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ジョディ・フォスター/来日会見レポート



 子役時代から43歳の現在まで、ハリウッドの第一線で活躍しながら、自立した女性としての道をマイペースに歩み続けてきた知性派女優ジョディ・フォスター。今回は、全米で2週間連続1位を獲得した新作『フライトプラン』のプロモーションのため、6回目の来日をはたした。前作の『パニック・ルーム』から実に3年。ファンにとっては、もっと映画に出てほしい! と、つい思ってしまうけれど……。

「いろいろな理由があって、間隔が開いてしまいました。ひとつは私生活が非常に忙しいということ。私にとって、私生活はとても大切なものです。その大事な私生活から離れなければいけないのですから、それなりに価値のある映画でなければならなかった。あと、なかなか『これ!』という良い役にめぐりあえないということもあります。女優生活を40年も続けていると選択が厳しくなる。絶対にやる価値があるんだ、と自分を説得できるものでないと、やる気が出なくなるんです」

 そんなジョディが新作で演じるのは、夫を事故で亡くし、さらに帰省中の飛行機の中で幼い一人娘が行方不明になってしまう女性。私生活でも2人の男の子の母親である彼女だけに、何としてでも我が子を取り戻そうと決意するヒロインの強さに説得力があふれる。

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『フライトプラン』
『フライトプラン』
©TOUCHSTONE PICTURES
 最新鋭のジャンボ旅客機の中で、女性航空機設計士カイル(ジョディ・フォスター)の6歳の娘が忽然と姿を消した。カイルは最愛の娘を必死で捜索するが、乗務員にも乗客にも、娘を見た人は誰もいない。それどころか、娘の荷物や航空券、搭乗記録すら存在しないのだ。いったい何が起きたのか!? 高度1万mの密室で、400人を超える乗客と乗務員すべてに疑いを抱きつつ、カイルはたったひとりで孤独な闘いに挑む。

監督 ロベルト・シュヴェンケ
出演 ジョディ・フォスター
『羊たちの沈黙』
ピーター・サースガード
『ニュースの天才』
ショーン・ビーン
『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』
配給 ブエナ ビスタ インターナショナル
●1月28日(土)より 丸の内ピカデリー1ほか全国ロードショー
●1月21日(土)先行上映


©TOUCHSTONE PICTURES ©TOUCHSTONE PICTURES

 「この映画に興味を持ったのは、母親役だからです。長年映画を作ってきて、ひとつわかったことがあるんですが、それは人間の内にある恐怖心を描いた映画に出演すると、実生活ではその恐怖心が薄れるということなんです。この映画に出たことによって、今まで子供たちのことを非常に、ときには異常なほど心配しすぎていた気持ちが少し薄れました。自分自身に問いかけてみたんです。映画のヒロインのような状況におちいった場合、私ならどうするのか? 規則どおり、シートにじっと座っているか、それとも子供を見つけるために戦うのか? ヒロインの夫を亡くしてしまった悲しみ、子供がいなくなった恐怖感を疑似体験し、絶望があまりにも大きすぎると自分の正気さえ疑ってしまうことを知って、私もいざとなったら、彼女のような行動が取れるのではないかと気づくことができました」

記者会見がおこなわれたのが1月11日だったので、ジョディはヒット祈願を祈って、日本の正月行事である“鏡開き”を体験。「1、2、よいしょっ!」のかけ声とともに、樽酒の蓋を元気よく割った後、「お酒がすごくいい香りねぇ。これは飲めないの?」と、おもいきりキュートな笑顔を見せてくれた。
 小柄な身体ながら、スクリーンの中のジョディから発散されるオーラとエネルギーは圧倒的。2度の出産を経ても、筋肉質の引き締まったプロポーションは健在だ。

「仕事をしていないときでも、健康や身体作りに関心を持っています。子供を毎日追いかけるだけでも体力がいりますし、バイクをこいだり、ヨガをしたりします。次の映画では何を演じるかわからないので、どんな役柄にも順応できるように、常に身体を整えるようにしているんです。食べ物は何でも好きですよ。もちろん日本食は大好き。最近は水銀の問題で、あまり口にしていませんが、マグロも好きです。ずっと食べていなかったので、今回の来日ではマグロの寿司をたっぷり楽しみたいです(笑)」

 長男のチャーリー君は7歳、次男のキット君は4歳と、まだまだ子育て中心の生活を送ることになりそうなジョディにとって、次の飛躍への“フライトプラン”は?

「私は小さいときから、20代、30代……と、その年代ごとに思い描いた目標やゴールは、それなりに達成してきました。ですから、今後は自分のしたいこと、おもしろそうだなと思いついたことにチャレンジしていこうと思っています」
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『クラッシュ』

『クラッシュ』人間の多面性をあぶり出す
リアルなヒューマン・ドラマ


 『ミリオンダラー・ベイビー』の製作・脚本で、一躍注目を集めたポール・ハギスの監督デビュー作。ロサンゼルスで生きるさまざまな人種、多様な階層の人々が体験する“生涯忘れえぬ運命の36時間”を、ヴィヴィッドに映し出していく。明るく開放的な“天使の街”を舞台にしながら、歴然として存在する人種差別や偏見、見知らぬ人間への恐れの感情を鋭く切り取る手腕と観察眼は、カナダ出身の監督ならでは。登場人物それぞれが抱える善悪両面を描くことで、欠点だらけで弱い人間に対する監督の愛が伝わってくる。

出演/サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン●2月上旬よりシャンテシネほかにて全国順次公開

『博士の愛した数式』

『博士の愛した数式』芥川賞作家、小川洋子さんの
大ベストセラー小説を映画化


 10年前の交通事故の後遺症により、記憶が80分しかもたない天才数学博士と、シングルマザーの家政婦と、その10歳の息子。3人のささやかで穏やかで温かな愛に満ちた生活が、日本の春の美しい自然を背景に描かれる。小むずかしくて、無機質に感じられる数式が、“少年の心”を持つ博士の朴訥とした解説を通したとたん、キラキラと輝く一篇の詩に見えてくることの驚きと感動。どんな物事にも愛情を持って接したい、一瞬一瞬を大切に丁寧に生きていきたいと、素直な気持ちで思わせてくれる繊細なドラマだ。

出演/寺尾 聰『半落ち』、深津絵里『阿修羅のごとく』、吉岡秀隆、浅丘ルリ子 ●渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて公開中
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。