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トム・マクグラス監督&ドリームワークス アニメーション SKG C.E.O. ジェフリー・カッツェンバーグ/来日記者会見レポート
トム・マクグラス監督&ドリームワークス アニメーション SKG C.E.O. ジェフリー・カッツェンバーグ/来日記者会見レポート
左から順に/監督・脚本のトム・マクグラス、ライオンのアレックス役の玉木宏、カバのグロリア役の高島礼子、キリンのマーティ役の柳沢慎吾、ドリームワークスアニメーションSKG C.E.O.&ディレクターのジェフリー・カッツェンバーグ

 子供から大人までが楽しめる『シュレック2』や『シャーク・テイル』などを世に送り出し、世界中で大ヒットを飛ばしてきた“ドリームワークス アニメーション”の最新作『マダガスカル』。アメリカでは公開2週目にして、あの『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』をおさえ、全米週末興行成績ナンバー1に輝いた。

 今回、『マダガスカル』日本公開のために来日したのは、監督と脚本を手がけ、ウィットにとんだペンギン隊長の声まで担当したトム・マクグラス、そしてドリームワークス アニメーション SKG C.E.O.のジェフリー・カッツェンバーグの2人。映画のストーリーの最初のコンセプトは、ニューヨークの動物園で生まれ育った4匹の動物を、野生のジャングルに放り込んだらどうなるか? というシンプルな問いかけだった。

監督「ニューヨークとマダガスカルという2つのロケーションは、そもそもカッツェンバーグ氏のアイディアから始まっています。カッツェンバーグ氏はN.Y.育ちで、子供の頃からセントラルパーク動物園に足を運んでいたのです。ニューヨークはアメリカ最大の都市で、マダガスカルは……地球儀を見ていただければわかると思うのですが、マンハッタンのほぼ真反対に位置している島なんですね。地理的にも、文明的にもまったく異なる2つの場所を舞台にすることが、ストーリーにとって欠かせないポイントでした」



 ドリームワークスのアニメといえば、最新のコンピュータ技術を駆使した、漫画とは思えないほどリアルで立体感のある3Dアニメーションが特徴的。そこが、今も昔も手描きの2Dアニメーションが主流の日本とは違うところだ。
KEIKOの今月公開のオススメ3本

『マダガスカル』
『マダガスカル』
 ニューヨークのセントラルパーク動物園の人気スター、ライオンのアレックス(ベン・スティラー)、シマウマのマーティ(クリス・ロック)、キリンのメルマン(デイヴィッド・シュウィンマー)、カバのグロリア(ジェイダ・ピンケット・スミス)は仲良し4頭組。ある日、野生の世界にずっと憧れていたマーティが動物園から脱出した事件をきっかけに、4頭の仲間たちはそろってアフリカ行きの船に乗せられてしまう。航海の途中で大海原に投げ出された彼らが漂着した先は、異国情緒あふれるマダガスカル島。彼らは初めての大自然にとまどいつつ、なんとか環境になじもうとするが、やがてアレックスの肉食獣としての本能が現れ始める――。

監督&脚本 トム・マクグラス、エリック・ダーネル
声の出演
(アメリカ版)
ベン・スティラー『ミート・ザ・ペアレンツ』
クリス・ロック『9デイズ』
デイヴィッド・シュウィンマー『フレンズ』TVシリーズ
ジェイダ・ピンケット・スミス『コラテラル』
声の出演
(日本語
吹替版)
玉木宏『雨鱒の川』
柳沢慎吾
『虹をつかむ男』
岡田義徳『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』
高島礼子『長崎ぶらぶら節』
配給 アスミック・エース
●渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて公開中
カッツェンバーグ「日本はアニメーションのすばらしい伝統と歴史があり、非常に豊かでバラエティにとんだ文化を持っている国だと思います。また世界で最も優れたアニメーション・アーティストである宮崎駿さんもいらっしゃいますし、常に私たちにさまざまなインスピレーションを与えてくれます。アメリカでも、かつて手描きのアニメーションが流行って、それが80〜90年代に復活したことがありますよ。今の課題は、この手描きのものを、いかにCGアニメーションと競合できるくらいのレベルにまで持っていけるかということ。これは私たちにとって、クリエイティブな挑戦です。願わくは、ドリームワークスの誰かによって、実現してほしいと思っています(笑)

 チームの汗と努力の結晶である映像に命を吹き込むため、声のキャストとして、ベン・スティラーやクリス・ロックといった豪華な映画スターたちも集結した。

監督「これはどのアニメ映画を作るときも同じなんですが、キャスティングの際は、実際に役者の顔を目で見ながらではなく、声だけを聞いて、耳で選んでいきます。そうしてベン・スティラーやクリス・ロックを起用することが決まり、彼らが実際にレコーディングで即興などをやりながら、キャラクターを形作っていってくれました」

カッツェンバーグ「外国語の吹き替えでは、英語をそのまま直訳するのではなく、脚色しながら26ヶ国語に訳していきます。私は、キャラクターを違う言語で作り上げてくれる各国の俳優や声優をもっともっと高く評価するべきだと思うんです。ただ単に、ベンやクリスの真似をするわけじゃない。自分らしいオリジナルのパフォーマンスをして、それぞれの国のバージョンを作っていく。このことを私はとても誇りに思っています」

 この日は、日本語吹替版を担当した玉木宏、柳沢慎吾、高島礼子の3人がスペシャル・ゲストとして登場。カッツェンバーグ氏は「キャスティングでは、日本の俳優さんの声だけを聞いて選んだのに、シマウマのマーティ役を演じた柳沢慎吾さんがあまりにもマーティにそっくりなことにショックを受けた」と言って、周囲を笑わせた。

カッツェンバーグ「アニメーションには笑いはもちろん、やはりハートがなければいけないと、いつも思っています。今回の映画のテーマになっているのは“友情”です。いいときも悪いときも、変わらずに頼れる親友がいることが、人生においてどんなにすばらしいか。ライオンとシマウマという、ぜったいにありえない2頭の友達同士の物語を通して、日本の子供たちに友情の大切さを感じてもらえたら嬉しいです」
KEIKOの今月公開のオススメ3本
『理想の女(ひと)』
『理想の女(ひと)』
対照的な魅力を放つ2人の女が繰り広げる愛と感動のドラマ

 文豪オスカー・ワイルドの傑作『ウィンダミア卿夫人の扇』を、1930年の南イタリアの高級避暑地に舞台を移して
映画化。ニューヨーク社交界の華として知られるカップル、ロバートとメグはバカンス中に、恋愛スキャンダルで有名なアーリン夫人と出会う。やがてメグは、信じていた夫とアーリンの密会の噂を知って深く傷つくのだが……。妻にとっては危険な存在といえる悪女アーリン夫人の意外な顔が見えた瞬間から、物語は急展開。同性から見ても格好いい大人の女の真の優しさと愛情に、思わず涙があふれ出る。

出演/ヘレン・ハント『恋愛小説家』、スカーレット・ヨハンソン『ア
イランド』 
●9月10日よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開


『クレールの刺繍』
『クレールの刺繍』
刺繍を通して心の絆を育てていく女たちの癒しと再生の物語 

 フランスの若手女性監督エレオノール・フォーシェが、3年かけて脚本を書き上げた長編デビュー作。17歳で望まぬ妊娠をし、産後すぐに養子に出すつもりのクレールが、一人息子を交通事故で亡くしたばかりの刺繍職人メリキアン夫人のアトリエで働き始める。世代の異なる女性2人が、師弟関係でも、擬似親子関係でもなく、腕を認め合う対等の人間として友情を温めていく様は、ある意味とてもフランス的。肩を並べ、美しいオートクチュールの刺繍を黙々と制作する彼女たちのさりげない連帯感に憧れてしまう。

出演/ローラ・ネマルク、アリアンヌ・アスカリッド『マルセイユ
の恋』
●9月3日よりBunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開

『亀も空を飛ぶ』
『亀も空を飛ぶ』
米軍のイラク侵攻を背景に
健気にたくましく生きる子供の姿を描く


 イラク戦争終結後にイラクを訪れた監督が、住民たちが直面している悲惨な状況を目にしたことから本作の着手を決意。イラク北部クルディスタン地方の小さな村を舞台に、2003年3月、アメリカのイラク侵攻前夜を子供の目を通して描いていく。大人も頼りにするほど、元気いっぱいに苦難を乗り越えようとする子供たちの姿を心強く感じる一方、彼らの懸命の努力も押し流してしまう過酷な現実が痛い。監督が各地をまわって探し出した子供たちがときに浮かべる、哲学者のように大人びた眼差しが忘れられない。

監督・脚本・製作/バフマン・ゴバディ『酔っぱらった馬の時間』、『わが故郷の歌』 
●9月17日より岩波ホールにて公開
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。