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ヴァンサン・カッセル「リード・マイ・リップス」
シネマライズほかにて全国順次公開中
絶世の美女である女優のモニカ・ベルッチを妻に持ち、個性派俳優として活躍しているヴァンサン・カッセル。ヒッチコックを彷彿とさせる新作のミステリーで、ワイルドなのにナイーヴな彼の魅力をたっぷり堪能して!

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●リード・マイ・リップス
 
リード・マイ・リップス
ヴァンサン・カッセル
撮影/宮崎貢司

想像と正反対のソフトな印象に思わずビックリ
 今まで演じてきた、凶暴性を秘めたワイルドなキャラクターのイメージが強すぎるあまり、ヴァンサン・カッセルはきっと実物も危険なヤツに違いない、と勝手に思い込んでいて、ごめんなさい!
 なにしろ素顔の彼は驚くほど気さくで、お茶目で、とってもチャーミングな男性だったのだ。当日のファッションはモスグリーンのTシャツにベージュのパンツ、足もとはモスグリーンのスニーカー。同じトーンのアイテムで全身コーディネートしたヴァンサンの第一印象は、おしゃれでソフト。新作『リード・マイ・リップス』でのボサボサ髪に革ジャン姿のチンピラと同一人物とは思えないくらい。
 「監督に『この映画では今までとまったく別のヴァンサンを作れ』と言われたんだ(笑)。でもそれは僕にとってプレッシャーでも何でもなくて、むしろキャラクターを自由に作り上げることができて楽しかった。ストーリーもスリラー、ドラマ、コメディ、恋愛といろんな要素が混ざっていて、特定のジャンルに当てはまらないところが気に入ったんだ」
 職場では単調なルーティンワークに追われ、恋人もできず、ひとり暮らしをしている孤独なヒロイン、カルラ。そんな彼女の前に現れるのが、ヴァンサン演じる粗野だけどセクシーな男、ポールだ。
 「ポールっていう男は今まで刑務所にいたせいもあって、誰かに何かを与えるっていうことを考えたこともない。そういう行動がとれない人間なんだ。その一方で、ヒロインのカルラは誰かを愛したいと思っているけれど、いろんなコンプレックスがあったりして、自分を愛してくれる人となかなか出会えない。恋を探している女と、生き延びることだけを考えている男。ひとりずつでは何もできないけれど、一緒にいることで、ふたりとも強くなれる。彼らはお互いに補い合えるような関係なんだ」

恋愛には危険がともなったほうがおもしろい!
 恋愛では価値観が同じであることが大事。頭ではそう思っていても、私たちは映画のふたりのように、自分とまったく異なるタイプの人に強く惹かれてしまう傾向が少なからずあったりする。
 「日本人の恋愛に対する考え方はよくわからないけど…… 僕は恋愛にはある程度の危険がともなってこそ、おもしろさがあるんじゃないかなと思う。自分と同じようなタイプの人だったら、退屈してずっと一緒にいられないよ(笑)。その点、日本の社会では、結婚というシステムがものすごく重要なものであるように感じられるんだ。だからみんなも恋愛にやたらと安定性を求めるんじゃないかな」
 とはいえ、彼には世の男性がうらやむ美しい妻(女優のモニカ・ベルッチのこと)がいるんだから、発言も余裕よね〜。などと思うこちらの心を知ってか知らずか、彼は温かい目をして話を続ける。
 「僕には年の離れた妹がいて、彼女は今21歳なんだ。まさにViViの読者層と同世代だよね。彼女はよく『なんで私には恋人ができないの?』って悩んでいるんだけど、それに対して僕は『結婚は誰にでもできるけど、素敵な人との出会いは神様が人生に与えてくれるプレゼントのようなものなんだよ』って言い聞かせてる。いい出会いなんて、世の中でそんなにたくさん起こるわけがない。だから、いずれ訪れるであろう、その奇跡的な出会いを、あせらず、期待していていいと思うんだ」
 そう話すヴァンサンが、映画スターというよりもいつのまにか恋愛相談にのってくれる優しいお兄さんに見えてきた。


取材・文/石塚圭子

VINCENT CASSEL●1966年11月23日、フランス・パリ生まれ。'95年の主演映画『憎しみ』でセザール賞主演男優賞候補に。'98年『エリザベス』や'00年『クリムゾン・リバー』、'02年『アレックス』など数々の話題作に出演。


リード・マイ・リップス
孤独な男女のスリリングな<賭け>をクールに描いたラブ・サスペンス

監督・脚本/ジャック・オディアール『天使が隣で眠る夜』 出演/ヴァンサン・カッセル『バースデイ・ガール』、エマニュエル・ドゥヴォス

STORY/難聴というハンディキャップを抱えながら働くOLのカルラと、刑務所から出所したばかりのチンピラ、ポール(ヴァンサン・カッセル)。職安の求人広告を通してポールと出会ったカルラは、いやおうなく彼に惹かれていく。ふたりはカルラの読唇術という特技を利用して、闇の組織から大金をくすねることを思いつくのだが……。
リード・マイ・リップス

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