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「今まで、私、面と向かって母を褒めたり、お礼を言ったりしたことがないから、照れますね」
お母さんについて語ってもらいたいと話をしたとき、千絵さんはそう言って落ち着きがなくなってしまった。
「毎日たくさん話をして、たくさんけんかもして、なんでも私のことを知っているのが母。改まってお礼を言ったり、語ったりするのは、なんだかとても恥ずかしい。兄はいつも母に対して素直にて“
ありがとう ”が言えるのだけれど、私はダメですね。心の中で、ものすごく感謝をしているのに、わざと素っ気なくしたり、つい気持ちとは反対のことを言ってしまうんです」
もともと照れ屋の千絵さんだけれども、お母さんへ感謝の気持ちをあらわすことには“
超 ”がつくほど気恥ずかしくなるらしい。 |
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「お母さんはどういう方?」という質問に、少し考えて「優しくて、思いやりがあって、でもとても厳しい人」と言った後に「これを読んだら、母はびっくりするかも」と笑う千絵さん。写真は小さいときの千絵さんとお母さん。 |
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「私が生まれる前から美容師として働いていて、今でも仕事を続けている母を子供の頃からカッコイイ! と思ってきました。働いてるだけでもすごいと思うのに、家事も完璧。私たち子供の世話もして、祖母や祖父の食事も作って。子供の頃から、四六時中動いている母しか見たことがないんです」
と、やっと言って、また照れた。
「特に娘が生まれてからは、改めて感謝することが増えました。初めての子育てで心細いときも、アドバイスをくれたし、私が仕事で忙しいときは、娘の面倒を見てくれるし。母がいなかったら、きっと、仕事は続けられなかったと思います。絶対にそう思う。娘のそばに母がいてくれる、困ったときは母に相談すれば大丈夫、という安心感で、私は仕事に集中できるんです」
一気にしゃべったところで
「でも母から 『あなた、私がいなかったらなにもできないじゃない!』と言われるとムッとしちゃうんですけど」
と憎まれ口も忘れない。
「考えてみると母は結構冷静なところがあって、私のことをよく見ているなと思うことがあります。私がなにかで悩んでいると、こうしたらいいんじゃない? とアドバイスをくれたりする。あれ? きちんと相談したわけじゃないのに、どうして、悩んでいること知ってるの? って、思うことも。いつも自分のことより家族のこと、子供のことを考えているんですよね」
お母さんの言動を再確認するように言った。
「言いたいことは母も私も率直に話し合いますね。一緒にいたら、朝から晩まで話しっぱなしです。休日は一緒に過ごすことも多いですね」
千絵さんの話には、今回のように家族がテーマでない場合でも、必ずと言っていいほど家族が登場する。そして、家族を語るとき、本当に楽しそうに、嬉しそうに、優しい表情になるのだ。
「最近、母に似てきたな、と思うこともあります」
最後にそう語った言葉がお母さんへの最大級で最高の感謝。 |