
間関係を、たぶんほとんどの人が難しく考えすぎている。人間関係なんて、本当は“ものの言い方”ひとつでけっこうどうにでもなるからである。
たとえば、親との関係が長年うまくいっていない女性の場合。何が原因かわからないが、いつの頃からか親が自分に冷たいと思うようになり、妹のことだけ可愛がっているように見え出した。そう思うと、日々の会話も何となしギクシャクする。親なのに、なぜ? と思いながらも、どんどん距離が広がっていくのを感じていた。ところがある日、思うところあって、何となくふだん家で使う言葉を変えてみる。「あれ、取って」「これ、アイロンかけといて」。そう言って母親を使うのは、どこの娘も一緒。でも、そういう時に「悪いけど」をいちいち頭につけるようにしたのである。
じつはそれも、自分の上司が何を頼んでくるにも頭に「忙しいところ悪いけど」をつける人で、そのひと言があるだけで、お茶くみでもコピー取りでも、腹がたたずにやれてしまうことに気づいたからだった。ただ「忙しいところ」がなかったら“自分で入れろよ”と思うかもしれない。単なる「悪いけど……」は、命令と一体化していて、気持ちがこもっていない。誰に対しても同じように吐き出される決まり文句にすぎないからだが、「忙しいところ悪いけど……」と言われると、相手は自分をちゃんと見ていて、忙しいことを知っているという特別感がある。だから、けっこう快くお茶を入れられるのだ。
彼女はそれを家で親にやってみようかと思ったが、折り合いが悪い母親に対して、最近は特に最小限の言葉しか使わなくなっていただけに、急に「忙しいところ悪いけど……」と言うのはさすがに気がひけた。「悪いけど……」と言うのが精一杯だったという。 |
雅子さまの語尾から、
学ぶこと
“ものの言い方”ひとつで、好かれたり嫌われたりする世の中。じゃあ、言い方上手で人に好かれる人って、何がどう違うのだろう。
よく言われるのが、好かれる人は「でも……」が少ないこと。明確に反対意見を言うのでも、いきなりは言わない。まず、相手の意見を、「うんうん、わかる」と肯定しておいてから、「こういう考え方もない?」なんていうふうに、つけ加えるふりをして、まったく逆の意見を言う。ところが聞いている方は、それってまったく反対意見じゃん? とは思わない。何となく“つけ加え”に聞こえ、「それもいいかもしんない」などと、つい思わされてしまうのである。
そしてまた、こういう人は語尾を断定的にはしない。「それは赤です」とは言わず、「それは、赤だと思うのですが……」みたいに言う。ハッキリせい!! と言われるかもしれないが、語尾のぼかしは、会話の重要なテクニック。言ってることは強くても、強く聞こえないから、相手の耳にも心にも心地よく入っていく。皇太子妃、雅子さまの語尾もそう。「〜ということでございましょうか」。これは簡単に言えば「〜です」ですんでしまうところを“〜ということ”と受けて、さらに“でございましょう”とぼかし、加えて最後に“か?”をつけ疑問形にしてぼかしてる。語尾に“〜だけど……”や“ですが……”という否定形や、“でしょうか?”の疑問形をくっつける。賢い女の上等な語尾、身につけよう。
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