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オリビア・ハッセー/来日記者会見レポート

 “私たちの行いは、大河の一滴にすぎない。でも何もしなければ、その一滴も生まれない”ノーベル平和賞を受賞し、故ダイアナ元妃など、世界中の多くの人々に影響を与えながら、自分は何ひとつ望まず、貧しい人々に愛を与えることに生涯を捧げたマザー・テレサ。その真実の物語が映画となった。
 マザー・テレサを演じるのは、1968年のフランコ・ゼフィレッリ監督による『ロミオとジュリエット』のジュリエット役で「映画史上、最も若く美しいジュリエット」と謳われた伝説のスター、オリビア・ハッセー。現在54歳の彼女が、36歳から87歳までのマザー・テレサの50年にわたる半生を渾身の力で演じきり、私たちに厳かな感動と熱い勇気をもたらしてくれる。
「役作りのためローマへ行ったときに、バチカン内の“マザー・テレサのハウス”で<神の愛の宣教者会>のシスターと会うことができました。まさにマザーと同じ時期から活動を始め、現在90代という方です。そのとき私は『マザーの雰囲気や彼女の持っている信念、強さ、慈悲の心といったものを演技で体現したいと思っています』と申しました。そして、修道女の方は嘘はつけないので『映画が完成した折には、どう思ったかを本音で教えてください』とお願いしたのです。その後、感想を聞く機会を得て、シスターたちが『まるでマザーを見ているようでしたよ』と言ってくれたときは本当に嬉しく思いました」


 敬虔なカトリック信者だった母を持ち、以前からマザー・テレサに尊敬の念を抱いていたオリビアは、マザーに関する書籍を読み、ドキュメンタリー番組を見て、マザーのしゃべり方や立ち振る舞いを研究。また、肉体的には必ずしも似ているわけではなかったので、特殊メイクの鼻をつけて撮影に臨んだ。
「スリランカで撮影を行ったのですが、暑くなってくると、特殊メイクの鼻が汗で落ちてきてしまうので、そのたびに1時間休憩をとって、鼻を付け直していました。スタッフやキャストは暑さで次々に体調を崩しましたが、私は毎日撮影で、お休みがないという厳しい状況でした。耳、のど、鼻などに炎症を起こすたびに、抗生物質をたくさん飲み、お医者様も常に2名待機してくださっていたので無事に乗り切りました。考えてみれば、マザーはそういう助けはいっさいなしに、カルカッタの路上に出ていって、マラリアなどにかかりながらも貧しい人々に救いの手を差し伸べていたんですよね。それを思えば、これくらいのことはできるはず! と自分を鼓舞しながら撮影をしました。撮影中はマザー・テレサが常に私たちを見守ってくれていたような気がします。私の人生の中でも最も謙虚な気持ちにさせられましたし、最高の経験ができました」
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オリビア・ハッセー/来日記者会見レポート
マザー・テレサ
 1946年、インドのカルカッタ。カトリックの修道院の中にある女子校で教鞭をとっていたマザー・テレサ(オリビア・ハッセー)は、神の声を聞き、自分の居場所が修道院の中ではなく、カルカッタの最も貧しい人々のところだと気づく。そして4年後、従来の修道会に属しながらの活動に限界を感じた彼女は、新しい修道会<神の愛の宣教者会>を創立する。孤児やハンセン病患者、瀕死の人々に惜しみない愛を与え続けるマザー。教会内部での軋轢や、地元住民の反発、いわれのないスキャンダルなど、さまざまな困難にぶつかりながらも、彼女は忍耐と努力を重ね、熱い思いで世界を変えていく――。

監督 ファブリッツィオ・コスタ
出演 オリビア・ハッセー『ロミオとジュリエット』
ミハエル・メンドル『ヒトラー 最期の12日間』
ラウラ・モランテ『息子の部屋』
配給 東芝エンタテインメント
●8月13日より
シャンテシネほかにて全国順次公開
 センターパーツに分けたツヤツヤのストレートヘアと、少女の頃から変わらないキラキラと輝く大きな瞳。この日、着ていたエスニック・テイストのドレッシーなトップスは、彼女自身がデザインした“オリビア・ハッセー コレクション バイ イングス”のもので、洋服の売り上げのほとんどはマザー・テレサの<神の愛の宣教者会>に寄付するという。

 今回、マザー・テレサの波乱に満ちた半生を演じたオリビアだけれど、彼女自身、私生活ではこれまでに3回の結婚を経験。最初の夫ディーン・マーティンとの息子アレックス、2番目の夫である布施明との息子マックス、3番目の夫デヴィッド・アイズリーと間に生まれた娘インディアという3人の子供たちの母として、80〜90年代は女優業より子育てを優先させてきた。
「人は毎日毎日忙しく働いていて、他者を気にかけたり、思いやったり、手を差し伸べたりする余裕はなかなかありません。でも、もし世の人々が毎日ひとつだけでもかまわないから、なにか良い行いをしたり、あるいは良い気持ちになったりするだけで、世界は変わっていくのではないでしょうか。何より大切で、忘れてはいけないのは、人間はすべて同じ人間であり、この世の中を回しているのは“愛”だと言うこと。この映画は莫大な製作費をかけたハリウッド大作ではありませんが、小さくて、スウィートで、シンプルなメッセージを持った作品です。この映画をご覧になっている間だけでも、他者のことを考えたり、愛について思いをはせたりしていただければ、きっとマザーも幸せだと思います」
KEIKOの今月公開のオススメ3本
『愛についての キンゼイ・レポート』
『愛についての キンゼイ・レポート』
生涯をかけて「性」の実態を調査した科学者と妻の愛の物語 

性について語ることはまだタブーとされていた50年前に、セックスに関する350の質問を全米の1万8000人に投げかけ、その結果を一大レポートとして発表したキンゼイ博士。生物学者ならではの純粋な好奇心と執念で、ひたすら性を追求した彼の研究は激しいバッシングを受けながらも、アメリカ国民に勇気と希望を与えていく。扱うテーマがテーマだけに、周囲の人を傷つけることも多い中、博士を支え続けた妻クララの芯の強さがすばらしい。偉大な研究も彼女の存在があってこそ、と夫婦愛の力に感謝したくなる。

監督/ビル・コンドン 出演/リーアム・ニーソン『シンドラーのリスト』 
8月27日よりシネマスクエアとうきゅう、 シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
www.kinsey.jp


『アイランド』
『アイランド』
現代社会のモラルを問う
手に汗握るSFサスペンス
 

もしもの事故や病気によって臓器や手足が必要になったときのために、自分のクローンを作れる時代がきたら、あなたはどうするだろうか。『アルマゲドン』のマイケル・ベイ監督が、今や決して絵空事ではないクローン技術の問題をテーマに、新たなスリラーを世に送り出した。主人公を人間ではなく、クローンの男女に設定したため、観客は否応なしにクローン側へと感情移入していく。ノンストップで繰り広げられる派手なアクションもさることながら、その裏で展開する人間ドラマが深い余韻を誘う。

出演/ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン『真珠の耳飾りの少女』 
●丸の内ルーブル他全国松竹・東急系にて公開中

『コーチ・カーター』
『コーチ・カーター』
子供たちの未来を見据えた伝説のコーチからのメッセージ 

1999年に報道され、アメリカ中に波紋を広げた新聞記事が、熱い感動を呼ぶ映画になった。舞台は失業率の高い街にある高校。バスケットボール部のコーチが、学業不振を理由に、州の決勝戦を目前にした選手たちをコートから締め出し、なんと試合も放棄。学校の職員や親からも非難の集中砲火を浴びるのだが……。目の前の勝ち負けにこだわるのではなく、長い目で見たとき、子供にとって何が大切かを考える。どんなに厳しくても、本気で自分に向き合ってくれる人を、子供は必ず理解するものなのだと実感!

監督/トーマス・カーター 出演/サミュエル・L・ジャクソン
●8月6日よりテアトルタイムズスクエア他にて全国順次公開
「UIP映画」
www.cc-movie.jp
Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。