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ナタリー・ポートマン来日会見レポート
 2003年に刊行されたとたん、瞬く間に評判となり、ニューヨーク・タイムズ誌のベストセラー・リストに6ヶ月間もランクインした小説『プラダを着た悪魔』。世界でも27ヶ国語に翻訳され、世界中の女性からの支持を集めたユニークな物語が、最高のキャスト&スタッフを得て、ついに映画化された。

『V フォー・ヴェンデッタ』

まず、この小説がこれほど話題を集めた理由のひとつとして、原作者である新人女性作家、ローレン・ワイズバーガーの経歴が関係している。実は彼女、大学卒業後すぐにファッション誌“ヴォーグ”のセレブ編集長アナ・ウィンターのアシスタントを経験。そこで、一流ファッション誌の編集部を舞台にしたこの小説の中で“プラダを着た悪魔”と呼ばれ、スタッフ一同から恐れられる横暴な編集長ミランダ役は、アナ・ウィンターがモデルなのでは? との憶測を呼んだのだ。まぁ、その真実はともかく、誰もが憧れる華やかな舞台であると同時に、過酷かつ弱肉強食のジャングルともいえるファッション業界のリアリティあふれる描写はさすがの迫力。そんな特殊な世界にポンと放り込まれた主人公のアンディに抜擢されたのがアン・ハサウェイだ。

「アンディのように大学を出たばかりの頃は、誰もが夢や希望に満ちたナイーヴな世界観を持っているもの。それが社会に出ると、理想と現実との折り合いをいかにつけていくか、という問題にぶつかってしまう。そういう点で、アンディの正直さや葛藤をどう表現するかが難しかったですね。でもこの役を演じられてラッキーでした。演じる上で心がけたのは、誰もが共感できるキャラクターにすること。アンディの目を通して、彼女に共感しながら、あたかも自分が主人公になったような気持ちで観ていただけたら嬉しいです」

5年前の『プリティ・プリンセス』でスクリーンデビュー。最近では数々の賞を受賞したアン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』で同性愛者の夫を持つ妻を演じ、大人の女優への脱皮をとげた彼女。今回はアカデミー賞最多ノミネート歴を誇る名女優メリル・ストリープと、役の上でも演技の上でも激しく渡り合うことになった。
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エマニュエル・ベアール、ダニス・タノヴィッチ監督/来日会見レポート
「プラダを着た悪魔」
「プラダを着た悪魔」

 大学を卒業し、ジャーナリストをめざしてN.Y.へやってきたアンディ(アン・ハサウェイ)。ファッションにはまるで関心のない彼女だったが、意外にも一流ファッション誌のカリスマ編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントに採用される。“世界中の女性が死ぬほど憧れる仕事”と言われたものの、そこには想像を絶するほど、悪魔的に厳しい試練の日々が待ちかまえていた……。

監督 デヴィッド・フランケル『セックス・アンド・ザ・シティ』
衣装 パトリシア・フィールド『セックス・アンド・ザ・シティ』
出演 アン・ハサウェイ
『ブロークバック・マウンテン』
メリル・ストリープ
『めぐりあう時間たち』
配給 20世紀フォックス映画
●11月18日より日比谷スカラ座ほかにて全国順次公開
 「この映画で“メリル・ストリープと共演する”という夢を叶えることができました。編集長のミランダ役を演じた彼女と最初に会ったときは怖かったけれど(笑)。私のベストと彼女のベストは幾光年も離れてはいますが、私は自分なりのベストをつくしたつもりです。メリルは俳優として大事なことを私にいろいろと教えてくれました。そういう意味では、彼女との共演は“有意義なレッスン”といえるものでしたね」

 おしゃれに興味のなかったアンディが、ファッションに対する新たな視野を開かれて、外見的にも驚くほどの大変身をとげていく過程もワクワクする楽しさ。衣装デザインは、あの人気TVシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』でも、さまざまなトレンドを生み出してきたカリスマ・スタイリストのパトリシア・フィールドが担当している。プラダやシャネル、ドルチェ&ガッバーナ、エルメスといったゴージャスなブランドアイテムをふんだんに使ったスタイリングはどれもすごく魅力的なのだけれど……。

「正直に言うと、けっこう疲れました(笑)。撮影が終わった後、家に帰るとすぐにスウェットに着替えていましたね。おしゃれするのって大変! としみじみ実感しました」
 ポスト・ジュリア・ロバーツといわれるハリウッド期待の新進女優は、等身大のヒロイン同様、気さくで正直、同性から見ても応援したくなるキュートなキャラクターなのであった。
KEIKOの今月公開のオススメ3本
『敬愛なるベートーヴェン』
『敬愛なるベートーヴェン』
歴史上最も偉大な音楽家によって“第九交響曲”が生まれた瞬間

 年末になると、あちこちで演奏される“第九”をモチーフに、孤高の音楽家ベートーヴェンの晩年に焦点を当てた音楽ドラマ。今なお謎とされるベートーヴェンの3人目のコピスト(写譜師)は、女性だったのではないか? という大胆な仮定をもとに、芸術家の純粋さと狂気、音楽に込められた崇高な想いに迫っていく。耳の聴こえないベートーヴェンと、陰から彼にテンポの合図を送るヒロインとの二人三脚の指揮により、オーケストラと合唱団が“第九”を初演する10分間以上ものクライマックスシーンは圧巻!

出演/エド・ハリス『めぐりあう時間たち』、ダイアン・クルーガー『トロイ』 ●12月9日より日比谷シャンテシネほかにて全国順次公開
『愛されるために、ここにいる』
『愛されるために、ここにいる』
誰かが隣にいることの喜びとせつなさを描く美しい人間賛歌

 結婚にも失敗し、今はただ父から継いだ仕事を黙々とこなすだけの毎日を送る中年男性。ある日、医師から運動を勧められた彼は、思いきって入ったタンゴ教室で古い知人の女性と再会する。愛すること、愛されることに不器用で、自分が本当に望んでいるものに気づかないままでいた男女が、予期せず訪れた恋をきっかけに見つめ直していく人生。台詞は最小限なのに、どのシーンからも登場人物たちの心の中の声が聞こえてくるような気がする。観終わった後もメインテーマのタンゴの官能的な旋律が耳から離れない。

出演/パトリック・シェネ『読書する女』、アンヌ・コンシニ『灯台守の恋』 ●12月16日よりユーロスペースほかにて全国順次公開
『ヘンダーソン夫人の贈り物』

『ヘンダーソン夫人の贈り物』
英国初のヌードレビューを
登場させた富豪未亡人の素顔

 1937年のロンドン。莫大な遺産を受け継ぎ、未亡人となったヘンダーソン夫人は、ふとしたひらめきからソーホーのウィンドミル劇場を購入。さらに女性の裸をステージで見せるという、当時のイギリスでは考えられない斬新な提案をする。ユーモアとドラマ性に満ちた娯楽作に見えて、小さなエピソードの数々まで実話に基づいた物語。とにかく役柄同様、70歳を超えたジュディ・デンチが演じるヒロインの魅力的なこと! 好奇心と夢と勇気を失わず、生涯現役で人生をとことん楽しむ夫人は、私たちの憧れの女性像だ。

出演/ジュディ・デンチ『アイリス』、ボブ・ホスキンス『ニクソン』
●12月中旬よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。