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「宝物、たくさんありますよ。たとえば、母方の祖母が縫ってくれた私のお宮参り用の着物。ピンクと赤の地のかわいらしい着物なのですが、最近まで祖母が縫ってくれたことを知らなくて……。ルチアのお宮参りのときに、母が『あなたのお宮参りのときも着たのよ』と出してくれて、祖母が縫ってくれたことを聞きました。祖母が心を込めて、ひと針ひと針縫ってくれたことを思うと、とても大切なものに思えたんです」
お雛様もそのひとつ。今でも雛人形の前でアフロヘアのかつらとトンボ眼鏡で踊っている千絵さんの写真が残っているそうだ。 |
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今でも大切に保管している熊沢家のかわいいお雛様。出すのもしまうのも千絵さんの仕事で「それがとても楽しかった」のだそう。 |
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「子供の頃からお笑い系なんですよね(笑)。小さい頃はデパートで見かけた、天井までありそうなディスプレイ用のお雛様をねだったりもしました。両親が買ってくれたのは、ひとつひとつの顔がとてもきれいな私にぴったりのお雛様。ぜんまいをまわすと音楽が流れるしかけがあって、桃の節句の時期は、いつもその前で遊んでいました」
そうした千絵さんの宝物に共通しているのは『モノに込められた想い』。それぞれの宝物を彼女のために選んでくれた、作ってくれた、大切に保管してくれた、そんな温かい想いこそが千絵さんにとっての『宝物』だ。
もう一つの宝物は辛い体験の末、手に入れたもの……。
「私、子どもの頃にいじめられていたんです。父方の祖父がインド人と日本人のハーフということもあって、子どもの頃は色も黒く、髪の毛もチリチリ。小さいときって、自分と違うものに対する反応が厳しいじゃないですか。今みたいに外国人が一般的な時代でもなかったし。ずいぶんと理不尽ないじめに遭いました」
それでも千絵さん、いじめに屈服するのではなく、いじめっ子に真正面から立ち向かっていくことで、その状況を変えようとした。
「自分が強くなればいいんだ、と思ったんです。絶対に負けちゃいけないって(笑)。今では懐かしい話ですが、男のコと取っ組み合いのケンカもしたし、毎日が戦いの連続(笑)。だから、今でもいじめにはとても敏感で、絶対に許せないと思ってしまうんです」
明るく振り返るが、そうした経験からくる気持ちのヒダが、大人になった千絵さんを奥行きのある、優しい女性に成長させたのだろう。
「考えてみると、いろいろな場面で感じたこと、受けた想い、言葉などひとつひとつの経験こそが、大切な宝物かもしれません。これからも、たくさんの宝物を積み重ねて、大切に生きていきたいなぁと思います」 |