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CD Review Text by Junichi Uchimoto

プリシラ・アーン
プリシラ・アーン
『グッド・デイ』
『グッド・デイ』アコギと歌を主体にしたフォーキーな音楽だが、ベックのバンドのドラマーでもあるジョーイ・ワロンカーをプロデューサーに立て、響きのユニークな味付けも。カヴァーのセンスもグッド!
1984年、ジョージア州のフォート・スチュワートに生まれ、ペンシルベニア州に育つ。現在はLA在住。16歳からコーヒーハウスで弾き語りをするようになり、昨年、名門ブルーノートと契約した。
 ふんわり浮かび、ゆっくり流れるように動いて行く雲のような歌声に癒される。透明感のあるピュア・ヴォイスなのだが、凜としたところもあり、とにもかくにもこの歌声を聴いているだけで多幸感が味わえる。
 プリシラ・アーン。昨年インディーでリリースされたEPが口コミで広がって評判となり、メジャー・デビュー作が待たれていたアーティストだ。ペンシルベニア州に育ち、現在はLAを拠点に活動している24歳。黒髪もキレイな自然体の女性といった感じだが、聞けば祖母が韓国系だそうで、“アーン”は母親の旧姓なのだとか。日本人から見てどことなく親しみやすい雰囲気が感じられるのは、そのようにアジア系の血が多少なりとも入っているからか。フェイ・ウォンを想起させる「ララバイ」という自作曲などを聴いていると、メロディにもアジアのポップス的なムードが微量に含まれている気もする。
 ブルーノート・レコードが、ノラ・ジョーンズに続く女性歌手として売り出す大型新人である。といっても、プリシラはジャジーというより、フォーキーな音楽性を持つ。アメリカのコーヒーハウスでアコースティック・ギターを弾き語っていた、最近ではむしろ珍しいほどの古典的なシンガー・ソングライターだ。
「フォーク・ミュージックが一番好き。ジョニ・ミッチェルやニック・ドレイクのような、アコースティック・ギターのメロウな音色が大好きなの」
 とはいえ、現代っ子特有の味付けも、さらりと音に入れてみせる。遊び心を持ってもいるのだ。
「基本はフォークだけど、エレクトロっぽいものとかサイケデリック的なものもよく聴くの。レコーディングでも、まず私がギター1本でフォーク調に始め、その上にファンキーな古いオルガンの音とかヴィブラホンとか、ちょっと変わった音を乗せていくやり方をしたわ。やっぱり気分が上向きになる曲を歌いたいから」
 歌詞も特徴的で、夢見がちだったりファンタジックだったりするところもあるが、感情の深みを表現できてもいる。少女のようで大人のよう、とも言えるか。
「想像と経験をあわせて書くことが多いわ。実は愛のことをストレートに書いたポップな曲もあったんだけど、なんだか自分らしくない気がして歌うのをやめてしまったの。私は決して社交的なタイプではないから」
 秋の陽光のもと、ゆったりと彼女の世界観に浸ってほしい。時間や社会のことなど気にしないで……。
『Music From The Magic Shop』
おおはた雄一

ワーナー 3000円


優しく温かな“ギターと唄”
CD何年も大事に聴きたくなる。素晴らしいシンガーで、ソングライターで、ギタリストである彼が、ジェシー・ハリス、リチャード・ジュリアンとの共同プロデュースで、ニューヨークにて作りあげた珠玉のオリジナル・アルバム。和的なフォークからブラジリアン・テイストまで曲のタッチはあくまで自由に、いい呼吸をしながら、優しく語りかけてくる。とても温かな作品集だ。
『アンエクスペクテッド』
ミッシェル・ウィリアムス

ソニー 2520円


大胆に意匠を変えたダンス・ポップ作
CD元デスティニーズ・チャイルドのミッシェル、4年ぶりの3rdアルバム。前2作はゴスペル・シンガーとしての実力を発揮したものだったが、今回は大胆に見せ方を変え、コンテンポラリーなダンス〜ポップ作に。スターゲイトやリコ・ラヴら売れっ子プロデューサーを招き、パワフルかつエモーショナルな歌を聴かせている。冒険的な中にも歌のうまさが際立ち、唸らされる。

『アンダー・ザ・レーダー』
ダニエル・パウター
ワーナー 1980円

スケール・アップしたピアノ・ソング

CD'06年に「バッド・デイ〜ついてない日の応援歌」が特大ヒットとなったカナダのピアノ・マンの、2年半ぶりとなる2ndアルバム。今回はクリスティーナ・アギレラやアリシア・キーズ作品で知られるリンダ・ペリーをプロデューサーに迎え、彼女とのデュエット曲も収録。ややロック的なムードも取り込みつつ、前作より遥かにスケール・アップした世界観を見せている。力作!
『サブウェイ・サイレンス』
ジョヴァンカ

ビクター 2520円

ハイセンスでスウィートなポップ・ソウル盤
CDスウィング・アウト・シスターやスタイル・カウンシルといった80sのポップ・ソウルが好きな人なら必ず気に入るだろう。異才ベニー・シングスが才能に惚れ込んでプロデュースした女性シンガーのデビュー作。フリー・ソウル風にファンキーな曲からブラジリアン・テイストまでと多彩だが、いずれの歌にも華がある。ミニー・リパートンを想起させる甘いムードもいい感じ。
Profile: 内本順一

音楽ライター。1963年、東京都生まれ。主にポップ、R&B、シンガー・ソングライター系のインタビューやCD解説などを多く手掛ける。ブログ「怒るくらいなら泣いてやる」も好評。
http://ameblo.jp/junjunpa/