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ジェニファー・ガーナー/来日会見レポート
 9・11米同時多発テロの後、ブッシュ政権による対テロ戦争によって、ますます亀裂を深めていくアメリカとイスラム世界。2008年の大統領選を前に、この秋以降アメリカでは、中東の混沌や戦争を題材にした映画が続々と公開される。1996年に実際にサウジアラビアで起きたホバル・タワー爆破事件をヒントに、FBI捜査官たちの活躍を描く社会派サスペンス『キングダム/見えざる敵』は、その先陣を切る重要な作品だ。
登場する4人のFBIスペシャリストの中の紅一点、テロで親しい同僚を亡くした法医学調査官を演じたジェニファー・ガーナーは、映画についてこう語る。

「キングダム/見えざる敵」

「この映画は、とにかくハラハラドキドキするエキサイティングなエンターテインメントです。説教くさいと思わず、まずは楽しんでいただきたいと思います。ただ、その上で、確かに政治的な要素が多分にある作品です。例えば世界地図を見てみると、各国の領土が短絡的に色分けされています。でも、そこでは人々が生活を営み、その99.9%の人が基本的には“他者を傷つけたくない”という想いを抱いていることを、この映画は改めて教えてくれました。暴力では決してうまくいかないのです。一番好ましいのは、国家や国民に対する固定概念を捨てて、もっと個々に深く知り合うこと。そうすれば、みんなの想いは同じだということが分かります。自分たちの子供が安全に守られる社会で、平和で幸せに暮らしたい。そんなシンプルな願いが世界共通であることを改めて確認しよう、というのが、この映画の最も大きなメッセージだと思います」

 役作りのため、ジェニファーは撮影前に、女性のFBI捜査官への取材もおこなった。

「FBI捜査官たちに対する感謝と尊敬の念が深まりました。FBIで働く女性たちは、毎朝、子供たちにお弁当を持たせて、スクールバスに乗せた後で、銃を身につけ、私たちのためにいろいろな活動をしてくれます。FBIがいるからこそ、私たちの日常は守られているのです。起きた事件に対して必死になって捜査をおこない、その原因を突き止める。FBIがはじめから何かを阻止できるわけではありませんが、彼らのプロとしての一面が、今回の映画でよく分かりました」

 彼女自身、プライベートでは、2003年の映画『デアデビル』で共演したベン・アフレックと恋に落ち、2004年に前夫のスコット・フォーリーと離婚。2005年にベンと結婚し、同年12月に長女バイオレットちゃんを出産した後も、意欲的に女優の仕事を続けている。

「私は母でもあり、妻でもありますが、私だけでなく、世界中の母や妻がバランスのとれた人生を送りたいと願っていると思います。そういう点では、今回の仕事はとてもいいバランスでした。というのも、主役ではなかったので、撮影期間中もけっこうお休みがあったんです(笑)。休みの間は娘と一緒に過ごせましたし、撮影のときは夫がホテルで娘の世話をしてくれていたという感じでした。だから、たぶん娘は自分の母親が働いているという感覚はなかったと思います。正直に言うと、働きながら母親でもあり、妻でもあるというのは、かなり混乱する状況です。私の場合は、この映画の撮影が終わった後、1年間の休みを取りました。こうして日本にいる今現在は、また夫が子供と一緒にいて面倒を見てくれているわけですけれど……。結局、働くことと、母親や妻であることとのバランスを取るために、働いているときは家のことを考え、家にいるときには仕事はどうなっているかと考えるんです。常にそうやって反対側のことを考えるというのが“働く母親”がバランスを取るためにしていることではないかと思います」
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ジェニファー・ガーナー/来日会見レポート
「キングダム/見えざる敵」
「キングダム/見えざる敵」

 サウジアラビアの首都リヤドにある外国人居住区で、死傷者300人を超える過去最悪のテロ事件が起きた。FBI捜査官ロナルド・フルーリー(ジェイミー・フォックス)は、捜査に向けて、法医学調査官のジャネット(ジェニファー・ガーナー)、爆発物専門家のグラント(クリス・クーパー)、情報分析官のアダム(ジェイソン・ベイトマン)と共に4人の精鋭チームを結成。テロの黒幕の本拠地を突き止めるべく、ホワイトハウスや国防省と交渉し、たった5日間という期限付きながら、サウジアラビアへの極秘捜査の許可を得る。サウジ政府による拒絶と徹底した監視の中、果たして彼らはアルカイダ・メンバーの本拠地、そしてテロ事件の首謀者に迫ることができるのかーー。

監督 ピーター・バーグ
『プライド 栄光への絆』
製作 マイケル・マン
『アビエイター』
出演 ジェイミー・フォックス
『ドリームガールズ』
ジェニファー・ガーナー
『エレクトラ』
クリス・クーパー
『シリアナ』
ジェイソン・ベイトマン
『ドッジボール』
配給 UIP映画
●10月13日よりスバル座ほかにて全国順次公開

「キングダム/見えざる敵」  これまでの『デアデビル』や『エレクトラ』といった出演作でも、男性に負けないアクションをスタントなしでこなしてきたジェニファーは、今回も手に汗握るリアルなアクション・シーンを披露。どちらかというと、アクション系のイメージが強い彼女だけれど、実はロマンティック・コメディの主演ヒット作があるなど、女優としての幅の広さはバッチリ。次回主演作は意外にも、中村獅童と竹内結子主演のラブストーリー『いま、会いにゆきます』のリメイクだとか!

「私は本当に小さい映画製作会社を持っています。縁があって、オリジナルの日本映画を観る機会があったのですが、もう号泣してしまって、自分で映画化しようと思い立ちました。この物語のテーマは、世界共通である“愛”なんですよね。アメリカでは“Be With You”というタイトルになりました。とてもラッキーなことに、すばらしい脚本家にシナリオを書いてもらっていますし、『アメリカン・ビューティー』の製作も参加しています。今は撮影に向けて、一生懸命がんばっているところです。旦那さんの役はまだ決まっていないので、それこそみなさんの意見を聞きたいですね(笑)」

 思い起こせば、ジェニファーがTVシリーズ『エイリアス/2重スパイの女』の主役に大抜擢されたのは、彼女が29歳のとき。ハリウッドではかなりの遅咲きながらも、ここ数年で、離婚、再婚、出産を経て、35歳を迎えた今、いよいよ充実したキャリアを築き始めた彼女の姿は、スクリーンの枠を超えて、私たちに大きな勇気を与えてくれる。
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永遠に色あせない数々の名曲と愛を歌い続けた伝説の歌姫の人生

 シャンソンの女王エディット・ピアフの47年間のドラマティックな生涯。売春宿で育った幼少期、一時の失明、容疑者になった殺人事件、飛行機事故による最愛の人の急逝、自身の数度にわたる交通事故、ドラッグ中毒……これでもかというくらい悲劇的な出来事を経験しながら、歌うことは一度もやめなかった彼女の生き様が力強い。仕草から声までピアフになりきったM・コティヤールの迫真の演技は必見。ピアフの感情やイメージのおもむくまま、いくつかの時代が流れるように交錯していく演出も、実に映画的だ。

出演/マリオン・コティヤール『プロヴァンスの贈りもの』、ジェラール・ドパルデュー『仮面の男』 ●有楽座ほかで全国順次公開中
グッド・シェパード
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アメリカの裏面史に浮かび上がるエリート諜報員の知られざる苦悩

 ロバート・デ・ニーロがメガフォンをとり、アメリカの諜報機関CIAの真実を描いた重厚な人間ドラマ。第二次大戦前夜のCIA誕生期から冷戦時代まで、国家にすべてを捧げた男の波乱万丈な二十数年間がサスペンスフルに展開する。元CIA局員がコンサルタントをつとめ、徹底的に正確さを追求した歴史ものだが、何より胸を打つのは、誰も信用してはならない立場に置かれた人間を家族に持つ妻や子供の孤独感。仕事と家庭生活という、決して切り離せない人生における2つの要素の関係も、大事なテーマになっている。

監督/ロバート・デ・ニーロ 出演/マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー ●10月20日より日劇1ほかにて全国順次公開
ヴィーナス
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生きることの愛しさと滑稽さを描く大人のヒューマン・ドラマ

 かつては浮き名を流した70代の俳優モーリスが、同世代の俳優仲間の姪ジェシーを見てときめいた。彼女の傍若無人な態度すら愛しく感じるモーリスは、孫ほど年の離れた彼女を“ヴィーナス”と呼び、その若さの輝きに触れるべく奮闘するのだが……。老境に入り、肉体的な力を失っても、衰えることのない男の快楽にかける情熱。谷崎潤一郎をも彷彿とさせるキャラクターを、イギリスの名優ピーター・オトゥールがユーモラスかつエレガントに演じている。脇を固めるベテラン俳優陣の絶妙なアンサンブルも味わい深い。

出演/ピーター・オトゥール『アラビアのロレンス』、レスリー・フィリップス ●10月27日よりシャンテシネほかにて全国順次公開
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。