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2005年12月号
男世に言う男モテ。女がそれを狙えば狙うほど男たちはその裏をかく。が好きな女”と“女が好きな女”のズレは、昔からよく指摘されるところだが、今は逆にその差がなくなってきた。かつて最大のズレをつくっていたのは、言うまでもなく“媚び”の有無。単純に、男に媚びる女にまんまとダマされる男が多かったということなのだが、今やそんなわかりやすい“媚び”は、愚かな男たちにも通用しない。
 そして今は、男にとっての“嫌いな女”も、女が選ぶ“嫌いな女”と、ほぼ一致してしまう。女の嫌いの三原則は、1に媚びる、2にきつい、3に下品だと言ったけど、今や男にとっても“媚び”は嫌いの対象にさえなってしまうのだ。女にダマされることを恐れている男が一気に増え、だから激減しているとは言え、媚びる女も魔性の女も、男たちは強い警戒心から、“嫌い”と言うのである。
 そして、下品ヲに対しても、男たちは以前にも増して神経質になっている。女たちの服の露出度が増し、露骨なまでに男に自分を高く売ろうとする女たちへの警戒心が年々強くなっていて、見た目はもちろんのこと、品のない近づき方をしてくる女、下卑た計算をしている女を、しっかり見抜かなけりゃいけないと少々身を固くしているのである。“ダマされまいと身を固くする”なんて、男と女の立場が思い切り逆転したとしか思えないが、そういう意味では、“きつい女”が嫌いという意識にも今、ちょっとした変化が見られ始めている。“きつい女”の中でも、ヒステリックに喜怒哀楽をぶつけてくるような“きつさ”は相変わらずNGだけれども、精神的に比較的安定した“強気のきつい女”なら好きになっちゃう流れが、男たちの間に生まれてきているのである。
 と言っても、そういう流れは、いくら“好きな女アンケート”をとっても、出てこない。男は基本的に、天使のような心を持つ女ヲが好きということになっている。優しくて、ソフトな人当たりで、しかも美しい。加えてちょっと色っぽい……そういう女こそ理想のはずである。
 でも彼らも時々、自信を失うのだ。そんな女と出会うなんて、夢のまた夢、現実はもっと厳しいよねと。しかも自覚があるのか、無意識なのか、じつは心の中に“強い女”への憧れも芽ばえている。強い女にぐいぐい引っぱってもらいたいという隠れた願望が。しかしそれは、自分の弱さを認めることになるから、自らには認められないのだ。
 しかし未だに時々見かけてしまう、彼女のバッグを持って歩く男。そして、見込みのない女にもなけなしの金でブランドものをプレゼントしてしまう男。彼らが、天使のように優しい女が好きだなんて、どう考えてもありえない。「なにモタモタしてんのよ」と、半ば蹴とばされながら一緒に歩いてくれる女が欲しいのじゃないか。
 もちろん弱いからじゃなく、コワイものなしの征服欲から“強い女”じゃないと物足りないという男も、じつは少なくない。一見エレガントに見えて、じつは荒くれ者っぽい、話題の“鬼嫁”みたいな激辛の女のほうが、尽くしてくれるスイートな女よりずっと面白いという男は、今どんどん増えつつあるのである。
 そこで思い出すのは、男たちの香りの好み。女は甘く女っぽくセクシーな香りをつけていたほうが男をそそるはずと思いがちだが、じつは逆。男がそそられるのは、むしろ辛口。どこかに“男性”性を含んだような香りにフラッとする男のほうが多いのだ。そこはまさに、男と女の意識のギャップ。同じようなズレが“好きな女”にも出てきているのである。
 男がコンサバ系の女を好きなのは、たぶん今も変わりはないが、一見コンサバで女らしい女が、男を力でねじ伏せる……そのアンバランスなバランスがひとつの魅力とうつる世の中なのだ。本誌の“齋藤薫組マーケティング”にて行ったアンケートでは、今どきの男たちは、むしろジーンズにTシャツな女が好きという、ちょっと意外な答えも出てきたが、それはおそらく“肌見せファッション”で男を落とそうとする女たちへのアンチテーゼなのかもしれない。そしてまた、男が女に今いちばん求めているのは、色気より清潔感。“華やかな彩り”よりも“白無地”、それでも光る女が好きってことで、そのあたりも私たち女の誤解に加え、男の好みが以前とは少し変わってきたことの表れ。“男の好きなもの”の常識が、妙なところからくずれつつあるのだ。
 今を盛りと盛りあがる“男モテ”の提案。でもそれって本当に男たちにちゃんと響いているのだろうか。本当はどこかでズレまくっているのじゃないか? 美しいほうがモテるに決まってる。でもそれ以外の男モテの常識は、今どこへ向かっていくかわからない。
 だいたいが“好きなタイプは?”と聞いて、明快な答えを出す人は今少ない。「好きになった人が、自分のタイプ」つまり、毎回違ってきちゃうという声がいやに目立ってきた。結局、“個人”と“個人”の直接的な相性がすべてってことで、それは男も女も人としてちゃんと進化していってることを示してる。
 そんな時代に、男モテを狙って、みんながひとつの方向へ走っていくのはじつに損。ファッションも女も、ワインと一緒で、希少価値には高値がつくけど、大量に同じものが出回ると、投げ売りになる。ここらでもう一度、女としても居ずまいを正そう。自分を美しく磨いたら、あとはあれこれ小細工せずに、束になった男にモテようとせずに、やっぱり一人の運命の人をさがそう。結果的にそのほうが効率がよさそうである。。
column.1
ついにやってきた。
デキる女が
モテる時代!
 男モテに、最近もうひとつの新しい波が目立ってきている。それはあの総選挙以来、“頭のいいキャリア美人”の株がとっても上がったこと。
 もちろんコワイ人はやっぱりコワイ。恐るべきキャリアは、男たちを萎縮させる最大要因だけれども、逆に今、男たちが“自分よりすごいキャリア”を持つ女を、セクシーと思うようにさえなってきたという噂が。
 だいたいが、自分よりはるかに背の高い女を好きになる男は、今ごまんといる。女のほうも、自分より小さい男とだって付き合えるキャパの広さを見せ始めた。10年前なら考えられない確率で、身長逆転カップルが今存在する時代。
 だからおそらく次は、自分よりはるかに学歴がよくて、キャリアもあって、収入も……もちろん自分よりずっと頭がよい女を好きになる、ふつうの男が増えそうなのだ。“ゆかりたん”の支持者は、それほどオタク度の高くない、すんごいキャリアがあるわけではないが、そこそこちゃんとした男たちだというし、東大出身美人にしかられたい男も増えてきそうな気配がなくもない。
 でもそういうふうに、男モテの既成概念がどんどん取りはずされると、女のほうももっともっとのびのびできる。しかし、あんまりキャリア美人ばかりがもてはやされると、頭も磨かなきゃならない私たち女は、もっと忙しくなってしんどいばかりだから、男たちよ、ぜひそこそこに。
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