定期購読のお申し込みはこちらから女性誌ネットはこちら
Home
Interior
Culture
Beauty
Fashion
Grazia Models
今月のGrazia
Present&Info
Culture Topへ
Backnumber
ジェイ・チョウ、チャン・イーモウ監督、ビル・コン(製作)/来日会見レポート
王妃の紋章

 今年の北京オリンピックでは総合演出も務めることになった、アジアの巨匠チャン・イーモウ監督が、目もくらむほど壮大かつ華麗なビジュアルで贈る最新作『王家の紋章』。千年以上昔の唐王朝を舞台に、栄華の頂点に君臨する王家の一族たちが、それぞれの策謀によって、奈落の底へと堕ちていくまでを描いた愛憎のドラマである。

監督「この作品は、中国では誰もが知っている有名な舞台劇を映画化したものです。特に演技を学ぶ学生にとっては、この舞台劇のある場面が必修科目となっているくらい人気があります。原作の時代設定は1930年代。映画化するにあたって、どの時代にしてもよかったのですが、個人的にとても興味があった唐の時代を選びました。最も華やかで豪奢を極めた王朝期だったので、その表面の下にある登場人物たちの孤独や悲しさが際立つと思ったのです。製作に入るまでの様々なリサーチだけで、少なくとも8ヶ月間を費やしました」

ビル「中国史上最高の製作費をかけた映画であると同時に、『HERO』を抜き、史上最高の興行成績を記録しました。セットにしても、衣装にしても、最も腕のいいプロの方たちに作っていただきましたので、その成果は観客のみなさんにご覧いただけると思います」


王妃の紋章
KEIKOの今月公開のオススメ3本

王妃の紋章
王妃の紋章

 中国、後唐の時代(923〜936)。“菊の節句”と称される9月9日の重陽節。王家の人々が一堂に集まり、永久の繁栄を祈る祝祭の日を前に、遠征に出ていた王(チョウ・ユンファ)と、第二王子のジェ(ジェイ・チョウ)が王宮に帰ってくる。しかし、王宮には秘密の匂いと不穏な空気が渦巻いていた。王との仲は冷え切っており、継子である皇太子と長年にわたって不倫関係にある王妃(コン・リー)。病気がちな王妃のため、腹心の宮廷医に命じて“特別な薬”を調合させる王。王妃との関係を断ち切りたいと願いつつ、密かにつきあっている宮廷医の娘と王宮から脱出することを夢見る皇太子。王妃に密偵を頼まれ、薬の正体を突き止める宮廷医の妻。誰もが素知らぬ顔で表面だけを取り繕い、恐ろしい策略を練り上げていく中、重陽節の宴の夜、ついに国をも揺るがす大惨事が起こる――。

監督 チャン・イーモウ
『HERO』、『LOVERS』
製作 ビル・コン
『HERO』、『LOVERS』
出演 チョウ・ユンファ
『グリーン・デスティニー』
コン・リー
『ハンニバル・ライジング』
ジェイ・チョウ
『頭文字[イニシャル]D THE MOVIE』
配給 ワーナー・ブラザース映画
●東劇ほかにて全国順次公開中

 圧倒的な美しさと貫禄で、王妃を演じきったのは『SAYURI』のコン・リー。対する冷徹な帝王の役には『グリーン・デスティニー』のチョウ・ユンファ。そして、初共演を果たした二大スターとともに、重要な役割を担う第二王子を演じたのが、アジア音楽界で絶大な人気を誇る台湾出身のジェイ・チョウだ。

監督「3人のキャスティングについては、黄金トリオだと自負しています。脚本を最初に読んだとき、女王と帝王の役にはコン・リーとチョウ・ユンファが最適の俳優だ、と迷うことなく感じました。次に、ジェ王子の役には、今の時代を体現するような人物がどうしても必要だと思ったのです。純粋で、真心を持っていて、特別な人。今回、ジェイ・チョウは、私の期待をはるかに超えた素晴らしい演技を見せてくれました。この映画には、たくさんのキャラクターが登場しますが、その中で、純粋な愛と未来に対する希望を持っている人物は、彼が演じたジェ王子だけなんです。ジェ王子の母親に対する深い愛は、中国でも観客に感動を与え、彼の演技はとても高い評価を受けました」

 もともとミュージシャンとして活躍していたジェイ・チョウは、俳優としてだけでなく、本作のエンディング・テーマ曲の作詞・作曲・パフォーマンスでも本領を発揮。この曲は若い世代の着メロになったり、カラオケボックスで必ず歌われたりと、昨年の中国のヒットチャートで常に1位の座を占め続けた。

ジェイ「この映画に出演するときは、もちろんプレッシャーを感じました。国際的に有名な大監督や2人のスーパースターとの仕事だったので、僕にとって、まさに夢のような世界でした。テーマ曲の歌詞については、実は撮影中からいろいろ考えていました。そして撮影が終わった後、曲作りに着手して、いかにメロディに歌詞をのせるかをじっくり考えました。それまでの僕の音楽は、どちらかというと中華的な色彩が強かったのですが、今回はそれを取り払い、みんなが口ずさめるような歌にしたかったんです。今回のように時間をかけて曲を書いたのは初めてでしたね」

 映画の華やかさに対し、男だけの少々むさくるしい(!?)記者会見の最後には、リア・ディゾンがステージに登場して、3人に花束を贈呈。ジェイ・チョウが2000年にファースト・アルバムを出した頃からの大ファンだというリアを前に、「恥ずかしいです…」と、たどたどしい日本語で照れていたジェイの姿がかわいく、微笑ましかった。
KEIKOの今月公開のオススメ3本
『ぐるりのこと。』
『パリ、恋人たちの2日間』 『ハンティング・パーティ』
『ぐるりのこと。』
孤独だらけの時代に生きる、
絶対に離れない夫婦の軌跡


 初めての子供の死を機に心を病んでしまった妻と、ずっと彼女のそばに寄り添う夫の10年にわたる物語。夫の職業は法廷画家で、宮崎勤事件や地下鉄サリン、音羽幼女殺人事件といった、今なお記憶に残る数々の社会的事件の法廷シーンが、臨場感たっぷりに挿入される構成が秀逸だ。バブル崩壊からの激変の時代とリンクするように、夫婦も人生の壮絶な局面を体験するが、強い絆で結ばれた2人はいつしか再生していく。映画初主演の木村多江とリリー・フランキーが、夫婦の間に流れる温もりに満ちた愛を体現。

監督・脚本/橋口亮輔『ハッシュ!』 出演/木村多江、リリー・フランキー ●6月上旬よりシネマライズほかにて全国順次公開
 『パリ、恋人たちの2日間』
ウィットに富んだ会話の応酬と怒濤のカルチャーショックに共感

 才能と野心溢れるフランス人女優ジュリー・デルピーが、監督、脚本、製作、主演、音楽、編集、さらに主題歌まで担当したユーモラスなラブストーリー。付き合って2年になるフランス人の写真家とアメリカ人のインテリア・デザイナーが、パリで過ごす2日間。おしゃれな方向には流れず、フランス女とアメリカ男との典型的なカルチャー・ギャップを、とことん面白おかしく描ききったセンスは、アメリカ暮らしの長いジュリーならでは。実の両親や元カレをキャストに迎えたことで、アットホームな雰囲気がにじみ出ている。

監督・脚本・出演/ジュリー・デルピー 出演/アダム・ゴールドバーグ ●5月24日より恵比寿ガーデンシネマほかにて全国順次公開

『ハンティング・パーティ』
世界の欺瞞に立ち向かう命知らずのジャーナリストたち

エスクァイア誌に掲載された驚愕の実話を映画化。紛争終結から数年が経ったボスニアで、人間味溢れる3人のジャーナリストが、民族浄化の名のもとで大虐殺をおこなった戦争犯罪人を追跡する。丸腰の記者たちが、国連やCIAにも逮捕できない重要戦争犯罪人にどうやって近づくのか。“事実は小説より奇なり”の冒険が、スピーディなテンポでぐいぐい進んでいく。戦場リポーターがやみつきになる麻薬的なスリルへの渇望を織り込みつつ、TVの報道を鵜呑みにしがちな私たちの心に一石を投じる痛快エンターテインメント。
 

出演/リチャード・ギア、テレンス・ハワード『クラッシュ』、ダイアン・クルーガー ●5月10日よりシャンテシネほかにて全国順次公開

Profile: 石塚圭子

フリーライター。Graziaをはじめ、女性誌各誌で活躍中。
映画コラムをはじめ、幅広くカルチャーコラムを手掛ける。わかりやすい解説と独自の鋭い視点には定評がある。