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 熊沢千絵は、曲がったことが大嫌い。
一見、隙のないクールビューティに映る彼女だけれど、実はおちゃめで素直に感情を表現する女性でもある。
 たとえば、ひとり娘“ルチアちゃん”(6歳)との公園デビューの話。
 「5人くらいの子どもたちが滑り台を
占領していて、その周りにママたち。
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 うちの娘が遊びたくて、近くまで行っているのに『(よそ者は)向こうに行って!』って雰囲気で、(滑り台を)使わせてくれなかったんです」
 千絵ママは、滑り台を占領する子どもとママたちをものともせずに、滑り台を下からガガッと上っていった。
 「上まで行って、『ルチア〜! 上っておいで〜』って、大声で娘を呼んだの。娘も滑り台の階段を上りながら、『(ママ)良くやった』って感じで。周りの子もママも、かなりひいてました(笑)」
 「兄には『人に見られる仕事をしてるんだから、そういうことするな』って叱られるんですけれど…」
 それでもまちがっていると思うと、まず体が動いてしまう。
 こんなことも話してくれた。
 「近所で小学生の男の子が、4〜5人の同級生らしき子たちにいじめられていて。『いじめられているの』って聞いても、『いじめられてません』って言うだけで…。気になって見ていたら、絶対にいじめられてる!だから、(その子の)体操服の『M』って名前をチェックして、大声で『Mく〜ん。こっち来て〜!』って呼んだのね。知り合いのふりして。そしたら、そのいじめっ子のガキどもが、私に向かって『くそばばぁ!』って!」
 彼女は、いじめっ子のボス的存在の'年につかつかと近づき“怒りの鉄拳”!そして、子どもたちに、いじめはいけないと諭した。
 「いじめがいけない」ことは誰だってわかっている。それがどんなに人を傷つけることかも、みんな知っている。だけど、見て見ぬふりをしてしまう。  
 「私も小さい頃、いじめられた経験があるから、いじめは許せないんです」
 理不尽な行為には、それが他人のことであっても、黙っていられない。
 「M君に『もしも、またいじめられたら、お姉ちゃんが殴りこみに行ってあげるからね!』と言ったの。そしたら数日後、M君から『もういじめられてないよ!』という電話が来て、本当に嬉しかった」
 幸せそうに笑った。
 「でもね。ちょっと、でしゃばりだったかなぁ、とも思うんですよ。しょせん、私は他人だし、そこまでする必要があったのかなって。だけどいいの。M君も元気になったし、M君のお母さんも、(お礼に)ケーキを持ってきてくれたから」
 先月号から『グラツィアの顔』となった千絵ちゃんは、今時めずらしい“まっすぐな”27歳の女性。私たちが毎日の生活の中で忘れがちなことを、思い出させてくれる人でもある。
 今月から、そんな彼女の素顔のエピソードをひとつずつご紹介します。

※この記事は2003年Grazia11月号に掲載されたものです。

Text by Ikeno Sachiko
illustration by Miyagi Yukari