
迫真の演技に込められた
自由を求める女性の孤独と心の叫び
第60回カンヌ国際映画祭で、パルムドール(最高賞)を受賞した話題作。1987年、独裁政権末期のルーマニアで、望まない妊娠をしたルームメイトの違法中絶を手助けするヒロインの1日の出来事が描かれる。中絶をテーマにした映画はいくつかあるが、本作は冒頭からラストまで、主人公の行動を疑似体験しているような生々しさと緊迫感が衝撃的。45歳に満たない女性は子供を4人産むまで避妊や中絶は禁止――という当時の政令に立ち向かう主人公の勇気と凛とした強さが、逆境の中の希望の光となって胸に残る。
監督・脚本/クリスティアン・ムンジウ 出演/アナマリア・マリンカ ●銀座テアトルシネマほかにて全国順次公開中 |

圧倒的な存在感を放つ殺人者が恐怖を呼び起こす犯罪スリラー
独特のスタイルを持つコーエン兄弟が、ピューリッツァー賞作家コーマック・マッカーシーの小説『血と暴力の国』を映画化。テキサスを舞台に、偶然大金を見つけたベトナム帰還兵と、彼を狙う謎の殺し屋、そして正義を信じる保安官という3人が、先の読めない逃亡劇を繰り広げる。ハードな描写を抑制し、静寂によって恐怖心や焦燥感をジワジワ煽る演出に、コーエン兄弟ならではのセンスがキラリ。理解を超越した暴力の連鎖。私たちも今、そんな恐ろしい世界に身を置いていることをまざまざと思い知らされる。
監督・脚本/ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン『ファーゴ』
●3月15日より日比谷シャンテシネほかにて全国順次公開 |

チャーミングなヒロインが教える自分らしい本当の幸せの見つけ方
平凡な主婦オデットが、憧れのロマンス作家に書いたファンレター。サイン会で思いきって手渡した一通の手紙が、彼女と作家それぞれの運命を変えていく。大人のラブ・コメディの形を取りながら、フランス映画らしく、しみじみとした人生の味わいを感じさせる作品。何よりもロマンティックな少女の感性と、地に足の着いた成熟さをあわせ持つヒロインを演じたカトリーヌ・フロの魅力的なこと! 幸せオーラが周囲の人をもふんわり包み込むオデットの姿は、こんなふうに年を重ねたいと思わせる女の理想形だ。
監督・脚本/エリック=エマニュエル・シュミット 出演/カトリーヌ・フロ ●シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開中
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