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金城武、アンドリュー・ラウ監督/来日会見レポート
傷だらけの男たち

 本年度のアカデミー賞作品賞に輝き、メガホンをとったマーティン・スコセッシには、長年待ち焦がれた監督賞をもたらした『ディパーテッド』。そのオリジナル版といえば、香港の鬼才アンドリュー・ラウ監督が手がけた '02年の大ヒット作『インファナル・アフェア』だ。アンディ・ラウとトニー・レオンの2大スターを配した『インファナル〜』同様、インファナル・チームによる最新作『傷だらけの男たち』では、再びトニー・レオン、そして金城武というフレッシュで華やかな顔合わせが実現した。

 ちなみに、この『傷だらけの男たち』もハリウッドのワーナー・ブラザーズ映画がすでにリメイク権を取得。『ディパーテッド』のレオナルド・ディカプリオが主演を務めることが決定したというから、本作が世界中から いかに注目を集めているかがよく分かる。

傷だらけの男たち
©2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.
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傷だらけの男たち
傷だらけの男たち
©2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.

 上司と部下の関係だったベテラン刑事のヘイ(トニー・レオン)とポン(金城武)。しかし、ポンは恋人の自殺をきっかけに、刑事を辞職してしまう。つらい思い出を忘れるため、飲めない酒を浴びるように飲み続けたポンは、今では酔っ払いの私立探偵に成り下がっていた。一方、ヘイは大富豪チャウの娘スクツァン(シュー・ジンレイ)と結婚し、幸せの絶頂。ところが、そんなある日、チャウが何者かに惨殺される。父の死に不審を抱いたスクツァンは、ポンに事件の調査を依頼するのだが……。

監督・製作 アンドリュー・ラウ『インファナル・アフェア』シリーズ
出演 トニー・レオン『HERO』
金城武『LOVERS』
スー・チー
『トランスポーター』
シュー・ジンレイ
『最後の恋、初めての恋』
配給 エイベックス・エンタテインメント
●日比谷みゆき座ほかにて全国ロードショー中
監督「ご存知のように、トニー・レオンとはたくさんの映画を撮ってきました。今回の映画を作るときには、特に“新しい刺激”が欲しかったので、トニーの相手役として、金城武さんに入っていただいたのです。実は武さんとは、ずっと前から一緒に仕事をしたいと思っていました。彼が出演した映画を観て、彼の成長ぶりを感じてきましたが、とにかく武さんには、何とも言えない人を惹きつける魅力と迫力があります。なので、今回の脚本が完成したときは、脚本を手に、さっそく日本に飛んできて、彼に会って『ぜひこの映画に出演してほしい』と頼みました」

傷だらけの男たち
©2006 Media Asia Films (BVI) Ltd. All Rights Reserved.
金城「この仕事のオファーをいただいたときは、とても嬉しかったです。トニー・レオンさんとは、僕が映画の仕事を始めて間もない頃に、ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』で、すれ違い程度に現場で会ったことがあります。でも実際に一緒に仕事をしたのは、今回が初めてでした。日本での撮影と比べると、香港の撮影は、テストの回数がかなり少ないんですね。ほとんどぶっつけ本番。それでも、トニーさんはその本番で自分が何をやればいいのかをしっかり理解していて、芝居を通して表現することができる方でした。撮影時の彼の並外れた安定感に驚きましたし、僕も彼の100分の1でいいからそうなりたいと思うくらい、とても影響を受けましたね」

 ある大富豪殺人事件の捜査の過程で浮かび上がる、深く傷ついた男の衝撃的な過去。『傷だらけの男たち』は、香港を舞台に、苦しい記憶を背負う男たちの運命を描いたサスペンスフルな人間ドラマだ。

監督「この映画の見どころは、何といっても役者の芝居だと思っています。トニー・レオンは初めて悪役に挑戦しますし、金城武さんのような美男子が、酔いどれの男を演じるのですから。特に武さんには、現場で酒をいっぱい飲ませてしまって、本当に申し訳なかったです。大丈夫でしたか?」

 金城さんの役どころは、恋人の自殺を機にアルコール漬けの生活を送るようになった元刑事。“現場でお酒”のエピソードは監督のジョークではなく、金城さんは実際に、役づくりのため、撮影現場ではいつも本物のお酒を飲まされていたのだとか!

金城「僕が毎朝、現場に行くと、まず僕のためにグラスとお酒が置いてあるんです。監督から『早く飲んでおけ』と言われるので、ひとりでチビチビと飲みながら、リハーサルやテストをして。いよいよ本番というときに、監督から『おまえ、もうちょっと飲んでこい』と言われたり、逆に『ちょっと抑えて』と言われたりしました。どこまで酔えばいいのか自分では分からないので、そのコントロールが難しかったですね。飲みすぎて、芝居にならなかったら大変ですし(笑)。でも、お酒というアイテムを使って芝居ができたのは、ちょっと助かりました。酔っ払いの芝居に自信がつけられたなって」

監督「とにかくトニーと武さんが揃うと、実に見ごたえがありましたね。『インファナル〜』のときのトニーとアンディ・ラウもいいのですが、トニー・レオンと金城武もすばらしい。でも今度、武さんは別の映画で、再びトニーと共演するそうですね。僕が次回作で武さんを起用するときには、もうトニーは使えないなぁ。また他の役者を考えなきゃいけないとなると、頭が痛くなりますね。武さん、誰か共演してみたい役者はいますか?」

金城「そんな……僕のほうが代えられちゃうんじゃないですか?」

監督「いや、トニーを降ろしますよ」

金城「いやいや(笑)……ありがとうございます」

 平然とした表情で、冗談とも本気ともつかない言葉を投げかける大ベテランのラウ監督に、思わず報道陣も大笑い。恐縮して大きく手を振った後、神妙な顔つきで監督にペコリと頭を下げた金城さんは、何だか少年みたいにかわいらしかった。
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『フリーダム・ライターズ』
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出演・製作/ヒラリー・スワンク『ミリオンダラー・ベイビー』 出演/イメルダ・スタウントン ●シャンテシネほかにて公開中
『リトル・チルドレン』
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幸せなはずなのに空虚さを抱える等身大の“大人になれない大人たち”

 仕事で成功した夫と幼い娘がいて、経済的には何不自由ない生活を送る専業主婦。才色兼備な映像作家の妻と一人息子がいて、司法試験の勉強をしながら主夫をしているハンサムな男。公園で知り合った2人の不倫の恋を中心に、“大人になれない大人たち”の悩みや欲望が、シニカルかつユーモアたっぷりに描かれる。いくつになっても、心のどこかで今とは別の人生を渇望し、ときに馬鹿げた行動に走ってしまう私たち人間の心理。登場人物それぞれのダメな部分がいとおしく、我がことのように感情移入してしまう。

監督・脚本/トッド・フィールド 出演/ケイト・ウィンスレット『ホリデイ』 ●Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開中
『プロヴァンスの贈りもの』
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ヴァカンスの季節にぴったりなロマンティック・コメディ

 ロンドンの金融界で働く豪腕トレーダーが、亡くなったおじさんの遺産を相続するためプロヴァンスへ。『南仏プロヴァンスの12か月』で知られる作家ピーター・メイルの最新作を、巨匠リドリー・スコット監督が映画化。実はこの2人、かつてロンドンの広告業界でともに仕事をしていた30年来の友人だとか。美しい風景の中、金儲け主義の勝ち気な男が、本当の意味で人生を愉しむことの大切さに気づいていく。ゆるやかに流れる時間に、美味しいワインと食事。南仏で暮らす人々の豊かな生活スタイルに思わずため息が。

監督/リドリー・スコット『グラディエーター』 出演/ラッセル・クロウ ●8月4日より新宿ガーデンシネマほかにて全国順次公開
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。