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女のフォルムを構築するスカートの威力

スカートは、はかなければはかないほど、もっとはけなくなる。美容ジャーナリスト・齋藤 薫さんは言う。
スカートは理屈抜きで、女をつくる不思議なアイテム。だからはかないと女性でなくなるようなそんな気がしてしまうのだ。だからはかなくてはいけない。いや、今はき直さなくてはいけない。上質な女になるために。
週に1回はスカートをはく。女が偏ってしまわないために
image たとえばあなたは週に何回、スカートをはくのだろう。
 不思議なもので、スカートとパンツをコンスタントに半分ずつはいているという人はむしろ希。ほとんどの人がスカートかパンツかに大きく偏っている。スカート派はおよそパンツをはかず、パンツ派も特別な日以外スカートをはかない。しかもそういう偏り方は、年齢とともに、尚さら頑ななものになってくる。
 言うまでもなく、最大の要因は、プロポーション。“脚が短い”あるいは“ヒップが大きい”というコンプレックスをもっていると、だんだんパンツをはかなくなるし、脚が太いことを気にしていればスカートをはかなくなる。長いズロリとしたスカートしかはかなくなる。“女のボトム”は体のコンプレックスからくる“ネガティブな選択”であることが少なくないのだ。
 そして、スカート派かパンツ派かを分けるもうひとつの要素は、“女のタイプ”。これはもう単純に、女っぽい人はスカート派で、男っぽい人はパンツ派という具合。もちろん“そういう女になりたい”という“演出”もあるにはあるが、結果として、自分でも気づいていない内面の女っぽさがいつの間にかスカートを選ばせていることもある。逆に男に媚びるようでイヤと、スカートを避けている女は、逆に粘っこい女っぽさをもっていたりもするから、
女とスカートの関係はけっこう複雑。でもだからこそ、女は日常的にコンスタントにスカートをはく必要があるのじゃないかと思う。女として偏らないために。
 そもそもが、スカートをはかなければはかないほど、もっとはけなくなる。プロポーションも偏っていくが、それ以上にパンツ派はスカートをはくと自分が自分じゃなくなるような大きな違和感を覚えるようになる。パンツしかはかなくなると、ちょうど男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが偏るように、見た目にもまた内面的にも、女としてもバランスが悪く見えるのだ。となると、どんなに美しいスカートをはいても、美しさにはつながらない。そうなってしまうと、女は本当にマズイのだ。
 だから週に1回はスカートをはこう。それだけでひとりの女性としてイメージの均整がとれてくる。スカートは“女”を整える道具なのである。
自分にとって原点のスカートにもどる時
 イスに腰かけた時、スカートをはいていると自然にヒザがくっついている。そのせいか、会話の語尾までが少しだけ丸くなる。パンツの時より、明らかに少し女のパーセンテージが高くなっている。これはもう理屈抜き。下半身に何を着せるかで、女は心の向きまで違ってくるのである。
 同じスカートでも、スカート丈やデザインによって、女はいくらでも違う女になれてしまう。ヒザ丈のシンプルなタイトスカートをはけば、まさに有能な秘書のようなクールビューティな印象を醸し出し、アシンメトリーなゆらゆらゆれるスカートをはけば、見るからに男の支えが必要なたおやかな女の匂いを放つことになるのだろう。一方、ミニ丈のスカートなんかをはいたら、自分でも不思議なくらいちょっと小悪魔な女が顔をのぞかせる。まさに下半身にどんなスカートをはかせるかで、脚をどういうふうに見せるかで、女はいろんな女を面白いように演じ分けることができるのだ。
 だから35歳、女はもっとていねいに、もっと魂をこめて、スカートをはき直すべきなんじゃないか、と思うのだ。
 少なくとも私たち女が身につける時にある種の緊張感をもつのは、スカートよりパンツのほう。もちろんスカートにも脚を見せる緊張感はあるけれど、着ること自体の緊張ではパンツのほうが上。子供の頃から“スカートは女の服”だったからの馴れ合い。それが見る側にも伝わってしまっている気がしてならないのだ。
 また、パンツは自分に合うパンツの形を誰もがけっこうめげることなく探しまわるが、スカートの選び方はもう少し適当。パンツほどの厳密さでスカートを選ぶことは少ないのかもしれない。
 でもだから、35歳。大人の女の入り口で、もう一度スカートを選び直してみるのはどうだろう。女が本当に高そうな女に見えるのは、やっぱり“良いスカート”をはいている時。おそらくはスカートの選び方にいろんなものが現れるからなのだろう。上は何でもない白いシャツ、それにどんなスカートを合わせるかに、女のいろんな才能が示される。センスはもちろん、色気、知性、品格……。
 だから逆に、スカート一枚でどこまで“上質な女”になれるのか、自分を試してみるのもいいかもしれない。何でもない、シンプルなスカートをはいて、高く見えたら女も本物。モードがパンツよりスカートに傾いている今、もう一度“原点のスカート”を探してみるのはどうだろう。 “私の一着”、“私のスカート”がある女は、生き方も明解。何と言っても女は、“スカートをはく性”なのだから。
後編へ続く
Profile: 齋藤 薫

女性誌編集者を経て美容ジャーナリストへ。
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。ソニーマガジンズより新刊『こころを凛とする196の言葉』を発売。また既刊『綺麗の雑学』(講談社)が『素敵になる53の“気づき”』として文庫化。光野桃氏との共著『優雅で野蛮な女になる方法』(新潮社)など著書多数。自ら主宰のWebサイト「WOMAN BEAUTY COLLEGE」(http://www.saito-kaoru.com)も好評。
2005年 Grazia5月号に掲載されたものです。
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