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アンディ・ラウ&ダニエル・ユー監督/来日会見レポート

イルマーレ

 2000年に韓国で大ヒットした『イルマーレ』を、脚本に惚れ込んだハリウッドが3年半がかりでリメイク。オリジナルよりも、さらにロマンティックな大人のラブストーリーに作り上げた。
 主演は1994年に世界的なヒットを記録したアクション映画『スピード』以来、実に12年ぶりの共演となるキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロック。今やハリウッドを代表するスターとなった2人が、先の読めないすれ違いのドラマをみずみずしく見せてくれる。

 この物語の中で、2年の時を隔てた男女の心を通わせるという重要な役割を果たすのが家の郵便受けに入った“手紙”。メール全盛の今の時代だからこそ、手書きの手紙によるコミュニケーションの深さがいっそう際立つ。

キアヌ「僕自身は、1996年に第一作目の『マトリックス』の撮影でオーストラリアにロケに行くことになったとき、親友からもらった手紙のことをよく覚えている。もちろん『マトリックス』はとてもすばらしい映画だった……でも、僕は8ヶ月間のロケの間、いつもワイヤーにつるされて、カンフーのアクションをして、異国で本当に孤独だったんだ! そんなとき、その友達からの手紙が精神的にとても支えになった。手紙は書いた人の筆跡を目にし、紙の肌触りを感じ、匂いをかぐことができる。相手からの声が聞こえてくるような気がするんだ。バッテリーを持ち運ばなくても、好きなときにいつだって書けるしね。この映画でも描かれているとおり、手紙は本当にすばらしいものだと思う」

イルマーレ
©2006 Warner Bros. Entertainment Inc. - U.S., Canada, Bahamas & Bermuda
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イルマーレ
イルマーレ
©2006 Warner Bros. Entertainment Inc. - U.S., Canada, Bahamas & Bermuda

2004年、湖岸の家に引っ越してきたアレックス(キアヌ・リーブス)は、郵便受けに一通の手紙を見つける。それは、彼の前にこの家に住んでいたという見知らぬ女性、ケイト(サンドラ・ブロック)からの伝言だった。しかし、幾度か手紙を交わした後、2人はお互いの間に、なぜか2年の隔たりがあることに気づく。ケイトが生きているのは、2004年から2年後の2006年。運命のいたずらとしか思えない、この奇妙な現実をようやく受け入れた2人は、たびたび文通を重ねるうちに惹かれ合うようになっていくのだが……。

監督 アレハンドロ・アグレスティ『フィガロ・ストーリー』
出演 キアヌ・リーブス『恋愛適齢期』
サンドラ・ブロック『あなたが寝てる間に…』
クリストファー・プラマー『サウンド・オブ・ミュージック』
配給 ワーナー・ブラザース映画
● 9月23日より、丸の内プラゼールほか全国松竹・東急系にてロードショー
「イルマーレ」
日本語オフィシャルサイト
http://www.il-mare.jp
ワーナー・ブラザース映画
オフィシャルサイト
http://www.warnerbros.jp
サンドラ「私はこの映画に出演してから“手紙”について、改めてよく考えるようになりました。手紙を書くという行為は一種の“アート”。この芸術を私たち人間はぜったいに失うべきではありません。確かに手紙を書くには時間がかかるけれど、そこには心が表れているんですもの。だから私はこれまでの人生でもらった手紙を、子供の頃のものから全部とってあるの。おばあちゃんからの手紙、初恋の彼からの手紙……ときどき、そういった手紙を読み返してみると、忘れていたはずの感情がぜんぶよみがえってくる。あのときはこうだった、こんなことを考えていた……と思い出して、とても感銘を受けるんです。ちゃんとした手紙だけじゃなく、ただのメモ1枚でも捨てられない。これまでに一番心に残っているのは、5〜6年前の誕生日に友人からもらった手紙。私が手紙をもらうことが好きだと知っている友人が、私が好きなアーティストから昔のBFにいたるまで、いろんな人に声をかけて、それぞれにカードを書いてもらい、それを1冊のアルバムにして贈ってくれたんです。私にとっては何よりもうれしいプレゼントで、今でも宝物ですね」

イルマーレ
©2006 Warner Bros. Entertainment Inc. - U.S., Canada, Bahamas & Bermuda
 会うこともままならない主人公の2人が、相手からの手紙と印をつけた地図を手に、同じ景色を見て、同じ街を歩きながら、時を超えたデートをする素敵なシーンがある。そこで、キアヌとサンドラにとって、思い出に残るデートを聞いてみると……。

サンドラ「これは、すごく印象の悪かったデートの話なんだけれど、相手の男性が本当にイヤなヤツだったので、どうしても耐え切れなくなって、デートの途中でレストランを飛び出てしまったことがあるの」

キアヌ「『トイレに行ってくる』とか何とか言い訳をしたの?」

サンドラ「ううん。もうあからさまに『あなたのこと嫌い!』っていう態度をむき出しにして、店を飛び出て、タクシーに乗って帰ってしまったの。ただ、この話にはまだ続きがあって、そのときの相手と1年後に偶然再会したんだけれど、なんと私はそれから1年も彼とつきあってしまったのよ! 不思議でしょ? たぶん“カルマ”の力が働いて、彼が私のところに戻ってきたのね。さあ、次はあなたの話を聞かせてよ」

 強気のサンドラに突っ込まれても、照れて最後まで質問をはぐらかそうとするキアヌ。実はこの2人、『スピード』での共演の後、プライベートでも12年間ずっと連絡を取り合って、友人として親交を深めてきたとのこと。ちなみに『スピード』では、MTVムービー・アワードの“ベスト・カップル賞”と“ベスト・キス賞”をあわせて受賞。今回の映画でも印象的な2つのキスシーンが登場する。

キアヌ「最初のキスシーンは、2人がほとんど赤の他人であるとき、まだ相手が誰なのかも分からないのに、お互い相手に好意を感じて、いつの間にかキスをしてしまう……というもの。それなのに、観ている私たちは『ああ、この2人はキスして当然だ』と彼らの行動を信じることができる。実際に僕とサンドラがカメラの前で演技したときも、お互いに何が起こるか分からないという状態で、そのシーンに挑戦したんだけれど、結果として、とても美しいラブシーンになりました。第2のキスシーンについては……(笑)、いや、これはクライマックスの感動的なシーンなんだけれど、僕自身にとっても、とても意義のあるものだったね。注意して、その場面を観てください。すぐに分かると思います。あの場面で、リードしているのは完全にサンドラです! 僕は自然な、やさしい感じのラブシーンにしようと思っていたのに、サンドラがすごい力で僕をグイッと引き寄せて、熱烈なキスをしてきたんだ(笑)」

サンドラ「ちょっと! まるで私が男を操る女みたいに聞こえるじゃない(笑)。あのね、ああいう場面では言葉なんていらないのよ。女の気持ちとしては『もう何もしゃべらなくていいから、早くキスして!』という感じなの。でもそのキスに、キアヌもちゃんとついてきたんだから、ぜったいにそういう経験があるはずよ。私には分かるわ(笑)。そうそう、日本にはお辞儀というすばらしい習慣がありますが、キスも素敵な習慣なので、日本人はもっとキスを日常に取り入れてみてはどうかしら。この映画を観て、みなさんどんどんキスをしてくださいね!」
KEIKOの今月公開のオススメ3本
『サンキュー・スモーキング』
『サンキュー・スモーキング』
現代人の笑いのツボを刺激する風刺が効いた社会派コメディ

 アメリカのタバコ業界を代表する凄腕のPRマンを主人公にした、最高にスマートかつ知的な娯楽作。禁煙ブームが過熱する現代のアメリカでタバコを売り込むことは、世の中を敵にまわすようなもの。不利な状況に置かれた彼が、持ち前の話術と機転とスマイルを武器に、たったひとりで戦っていく様子が痛快だ。冒頭からラストまで大いに笑わせながら、彼と幼い息子との関係を通して「親としてどうあるべきか」「人はなぜ仕事をするのか」「自由の本当の意味とは」といったテーマもさりげなく浮かび上がらせる。

出演/アーロン・エッカート『エリン・ブロコビッチ』、キャメロン・ブライト ●10月14日よりシャンテシネほかにて全国順次公開
『ブラック・ダリア』
『ブラック・ダリア』
実際の迷宮入り事件を題材にしたスリリングなフィルム・ノワール

 1947年のLAで見つかった、身体を腰で切断された女の惨殺死体。出世街道を歩む若き2人の刑事がショッキングな猟奇殺人事件を追ううちに、それぞれの運命を狂わせていく。戦後間もないアメリカを震撼させたブラック・ダリア事件をモチーフに、『L.A.コンフィデンシャル』のジェイムズ・エルロイが書いた小説を映画化。表と裏の顔を持ち、一筋縄ではいかない登場人物たちの中、特に2人の“運命の女”を演じたオスカー女優ヒラリー・スワンクと若手女優スカーレット・ヨハンソンの圧倒的な存在感がきらめく。

監督/ブライアン・デ・パルマ 出演/ジョシュ・ハートネット ●10月14日より日比谷スカラ座ほかにて全国順次公開
『カポーティ』
『カポーティ』
今もファンの多い天才作家の創作における恍惚と知られざる苦悩

 『ティファニーで朝食を』の著者でもあるトルーマン・カポーティの伝記ドラマ。といってもその生涯を追うのではなく、彼がノンフィクション・ノベルという新ジャンルの構想をひらめき、傑作『冷血』を書き上げるまでに焦点を当てているところがユニークだ。名声を高めたいと願う彼の強烈な野心とプレッシャー、殺人犯への度重なる取材を通じて不安定になっていく精神。フィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー賞主演男優賞を獲得したのも納得の迫真の演技で、作家という人間の業の深さを表現している。

出演/フィリップ・シーモア・ホフマン『マグノリア』、キャサリン・キーナー ●恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次公開中
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。