新着Newsコスメデータベーステクニック事典 ベストコスメ美界コラムエンタメ特典・プレゼントVOCE今月号
TOP美界コラム齋藤薫の美容自身 > 2006年4月
id id
id
id
2006年4月号
photographs: Yoshiaki Toda
styling: Hiromi Hosoda
ひとりが似合うのは、絵描きとかダンサーとか、自己表現できている女だけである。ひとりが似合うのは、    絵描きとかダンサーとか、自己表現できている女だけである。いわゆる“おひとりさま”に何となしに憧れる女が増えているというが、女にはもともと“ひとり行動”への潜在的な憧れがある。ただしそれは“ひとり旅”や“ひとりでお酒”など、シーンが限られていて、多分に“見え方”を意識したもの。失恋したからひとり感傷旅行に出かける……みたいにセンチメンタルな自分に酔ってみたいといった、“自己陶酔願望”に他ならなかった。
 でも今どきの“おひとり願望”は、ひとりのほうが面倒くさくないし、気楽だし、落ち着く……というふうに、人間関係のわずらわしさから逃げたいという気持ちの表れでもあり、少なくとも昔からの“悲劇のヒロイン”願望とは質の違うもの。
 たぶん、本当にひとりで生きてしまおうとしている女が増えているのだろう。だからひとりでも悲しそうに見えずにゴハンが食べられる店づくりなど、女ひとりが生きていく環境整備が急ピッチですすめられている。“憧れ”というよりは、“ひとりが美しい女”になっておかなきゃという、意外と切実な想いなのかもしれない。
 じゃあ“ひとり”が似合う、“ひとり”が美しい女とは、そもそもどんな女なのか?
 単純に考えてしまうと、やっぱりひとりが淋しそうに見えない、悲しそうに見えないことが重要で、だから男はいても、あえてひとりでいるふうに見える“いかにもモテそうな女”にこそ、ひとりが似合うという話になるが、でも実際、いかにもモテそうな女がひとりでゴハンを食べていると、それはそれでやっぱり浮く。淋しそうには見えないが、物欲しそうには見える。それこそやたらモテそうなイイ女が、カウンターでひとりお酒を飲んでたら、男は声をかけなきゃいけないんじゃないかという義務感すら感じるというから、ぜんぜん“自然”じゃないわけだ。
 そうではなくて、もっとすんなり、まったくの違和感なくひとりが美しくおさまる女ってどんな女か? そう言って、じつは真っ先に浮かぶのが、ピアニストとか絵描きとかダンサーとか、ともかく体の中に“文化のある女”。言いかえれば会話以外にちゃんと自己表現の手段をもっている女……。そういう女はひとりでいてもなぜか満たされて見える。感性豊かなカンジが姿形にも出ていれば、ひとりが“絵になる”はずだと思うのである。
 つまりこういうこと。人としゃべりたくて、または自己表現をしたくてうずうずしているような女には、どんなシチュエーションであれ、“ひとり”は似合わないし、たぶん“ひとり”でいてもロクなことはないのだろう。そして反対に人と向き合うことがキライで、もちろん話すことも面倒、だから仕事もずっと機械と向き合っているような女が、ゴハンの時も当然のようにひとりでいる……それもまた美しくない。本人がちっとも淋しくないと言い張っても、“ひとり淋しーオーラ”を強烈に放ってしまうから、やっぱりひとりでいてはいけないのだ。
 その点、自己表現の手段をたくさんもっている女は、他でどんどん放出しているから、たまにひとりになって心身を休め、充電する時間が必要。だからこそ、ひとりでいても満たされているように見えるのだ。何であれ、自己表現できている女は要するにそれだけでも満ち足りているうえに、鬱積したものもあまりない、と考えるのが妥当。
 ちなみにバリッバリのキャリアウーマンも、思いきり自己表現しているように思えるが、一方でたまっているストレスもたぶん並じゃなく、それもほとんど“対人ストレス”だろうから、仕事以外を“ひとり”で過ごしてしまうと、それを受け止めるものがない。“対人ストレス”は言うまでもなく人間が原因だから、同じく人間に癒してもらわないと、ぜったいに軽減しないのだ。だからやっぱりひとりでいちゃいけない。こういう人がひとりでいると、女の業がメラメラしているように見えちゃうのは、誰が考えても“対人ストレス”で胸がパンパンだろうと想定できるから。
 断っておくが、女は宿命的に“ひとり”が似合わない。自分がよくても、世間が見て辛そうなことを女はやっちゃいけないのだ。それだけ女がすり減るからである。女はビジュアル上もできるだけ幸せそうであるべきなのだ。
ひとりが似合う女ひとりでいてはいけない女  でも、ひとりでいるのに、幸せそうに見せるって、これは並大抵のことじゃない。だからいくら“女ひとり”の単位が基本となる時代でも、やっぱり女は、男でも女友だちでも母親でも犬でも、何でもいいから誰かと一緒にいて、さざめいていたい。そのほうが美しいし、あったかそう。さもなければ“ひとり”が似合う、文化の匂いぷんぷんの女になるしかないのである。
column.1
“おひとりさま”は、
バーカウンターへ
行こう!
 女がひとりでいても妙じゃない……そういうレストランは今、確かに増えている。したがって残業でちょっとくたびれているOLが、コンビニでおにぎりを買って帰る図よりは、夜“おひとりレストラン”する姿のほうが、いっそ幸せそうだったりする。
 いずれにしても、女はつねに見られているのだということを考えて。何をするのでもひとりの時は、“美しいか”“幸せそうか”を、つねに意識しておいてもらいたい。
 そういう意味で、つい先日“とっても幸せそうなおひとりさま”を目撃した。とあるバーのカウンター。最初、大きく長いカウンターにぽつんとひとり、お酒を飲んでいた女性は、典型的な“おひとりさま”に見えたが、そこへ男性の一人客。店のスタッフが「どうぞここへ」とイスを引いたのは、その女性とイスひとつあけたお隣。15分後くらいには、どちらが話しかけたのか、男と女はぎこちなさを漂わせながらも、笑顔で何やら会話をしていた。その“おひとりさま”は、とってもとっても幸せそうに表情を輝かせていた。“おひとりさま”もいいもんだねと思ったわけだ。何でもカウンターバーのバーテンは、ちゃんと心得ていて、ヤバイことにならなそうな男と女の一人客は、意識して隣り合わせに案内することもあり、どちらかがイヤそうなら、その会話に意識して割り込むらしい。だから大丈夫。一流のバーなら安心しておひとりで。

Back NUmber Index
Next
footer