
歯に衣を着せない率直なファッション批評や、双子の兄弟・おすぎさんとのコンビでの軽妙なトークなどが人気のピーコさん。糸井重里さんが聞き手となって出版された自伝について、自ら語ってもらった。
日経BP社 \1300+税
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撮影/村木司 |
愛されることより、愛することのほうが素敵だと思う
その名も「ピーコ伝」と名づけられたこの本は、ピーコさんと親しいコピーライターの糸井重里さんが聞き手となり、そこで語られた言葉が綴られるという形式をとっている。この時期に自伝的な本を出版されたのは?
「題名はもうシゲサト自身が決めてたの。お願いされたっていうよりは、のせられちゃったというか。なかば強制的にね(笑)。だって自分のことをしゃべるのって、恥ずかしいじゃない? でも、聞き手がシゲサトだったから楽に話ができたんじゃないかしら」
本の出版について双子の兄弟であるおすぎさんの反応が気になるところだけど……。
「おすぎはこれを読んで「あら、私が小さいときに見た景色とあんたの見ていた景色って違うのね」って。おすぎにはどういう景色に映っていたか私は知らないじゃない? でも、ずっと同じように映っていると思っていたことがそうじゃないってわかったの」
この本には、今までにピーコさんの周りに起こったさまざまなことが描かれている。育った環境から、おすぎさんのこと、デビューするまでのこと、そして恋。テレビでのピーコさんのイメージは辛口批評家で、毒舌家。でも、この本を読んでいくと、その裏にはとても純粋で良識的な素顔が見える。それは恋愛に関しても同じだ。
「愛されたい女の人っていっぱいいるじゃない? でも、私は愛されるより、愛している方がとてもいいのになって思うのよ。今は物をもらいたがる人が多いけど、好きな人のために何か贈りたいっていう方が魅力的でしょ。お金がないなら、自分が何をしてあげることができるかって考える。そうやってずっとしてあげていると、そのうち相手はわかってくれたりするものよ」
そんな潔さは、本当に素敵でカッコいい。が、それよりさらにもっとカッコいいと思わされるのは、与えてもその見返りを求めようとしない姿勢にある。
「私も自分の先輩たちからいろんなことを教えてもらったし、いろんなものを与えてもらった。私は今、そのお返しをしているだけ。だから私がしてあげた人も、お返しに誰かにしてあげればいいと思うのよ。そうみんなが考えれば、ピリピリしないゆったりとした世の中になるんじゃないかしら」
雑誌の真似をするだけの、想像力のない人が多すぎる
本業はファッション評論家。それだけに、世間のファッションに対しての言葉は厳しい。
「ミュールが流行ってると、この寒い中でもミュールをはいてる人がいて、ピンクのパシュミナが流行ったら、みんながピンクのパシュミナ。雑誌の提案をそのまま鵜呑みにしちゃうような、想像力がない人が多いのよね。浜崎あゆみと同じ物を着たとしても、顔やスタイルは違うんだから同じにはならないってことがあんまりわかんないみたい。たとえば「ViVi」を見ても、こういう色の組み合わせならきれいに見え
るんだなとか、自分の持っている上着にはこういうボトムも似合うんだなとか、そういう部分を見ればいいのよね。それがほんとの意味での正しい雑誌の読みかただと思うの」
このことを何度となく言い続けてきても、世の中は変わらないまま。ファッション評論をやっていて、それがむなしいのだという。
「ブランド物を持てばおしゃれって思ってる人が多いけど、同じエルメスのバッグを、どこへでもいつでも持って歩くなんてバカバカしい。エルメス持ってたって、それじゃただの貧乏人よ」
ブランドが嫌いなわけじゃない。ただ“身のほど”に合わないものが嫌いなだけなのだ。誰にでも身のほどに似合ったものがあるはず。「ピーコ伝」を読んでいると、私たちは今、自分の身のほどを忘れて、多くのものを求めすぎているのではないかと実感する。
糸井さんは本の中で、ピーコさんのことを「21世紀の日本のお母さん」と呼んでいる。おしゃれ好きで、礼儀正しくて、大人として生きる道を指し示し、厳しい口調の中にもどこか思いやりを秘めている。ピーコさんに最後にViVi読者へのメッセージをうかがった。
「みんなもっと自分を大事にしてもいいんじゃないかしら。自分を大事にすることが、相手を大事にすることにもつながっていくと思うわけね。それと、いい恋をしたければ、失恋を怖がったりしてはダメ。ひとつ失恋すればそれだけ大人になれるって私は思います」
構成・文/望月リサ
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| PEECO●1945年、横浜生まれ。ファッション評論家。1975年、ラジオで双子のコンビ「おすぎとピーコ」としてデビュー。近年は、ファッション評論家としてテレビ、雑誌、新聞など数々のメディアで活躍中。 |
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