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サラ・ポーリー/来日会見レポート
 余命2ヶ月と宣告された女性が、夫と娘たち、そして自分のために、残された時間を精一杯生きようとする姿を描いた、3年前の大ヒット作『死ぬまでにしたい10のこと』。そのスタッフ&キャストによる新たな感動作『あなたになら言える秘密のこと』が、ついに日本にやってきた。ティム・ロビンスやジュリー・クリスティといった名だたるオスカー俳優も出演する中、主演をつとめたのが、前回の『死ぬまでにしたい10のこと』で、カナダのアカデミー賞にあたるジェニー賞主演女優賞を受賞したサラ・ポーリーだ。

『あなたになら言える秘密のこと』

 主人公のハンナは、誰にも言えない秘密を抱えたまま、友達も恋人も作らず、ずっとひとりで生きてきたミステリアスな女性。手がかりとなるものが何もない難しい役どころだけれど、サラにとって最も大変だったのが、ティム・ロビンス扮するジョゼフに、ハンナが過去を告白するクライマックスのシーンだった。

「長いモノローグだということも含めて、とても考えさせられましたし、演じるのが怖かったです。あれほど心配したことはありません。あのシーンまで、ハンナは真実を胸に秘めていたので、どのように告白してよいのか、自分の頭の中でずっと考えていました」

 実際、ハンナが打ち明ける秘密は、私たちにとっても本当に衝撃的。でもそれだけに、そこから始まるラブストーリーには、傷ついたすべての人を癒すパワーが満ちている。

「正直に言って、私が生きている世界の中では経験できないような痛みを、ハンナは体験しているわけです。私としては、彼女の想いを一瞬でも理解できるように、努力してリサーチしました。しかし、そうは言っても、彼女の気持ちを分かったとか、理解したふりをするつもりはまったくありません。ただハンナを演じた経験は、根本的に私の心を豊かにしてくれました。1日1日を精一杯生きていくことが、どれだけ大切なのかを改めて気づかされましたし、今は幸せに感謝しながら毎日を過ごしています」

 俳優の両親を持ち、幼い頃から子役として活躍してきた彼女。若くして演技派としての地位を確立し、マイケル・ウィンターボトム監督の『めぐり逢う大地』やヴィム・ヴェンダース監督の『アメリカ,家族のいる風景』など、名監督の作品に次々と出演。1999年からは監督業にも進出している。カナダで成功したら、次はハリウッドをめざす! という役者が増えている今、一貫してカナダのトロントを拠点に活動しているのも印象的だ。
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サラ・ポーリー/来日会見レポート
『あなたになら言える秘密のこと』
『あなたになら言える秘密のこと』

 かつて心に受けた深い傷を“秘密”として封印し、孤独な毎日を送るハンナ(サラ・ポーリー)。ある日、働きすぎを理由に、上司から無理やり休暇を取らされた彼女は、ひょんなことから、油田の事故で大火傷を負ったジョゼフ(ティム・ロビンス)という男を看護することになる。自分のことは何ひとつ語らなかったハンナだが、ユーモア精神にあふれたジョゼフをはじめ、油田掘削所で働く、風変わりだけれど愛すべき人々との交流に、少しずつ心を解きほぐされていく。そしてある日、ジョゼフから哀しい秘密を打ち明けられたハンナは、ついに自分の最大の秘密をジョゼフに話すことを決意するのだが……。

監督 イサベル・コイシェ『死ぬまでにしたい10のこと』
出演 サラ・ポーリー
『死ぬまでにしたい10のこと』
ティム・ロビンス
『ミスティック・リバー』
ジュリー・クリスティ
『ネバーランド』
エディ・マーサン
『ヴェラ・ドレイク』
ハビエル・カマラ
『トーク・トゥ・ハー』
配給 松竹
●2月10日(土)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー

「ハリウッドに行かないのは、私がトロントで生まれ育ち、そこに私の生活があるということが、まずひとつの理由です。またトロントというところは独特のコミュニティーを持っていて、それは私にとって、とても価値があるものなのです。カナダでもそれなりに、とても元気がある映画業界が存在するので、私はそこでがんばっていきたい。だから、さようならを言うつもりもないですし、ずっとここで暮らしていきたいと思っています」

『死ぬまでにしたい10のこと』以来、2度目のコンビとなるイサベル・コイシェ監督は、「ハンナ役はサラ・ポーリーのために書いたもの」とコメント。映画作りに情熱を注ぐ女性同士、サラと監督は強い信頼の絆で結ばれているようだ。

「監督はいつも『おとぎ話を作りたいと思っている』と言っていますが、彼女の映画がすばらしいのは“不可能ではない”おとぎ話だというところ。たとえば、ハンナがおいしい料理を食べることによって、いろいろなことを思い出し、もう一度生きたいと願うようになるシーンがありますが、こういったことは現実にもあり得ることですよね。ハンナのように、人間はどんなにダメージを受けたとしても、たたきのめされたとしても、やがて誰かを愛し、立ち直る力を持っています。とてもつらい目に遭う多くの人は、それを悲劇と呼ぶのでしょうが、もうダメだとあきらめず、希望を持ってほしい。それこそがテーマだと思います。厳しいストーリーですが、決してつらいだけではなく、必ず最後には『ああ、よかった』と希望を感じさせてくれる映画です」
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『華麗なる恋の舞台で』
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人生の第2幕が楽しみになる
ゴージャスで爽快な
女のドラマ


 イギリスの文豪サマセット・モームの『劇場』を映画化。1938年のロンドン、公私ともに満ち足りた生活を送りながらも、美貌の衰えが気になるようになった大女優のジュリアは、あるとき親子ほど年の離れた美青年と恋に落ちるのだが……。キャリア、恋愛、夫婦関係など、彼女が直面する心理的葛藤はすべての女性に通ずる普遍的なもの。やはり女にとって若さは最大の武器なのか、と落胆しかけた私たちのために、ジュリアはアッと驚く“反撃”を用意してくれる。人生の転換期をさわやかに乗り越える姿に共感!

出演/アネット・ベニング『アメリカン・ビューティー』 ●2月10日よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開
『カンバセーションズ』
『カンバセーションズ』
新鮮な視覚体験をもたらす
大人のためのラブストーリー

 ウェディング・パーティーで、10年ぶりに再会した30代後半の元カップル。駆け引きをしたり、寄り添ったり、離れたり。血の通った会話で2人の心の動きを追いながら、男女の一夜の出来事がリアルタイムで描かれていく。注目すべきは、冒頭からラストまで一貫して、画面を左右2分割で見せるデュアル・フレーム手法が使われていること。男女それぞれの視線だけでなく、お互いの心に浮かんだ考え、甘く切ない記憶、未来、ここではない別の現在などが、同時に映し出される様子は、刺激的で一時も目が離せない。

出演/ヘレナ・ボナム=カーター『鳩の翼』、アーロン・エッカート●2月3日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開
『善き人のためのソナタ』
『善き人のためのソナタ』
哀しくも美しい物語を通して描く壁崩壊直前の東ベルリンの真実

 東西ベルリン統一から17年経った今、タブー視されてきた旧東ドイツの秘密警察“シュタージ”の内幕を明らかにする映画が誕生した。舞台は壁が崩壊する5年前の東ベルリン。国家保安省の冷酷な局員が、劇作家とその恋人である舞台女優の監視を命じられるが、2人の愛に満ちた生活や人間らしい自由な思想を知るにつれ、局員の内面に変化が訪れる。監視国家の恐怖をテーマにしながらも、自ら脚本も手がけた33歳の新人監督の視線は優しく温かい。登場人物の勇気に与えられた祝福に、静かな感動がこみあげる。

出演/ウルリッヒ・ミューエ『ファニーゲーム』、マルティナ・ゲデック ●2月10日よりシネマライズほかにて全国順次公開
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。