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儚い恋の刹那のきらめきに、心魅かれてしまう
恋の終わりは、いつも切なく苦しい。後悔とあきらめと、いいしれぬ孤独感。そんな思いを結実させた詩集が出版された。ここに収録されている詩はすべて、今年初めに行われた、及川さんのワンマンショー、『うたかた。』と題したツアーの中で、朗読されたものを収録している。
「ショーのテーマ自体が、終わってしまうものへのレクイエムだったんだよね。叶わない恋の儚さ、夢の終り、刹那のきらめき。僕は、そういうものにうっとりせずにはいられない。別れとか、なくしてしまった夢とか、そこで共感共鳴できれば、より僕の歌も響くであろうという演出であって、そこでオーディエンスと共感しあえると思ったのさ。ベイベーたちの心の傷に触れるような詩を書こうと思ったんだよね。誰しも傷ついたことのない人なんていないからね」
詩はすべて、ステージ本番前の慌ただしいなか、20〜30分で書かれたものだという。
「いろんな飾りを取っ払った状態で、詩を書いてみたかったんだよね。全体に流れるセンチメンタリズムというものは、最初からの狙いにあったけれど、作家である自分の心の傷を見せびらかすような結果になったかな。過ぎ去った過去のことではあるけれど、僕の悲しみがこの本に溢れている」
互いに傷つけ合うこともなく、傷つくこともなく、恋を恋のままに終わらせた、形ばかりの恋。傷つくことを恐れるあまり、笑ってごまかして終わった、臆病な恋。描かれるさまざまな恋の形や、やりきれない思いが、自分の過去の苦い恋とリンクする。
「読む人の感性によって、いろんな捉え方をしてもらえればいいよね。一つ一つの詩を説明するよりも、スピリチュアルな部分でつながりたい。それができるのが詩のいいところなんじゃないかな。詩だけに限らず、音楽でもそうなんだけど、僕は作るものにいつも隙間を作りたいって思っているんだよね。その隙間を読者やリスナーの感性で自由に埋めてほしい。読者のイマジネーションを大事にしたいんだ」
恋のおいしい部分だけを求めても、愛は手に入らない
及川さんの綴る詩には、終わってしまった恋や、過ぎ去ってしまったことへの悲しみがあふれている。それでいながら、どこか希望や救いを感じさせる。
「世のなか、悲しい出来事ばかり続くじゃない? 誰しもが持っている心の闇で、世界が暗くなるのがいやなんだよね。僕は、過ぎてゆく1秒1秒を大切にしたいし、永遠でないからこそ人生を愛おしく思う。傷つくことだって大切だったりするんだよね、傷は恋の財産でしょ。傷つかないで恋のおいしいところだけをつまんでいたら、愛は手に入らないと思うから。ベイベーたちみんなが未来に希望を持って、心や体についた傷でさえも、愛せるようになって欲しい。今回の『うたかた。』ツアーは、人魚姫の物語をモチーフにしているんだけれども、あの救いのない、報われない無償の愛の物語を通して、あなたにとって幸せってなんですか? と問いたい」
そんな及川さんに、自身の恋愛観を伺ってみた。
「恋愛っていつも一緒に語られるけど、恋はいつか必ず終わるもの。そして、恋が終わっても続く関係、それも愛というんじゃないかな。理想の恋は、沈黙さえも楽しい関係かな。色っぽいでしょ(笑)。互いが自由でいられる、それでいて強い絆で結ばれている、なんて夢のようだよね。親友のような恋かな。弱点を補うより、高めあえる相手を欲しているの。精神において、もっと高みをめざしたいから。でも、そろそろ癒したり、癒されたりという大切さもわかる年頃だけど(笑)。僕は日々、自己陶酔と自己嫌悪を繰り返していて、自分のことが大好きで、同じ分だけ大嫌い。10代の頃に比べれば、成長したとは思うけど、死ぬまでやっぱり自分のこと大好きで、大嫌いなんだと思う」
映画の撮影が終わり、ドラマの収録を目前に控えている及川さん。活躍の幅をどんどん広げている。
「僕、欲張り坊ちゃんだからさ。やりたいこと全部やりたいんだよね(笑)。何一つあきらめたくないんだ。よく、『なにをしたいのかわからない』という悩みを聞くんだけど、僕はそう思ったことがないの。いろんな人に出会って、いろんなものを見て、泣いたり笑ったりしていたら、自然と生き方は決まってくると思うんだけどな」
構成・文/望月リサ
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