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2002年01月号
キチンとした女になりたい女へ

金髪に髪を染めて切りっぱなしのジーンズ、出したおへそにタトゥーまであったとしても、キチンと頭を下げてあいさつができれば、近所のおばさんも「イヤイヤあの子、なっかなかキチンとした子よぉ」などと鼻をふくらませながら、かばってくれるだろう。つまり“キチンとした女”とは、恐ろしく当たりまえだが、ひとつには、単純にあいさつがキチンとできる女性を指すのである。
 しかし、この金髪女より10倍キチンとあいさつができる女性にカギって、じつは心底“キチンとした女”になりたいと思ってる。外向けの自分の折り目正しさと比べると、自分の本当の姿はあまりにも折り目がない、そのギャップに悩むのだろう。自分だけが知っている自分が、キチンとしていない後ろめたさに悩むのだろう。脱いだ服をキチンとたためないこと、部屋が片づかないこと、そして日常的に今日できることを明日にのばすこと……そんなことの積み重ねが、気づかないかもしれないが、女にはけっこう心に重くのしかかっていたりするものなのだ。でもそれは、所詮、自分自身に対する罪、これがキリスト教なら、懺悔室で懺悔すれば少しは救われるようなものなのだろうが。人間はもともと罪深いもの。それが頭でわかっていれば、頭でわかりつづけていれば、充分なのだと思う。キチンとしなければ……その義務感をもちつづける限り、キチンとした女のワクの中にはいられるはずなのだ。
キチンとした女性の意外なヒミツ

 見た目の“キチンとした印象”は、一体何が決め手になるのだろう。もちろん、髪に手がかけられていること、そこそこのメイクがなされていることは、キチンとした印象の大前提と言っていい。そして、姿勢がいいとか、歩く時に脚を引きずらないみたいなことは、もっと当たりまえの大前提。
 じゃあ、その先にある決め手って何なのか? 私が思うにこれは、服のサイズ。体と服のサイズがあっていないと、どうキチンと服を着ても、何となくだらしない。まず、体より大きなサイズの服を着ると、体が服の中でアソブから、何か安っぽい服を着ている印象になるし、逆に体より少しでも小さいサイズの服を着れば、できるはずのないところにシワができ、それもまた貧しい印象を与える上に、体がだらしなく太って見える。ジャストフィットこそ、キチンとした印象の決め手なのである。
 ちなみに、“安ものの服”自体もまた、何となくだらしない印象を与えるもの。高すぎなくてもいいが、安くない服を着る。そこそこ良い服というのは、それだけで体の節々にスッとおさまり、キチンと見えるものなのだ。見た目の“キチンとした印象”は、どこがどうというよりは、香りのようにそこはかとなく匂うもの。洋服のクオリティはまさにこれ、目に見える素材のよしあしだって香りのように匂ってくる。サイズのピタリと合ったいいものを、ていねいに着る。これがキチンとのカギ。
 むしろ最終的にその人がキチンとしているかどうかを決めるのは、その場その場で、すばやく情況判断ができること。言い替えれば、自分の立場を即刻見極めて、自分の役割をすみやかにこなすことなんじゃなかろうか。
 これは、マナーの話じゃない。お行儀の話でもない。もっともっと、人として基本的なこと。たとえば、友だちの知人の家に、その友だちと一緒におよばれしたとしよう。お茶とお菓子が出た。ここでの“後片づけ”をまずどうするか。「お手伝いしましょうか」は言いすぎ。「あー、いいのいいの」と言われて当然。それでも、お友だちをさしおいて、自分だけキッチンへ入っていって、手伝おうとするのは、“自分の立場”をわきまえていない証拠。また、話が盛り上がっている時に、お友だちより先に自分から「そろそろ……」と言ってはいけない。しかし外が暗くなってきた時は、「そろそろおいとましましょうか」じゃなく、「そろそろおいとました方が……」とその友だちに耳うちするのが、自分の立場。「あら、いいじゃないの、夕ごはん食べていけば」と言われて、その友だちより早くそれを受けちゃあいけないのは言うまでもないし、ごはんが終わったあとは、さすがに自ら先にキッチンに入って後片づけを手伝わなきゃならないし……とまあなかなかややこしいが、“自分の立場”は情況によって、それくらい、やるべきことが変わるのだ。“キチンとしてる女”とは、要するに、物がよーく見えている女ということなのかもしれない。“常識”や“マナー”も、情況によって使い分けられなければ、何の意味もない。気がきかないのも、“気のききすぎ”もいけないということ。“キチンとしてる”は、マナーを知ってることじゃなく、立場を知ってることなのだ。
 “よく気がきく女性”として評判のOLが、人の推薦もあって、別の会社に転職する。ところが新しい会社では“ダメOL”のレッテルをはられた。まじめで気がきくことは間違いない。でも、自分がすべきでないことまでやってしまう、よけいな気のきき方が、物事の流れをこわすらしかった。難しい。確かに難しい。でも、人の気持ちが読めれば、そんな気のききすぎもなかったはずだ。情況がよく見え、自分がすべきこともよく見え、そして人の気持ちがよく見えていること。大人としての視力、これが良くなければ、いくら脱いだ服がきちんとたためても、“キチンとした女性”とは言われないのである。
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