスト 神々の山嶺』だ。
「命を削ってまで挑む理由は?」「その先には何があるのか?」岡田さん演じるカメラマンの深町はその答えを探すように伝説のクライマー羽生丈二(阿部寛)の背中を追い始める……。
数々の登山家を魅了し数々の命を奪ってきた“神の山”を舞台に、その頂を目指す男達の姿を壮大なスケールで描いた物語。今作は実際にベースキャンプにほど近い場所に拠点を置きエヴェレストで撮影。標高5200mという過酷な場所で撮った、その臨場感溢れる映像も大きな話題を呼んでいる。

栗城 先日、映画の試写を拝見したんですけど……凄かったです。何が凄いって、まず、ベースキャンプまで行ったのが凄い。
よく「栗城さんのドキュメンタリーを撮りたい」「一緒にエヴェレストに登りたい」そう声を掛けて下さる方がいるですけど。やっぱり不安になるんでしょうね、「じゃあ、行こう!!」となると、たいていの人が躊躇するんですよ。たとえ一緒にベースキャンプまで行けたとしても、あまりの苦しさにゲーゲー吐いてしまったり、挙げ句の果てには「もう帰りたい」と泣きつかれてしまったり……。

岡田 はははは!! それは困る(笑)。

栗城 つまり、それくらいエヴェレストってしんどい場所なんですよ(笑)。今回、岡田さん達が撮影した標高5200m付近も同じ。空気の薄さは地上の半分ですから。台詞ひとつ発するのも苦しかったんじゃないかと。実際に経験した5200mの世界はどうでした?

岡田 地上では通常は90超える血中酸素濃度が油断するとスグに70まで下がってしまったり。寝ている間に下がることも多くて、起きた瞬間に「ヤバい」と感じたことも。
雪山では機材を動かすほうが大変だから。そんな環境のなか、足跡をつけないように2時間かけて遠回りして登り「よーいスタート!!」の声で下りていく……その繰り返しはさすがに体力的にもきつかったから。確かに「しんどくなかった」と言えば嘘になるけど…。
それよりなにより、僕が5200mで痛感したのは「この上と下では全然レベル違う」ということだったんですよ。この先に進む人を山が選ぶというか、「簡単に手を出しちゃいけない」見えない壁が立ちはだかっているというか、あの場所に立つと境界線のようなものが見えてくるんですよ。
これは僕だけじゃなく現場の皆が同じことを感じていましたからね。それだけに、5200mより上に進む人っていうのは、やっぱり……ちょっとどこかおかしい(笑)。

栗城 ははははは!! でも、そういう岡田さんも完成披露記者会見で言っていましたよね?「もう一度エヴェレストに挑戦したい。次はもっと上まで登りたいと思っている」って。完全に“こっち側” の発言ですからね、それ(笑)。岡田さんも認めましょうよ“こっち側”の人間だって

――「5200mを経験したら6000mの景色が見たくなった。それだけに、6000mを経験したら7000m、7000mを経験したら8000m……どんどん上を求めてしまいそうな自分を感じている」そう語る岡田さんに対し「僕も同じですよ。6195mのマッキンリーを登ったら、南米の7000m近い山を登りたくなり……最終的にエヴェレストの頂を目指していた」という言葉を投げ掛け「そろそろ岡田さんも“こっち側”の人間だってことを認めましょうよ」と笑った栗城さん。

岡田 いやいや「こっち側」って軽く言いますけど。栗城君がいるのは“デスゾーン” ですからね、死んでもおかしくない場所ですからね。
今作の撮影前も行ったけど、エヴェレストレベルの山に登るときって、事前に病院で検査を受けて、医師からOKをもらわないといけないんですよ。そこで、僕が医師から言われたのが「ちょっとバカになるから気を付けてね」という言葉(笑)。やっぱり、空気が半分になると脳に酸素が行き渡らないから、物忘れがひどくなってしまう人もいるらしくて。
つまり僕は「それくらい危ない場所だってことを理解して挑みなさい」と警告されたわけなんですけど。5000mで「バカになる」って言われたのに、じゃあ、それより上に進んだらどうなっちゃうんだよっていう……いや、未知の世界ですって、8000mレベルは(笑)。

栗城 そう言いながらも、挑戦したいと思っているでしょう?

岡田 まあ、徐々にね(笑)。やっぱり、実際に登った人がいるからには、そこからどんな景色が見えるのか、その先に何があるのか……想像できないからこそ「経験してみたい」。その気持ちは正直ありますよね。

FRaU 4月号より

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