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熊沢千絵マイ・ストーリー
不器用な熊沢千絵が傷つき、落ち込むとき
 「私はものすごく落ち込むタイプ。 自分で言うのもヘンですが、性格は強いと思うんです。 でも、ちょっとしたことで、すぐに悩んで、落ち込んじゃう」
 前向きで明るい千絵さんにも、きっと『落ち込む』ときがある。 そんなとき、どう克服するのかを聞きたくて質問したら、意外な答えが返ってきた。
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熊沢千絵マイ・ストーリー

仕事の悩みとは、少しキャリアを積んだかな、と思う頃に遭遇。写真はその頃(二十歳くらい)の千絵さん。オン・オフともに最も頼りになる相談相手は、マネージャーの新谷さんと中嶋さん。信頼できる相手が側にいるのも落ち込み克服の大切なクスリ。
 「ほとんどの場合は“え? そんなことで悩んでいたの?”って言われるようなこと。 自分が思うほど、周りは気にしていない、っていうパターンなんです。たとえば、誰かと話をしていて、ふと相手の視線が冷たいように感じたら、それでダメ。 そのことが気になって、何日も考えてしまう。 落ち着いて考えたら、(自分が思うほど)気にすることではない場合もあるし、私の問題ではなく、その人の体調や気分によることもあるのに」
「ちょっとのことを気にしてしまう自分がイヤ」という千絵さん。 モデルとしてデビューしたての頃は、小さなことを気にして、落ち込んだりしていたんだそう。 でも、大人になって、仕事のキャリアも積んで、そのクセはだんだんと克服しつつある。
「落ち込んだときは、信頼できる人に話すのが、いちばんいいみたい。 話すことで、自分の悩みが消化されて、気持ちが解放されていくんです。“気にしなくても大丈夫よ”と言われると、そうだな、気にしすぎだな、って素直に思える。深い悩みのときは、自分自身と、とことん話すしかない。 それで、落ち着いたときに、みんなにご報告」
 どんなことにでも、真正面から取り組んで、曲がったことができない千絵さんは、だからこそ、常に迷いの中にいる不器用な女性でもある。
「最近、落ち込んでしまったのは、あるおじいさんのこと。 私が運転をしていたら、向こうの横断歩道でおじいさんが転んでしまったんです。 車を止めて、側に行って“大丈夫ですか?”って聞いたら、きっと恥ずかしい気持ちもあっ
たんでしょうね。笑顔で“大丈夫、大丈夫”って言う。 でもズボンの膝小僧が擦り切れて、足も痛そうで」
 千絵さんはおじいさんに『気をつけてね』と言って、そのまま別れた。もっと何かできなかったか、あるいは声をかけるべきではなかったのではないか…。数日たったいまでも、彼女の心を落ち込ませている。
「この間、娘と健康ランドに行ったときも、気になることがあって。 まだ1歳にならないくらいの赤ちゃんと6歳くらいのお姉ちゃんが二人っきりでいる。
“パパやママはどうしたの?”って聞いたら、上のフロアで寝ているって。 余計なお世話かなと思いつつ、赤ちゃんを見ながら、娘とお姉ちゃんを遊ばせていたんです。 そのうち、お父さんお母さんが来て帰ったけれど、健康ランドの人が
“あの親子、しょっちゅう来て、いつも子供をほったらかしなんだよね”って言っていて。 考えてしまいました。」
 普通なら通り過ぎてしまうことも、彼女の心にはキチンと響いて、どうにもできない自分や当事者の気持ちを考えて、落ち込んでしまう。 熊沢千絵の不器用さはそのまま彼女の豊かさをあらわしている。
※この記事は2004年Grazia5月号に掲載されたものです。
illustration by Miyagi Yukari
text by Ikeno Sachiko