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0という数字に無限の広がりを感じるんです
スラリとしていてスレンダーな体つき。ふっくらとした唇に丸みを帯びてやさしげなほお、凛とした強い意志を感じさせる瞳。まさに才色兼備とは、この人のことかもしれない。東大出身の女優・菊川怜さんが、子供時代から受験、モデルとしてのデビュー、女優への道など、自らの体験を振り返りながら、自分自身を活かす生き方を一冊の本にまとめた。自分らしく真っすぐに。美しく知的に。いい勉強やいい仕事をして自分を磨く。そんな彼女なりのスタイルを、さまざまな角度から、『0(rei)の法則』として紹介している。
「0って不思議な数字だと思うんです。どんな数字をかけても0でしかなくて、実体があるのかないのかわからないですよね。だいたい、0をかけたり割ったりすることに何の意味があるのかもわからない。でもそれがおもしろいなって思ったんです。無限の広がりがある数字なんですよ。ここに書いた法則は、ルールといってもこの本を書いたその時点で自分が感じたことばかり。こうやって一冊の本にまとめてみると、自分がこんなことをこんなふうに考えていたんだなって不思議に感じたんですよね。私って、つねに変化しているんです。それこそ毎日、毎日。いろんな経験をしていろんな人と出会って、その日ごとにいろんなことを感じて変わっている。だから、ここに書かれた法則は必ずしも完成型ではなく、執筆する時点でたどりついたものですね。これから経験を重ねて行くうちに、また、法則自体もどんどん変わって行くかもしれませんよね(笑)」
さまざまな人と出会い経験しながら、変化を受け入れていく柔軟な姿勢。そうしながらもいつでも自分を見失わない。そんな菊川さん流の生き方は、まさに“0”という数字のニュートラルな部分とつながっているのかもしれない。
「1から始まって最終的には100にたどりつくとしますよね。そしたら、1から一気に飛んでもいいわけです。1、2、3って続いて行ったときに、もしも4でつまずいたら、わたしは迷わず4は捨てちゃって5に進む。4でつまずいて、いつまでも100にたどりつけないより、4は思いきって捨てちゃってもいいんです」
努力っていう言葉を使うのは好きじゃない
サバサバとした口調で語る菊川さん。そこには自然体で飾らない、彼女の本質が見えてくる。「周りからどう思われているとか、そういうことを気にしても仕方のないことだと思うんです。自分ではどうにもならないことですからね。周りの目が気にならなくなると、自分も楽になれるし、その方がずっと楽しくなるはず」
暗くなるまで思いきり遊び、ときにはいたずらもしたという。そんな自由な子供時代を過ごしながらも、受験戦争を着実に乗り越え、自分の道を切り開いてきた。でも、けっして平たんな道を楽々と進んできたわけではない。受験の前には類いまれなる集中力を発揮し、勉強に専念した時期もあった。
「努力っていう言葉が好きじゃないので、あまり使いたくないんですね。私はこれまで、嫌だと思ったことを我慢してやり続けてきたっていうことはないんです。目の前に高いハードルがあるとしますよね。それをクリアするために、楽しみながら越える方法を見つけるだけなんです。自分が楽しめなければ、越える意味はないんじゃないかな」
その潔さこそが、まさに菊川式哲学、とでも呼びたくなる。しかし、東大を卒業していれば安定した将来が望めるはずだったのに、あっさりとその選択肢を排除し、女優業という荒波の中に飛び込むのにも迷いはなかったのだろうか。
「人生なんて、生きられても100歳そこそこ。その間に何があっても、そんなに大したことではないような気がするんです。たった何十年かの安定を求めて無難な道を選ぶよりも、自分がやりたいと思っていることをやれないで終わるほうがもったいないような気がするんです。安定した将来なんて楽しくないですよね。女優って、つねに新しいものへ挑戦する仕事なんですね。だからもちろんプレッシャーはありますし、ストレスだって感じますよ。でも簡単にクリアできないからこそ、いつもワクワクしていられる。それが嫌になったら、また新しいワクワクできることを見つけるだけです」
自分の気持ちに真っすぐに生きる。でも、そこに固執しすぎてポキンと折れることのないよう、プレッシャーと付き合うしなやかさを身に付ける。これも法則のひとつだ。
構成・文/望月リサ
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