デモテープに近いフィーリングで本作を作りたかった
Charaのニューアルバム『夜明けまえ』が3月19日、リリースされた。「デビューの頃からの一つの夢に、今までで一番近づいた気がするアルバムかな」という仕上がりになっている。 「自分一人でできるだけいろんな楽器を演奏して、“デモテープみたいな作品”をいつかは出したいなというのがあるので……」 そうCharaは言う。初めて知ったけど、彼女の作るデモテープは、つねに自らの手で演奏し、仮歌を入れているのだそう。 「4歳の時から習ったのがピアノ。歌うことより、楽器との出会いのほうが古いしね。絵描きさんが、紙を見ると勝手に絵筆が動くように、私も、ピアノやギターに向かうと、自然とメロディーが浮かんでくる人かもしれない。それもこれも、みんな楽器のおかげ。音の響き、グッとくるコードに触発されるの。楽器ってすごいなぁ、という畏敬の念で音楽をやってたりするから」 シンガーCharaは、意外にプレイヤー志望だったのだ。“デモテープのような作品”。そんな目標は、原曲の空気感をできるだけそのままに再現したいという、アーティストCharaの想いも込められている。 「それと、今回からディレクターが替わったことも要因かな。彼がいろいろ意見を言ってくれたのね。『楽器をもっと弾けば? 全曲何かしらの形で参加するのはどう?』『デモの“味”な感じが重要じゃないかな』って。うちのダンナ(俳優・浅野忠信さん)もずっと前に、『全曲弾き語りのアルバムもいいんじゃない?』って言ってたし、片隅にはそんなアドバイスも残ってたかもしれない。原点に戻るというか、私自身も、シンプルなものがやっぱり自分らしいかもね、というのは気づいていたのね。で、この際やっちゃおうかなと思って(笑)」 素材の味、Charaの味が勝負。そのためには、音数も必要十分に抑えて、シンプルに行こう。それがキーワード。トータルプロデューサーCharaを支えてくれる、助っ人も吟味した。 「私、曲作りをギターとかピアノでやるんだけど、それぞれの楽器で作った曲って、どこか味が違うの。だから、『ギターちゃん』と『ピアノちゃん』ってアルバムを2枚出したいなというのも前々からの夢で(笑)。各一人ずつプロデューサーを立ててみました」 ピアノ曲は鍵盤出身のホッピー神山が、ギター曲は、歌心がわかる“歌えるギタリスト”、清水ひろたかが担当。それぞれの持ち場で、世界観をさらに広げ、いいアレンジをしてくれたそうだ。
目覚めた感じに、つぶやいた言葉が「夜明けまえ」 もちろん、Charaはピアノやオルガン、ギターにドラムと、ほとんど何かしらの形で曲ごとに演奏に参加している。 「音の好みとして、完璧は求めていないから。?(はてな)の部分、曖昧なモードを探して、逆に完璧になりすぎないようにするのが、どうも好きみたい」 Charaの持ち味を、こんなにストレートに、100%濃縮ジュース状態で味わえる作品って、すっごくうれしい。テンポも、ブレスも、すべてが自然体なのだ。 プライベート・アルバムの雰囲気が漂うこの作品、タイトルも粋にキマッている。込められた想いはどんなものなのだろう。 「いつか『Chara』ってタイトルのアルバムを作りたいのね。これはCharaじゃないけど、でもその1、2個手前かもしれない。自分をよりいっそう解放しだしているなと思えるから。ちょっと目覚めちゃった、夜明けまえな感じで何かいいのないかな? って家でブツブツ言いながら考えてたら、ダンナが『それ、いいんじゃない?』って。『……そうだよねぇ』って、これに決めました」 最も身近にいるファンとして、存在感が光る浅野さん。いい夫婦、そして、アーティスト同士のいい関係が二重に浮かび上がる。 「……意外とそういう感じもあるねぇ」とCharaが笑った。 デビューして12年。音楽だけにとどまらず、結婚、出産後もチャーミングに輝くシンガーとして、女性の憧れのマトでもある人だ。 「子供ができてから、自宅での作業は一切やらないことに決めたの。育児にも、自分の音楽活動にも、両方によくないからね。玄関のドアをバタンと閉めて、ウチを出る。気持ち的にはそこから創作活動。うまく切り替えてるかな」
これからもCharaの歌声で楽しませてもらえそうで、安心だ。 |